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ドイツ景気減速 現場で何が

2019-10-03 07:00:00 | 報道/ニュース

9月11日 NHKBS1「国際報道2019」


長期化する米中の貿易摩擦。
イギリスのEUから合意なき離脱への懸念。
先行きの見えないこの2つの問題は世界経済に深刻な影響を与えている。
これまでヨーロッパの経済をけん引してきたユーロ圏最大の経済大国ドイツにも陰りが見え始めている。
ユーロ圏主要3か国の今年4~6月期実質GDP成長率は
フランスが+0,2%
イタリアは0成長
そしてドイツは-0,1%とついにマイナス成長に陥った。

(ZDFドイツ)
「最盛期はもう過去のものなのか
 フランクフルトモーターショーが開幕したが
 プジョー シトロエン ボルボ フィアット テスラ トヨタも不参加です。」
9月10日に始まった世界有数のモーターショー。
車の電動化を背景にしたモーターショー離れに加え
コスト削減の圧力から
出展を見合わせる企業が続出。
ドイツを代表する自動車メーカーからも景気の先行きに懸念の声が相次いだ。
(フォルクスワーゲン ブランドステッターCEO)
「貿易摩擦の行方は注意しています。
 アメリカも中国も重要な市場です。」
(BMW ノタ取締役)
「(今のイギリス政府は)不確実な状況は終わらせる必要があります。
 ビジネスにとってマイナスです。」
こうしたなか一段と苦しくなっているのはすそ野の広い自動車部品業界である。
中国でも事業展開するエンジン部品メーカー。
以前は従業員の休日出勤は当たり前だったが
今年に入り中国向けなどで受注が減少し
上半期は赤字に転落した。
今この企業では従業員の勤務時間短縮制度を使って雇用をなんとか維持している。
ドイツで定められている労働時間は1日8時間。
ドイツではそれを超えて残業した時間を一定期間 食品のように貯めることが出来る制度ある。
忙しい時期にためた時間で将来の勤務時間を削減できる時短勤務を実現。
受注の減少に合わせて労働時間を短縮しても
一定期間は従業員の給与を維持できる仕組みである。
この企業では生産部門だけでなく広報を担当する部署などでも
時短制度を適用して今の苦境を乗り切ろうとしている。
(広報担当部署)
「ここ数年多くのイベントがありずっと忙しかったです。
 今は仕事が減ったことで勤務時間も減少しました。」
しかし景気の低迷が続く中こうした努力だけでは乗り切れないと
国に支援を求める企業も相次いである。
製造業が集まるドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州 労働局。
今年に入って時短制度に関連して補助金を求める企業の申請が急増している。
景気の低迷が続き
忙しい時期にためていた残業分の時間を時短の適用ですべて消化してしまえば
企業は従業員の給料を減らさざるを得なくなる。
それを防ぐために国が補助金を支給する制度が用意されているのである。
バーデン・ビュルテンベルク州で補助金の対象になった労働者の数は
8月は去年の同じ月の5倍以上にのぼった。
(バーデン・ビュルテンベルク州 労働局局長)
「公的制度を使い労働者をサポート
 解雇にいたらないようにしたいです。」




 

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福島発 “母親ブランド” イスラムファッション市場へ

2019-10-02 07:00:00 | 報道/ニュース

9月10日 NHKBS1「国際報道2019」


イスラム教徒の女性が髪を隠すために着用するヒジャブ。
そして体に羽織るアバヤ。
イスラム伝統の衣装を着もので仕立て直した。
独自の柄と品質の良さからイスラム教徒の女性の間で人気が高まっている。
商品を売り出したのは福島県白河市にある小さな縫製会社。
30~40代の育児中の女性たち10人が働いている。
3年前に会社を起ち上げた名和淳子さん(44)。
きっかけは育児のために長年続けてきた仕事を辞めざるを得なかったことだった。
(WATASI JAPAN 名和淳子さん)
「子どもを生むということは非常に大事なことで
 でも女性はそれがあるからこそ時間が制限されてしまったりとか
 それで働けなくなってしまうというのは非常におかしい。」
自分のような母親たちがまた活躍できる場を作りたい。
そこで考えついたのが
留学中に出会ったイスラム教徒の女性たちが頭にかぶっていたヒジャブである。
イスラム教徒は約16億人。
世界の人口の4分の1を占める。
イスラム教の戒律を守りながらおしゃれを楽しめるヒジャブやアバヤに
ビジネスチャンスがあるのではないか。
そのうえ縫製業務なら
子育てで時間を制限される母親たちが自分たちのペースで働き続けることが出来ると考えたのである。
試行錯誤の中で目を付けたのが希少価値の高い昔の着物である。
質の高い着物を仕立て直し
着物1枚から世界にひとつしかない独自の商品を生み出す。
「“袖にも柄が欲しい”とイスラム教徒の意見があったので
 袖に柄を入れました。」
宗教上 肌を見せることが出来ないイスラム教。
何度も女性たちに聴き取りをし商品開発をしてきた。
「イスラム教徒は手先しか見せないので
 袖が広すぎると腕が見える。」
商品はネットや日本のモスクなどで販売。
インバウンドを中心に徐々に売り上げが伸び
これまで10か国以上の人たちに500枚以上の商品が売れた。
着物の紋様には様々な思いが込められている。
長寿を願う「菊」。
暮らしの平穏を願う「松」。
(名和淳子さん)
「昔から続く日本の美を生かしながら
 形を変え
 新しい女性の働き方を交えながら
 これから事業を進めていけたらいい。」
7月下旬 名和さんは初めて海外での商談会に挑んだ。
世界最大のイスラム国家で
多様なモスリムファッションが注目されるインドネシア。
ここで富裕層を取り込めれば今後の事業拡大も夢ではない。
デザインと機能性に富んだ商品はその場で次々と売れていく。
(バイヤー)
「涼しい着心地で肌触りもいい。
 着物の柄ならインドネシアではよく売れると思いますよ。」
さっそくファッションショーへの参加を打診されるなど十分な手ごたえを得た。
(WATASI JAPAN 名和淳子さん)
「想像以上にいい話をいただいたので
 本当に来て良かった。
 新しい着物の商品というところをインドネシアの方々に広めたい。」




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どんな時間を生きたのか

2019-10-01 07:00:01 | 編集手帳

9月5日 読売新聞「編集手帳」

 

金子みすゞに「子供の時計」という詩がある。
こんな時計はないかしら、
と始まり、
<お城のような大時計>が登場する。
子供たちはみんなで針を回したり、
振り子にのっかって遠くを眺めたり。

楽しい時間が針の動きとともに流れていく光景が浮かぶ。
きょうの本紙社会面にあまりに対照的な子供と時計の景色がある。
東京で昨年3月に虐待死した船戸結愛ちゃん(当時5歳)のノートが裁判で公開された。

<とけいができるはずなのにごまかそうとしたから 
 べらんだでたたされた>。
亡くなるひと月ほど前の記述という。

とけいができる――いわゆる幼児語だろう。
時計が読めるようになった。
もしくは時計を扱えるようになった。
結愛ちゃんが父親の指示で朝4時に自ら目覚まし時計をかけて起き、
一人ひらがなの練習をしていたと伝える記事があったのを思い出す。
もっとゆっくり眠りたかったのだろうか。
まだ事実は定かではないものの、
4時の少し先に目覚ましの針を合わせる小さな子の姿を思い描く。

虐待される子供がどんな時間に生きているか。
結愛ちゃんのひらがなが、
はかなく問いかけている。



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