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米 大統領選 “若者に広がる“社会主義”

2019-10-04 07:00:00 | 報道/ニュース

9月12日 NHKBS1「国際報道2019」


政権奪還を目指す野党民主党の候補者選び。
民主党では20人以上が大統領候補として名乗りを上げていた。
しかし3回目のテレビ討論会では
これまでより参加資格が厳しくなり候補者は10人に限られた。
事実上の絞り込みが進むとみられる。
支持率トップは依然としてバイデン氏だが
このところ猛追しているのが支持率第2位のウォーレン氏と3位のサンダース氏である。
この2人の勢いの背景にあるキーワードは“社会主義”である。

かつてアメリカで社会主義というと
自由が抑圧されたり国家の統制のもとで土地や資本などが管理されるという
否定的なイメージが一般だった。
しかし現在では
富を分配して福祉を充実させることでより公平な社会を目指すものだという考えが広がっている。
経済格差の広がりとともに
こうした社会主義的な考えを支持する人は特に若い世代でいま急速に増えている。
その背景に何があるのか。

南部アトランタで8月に開かれた全米規模の集会。
主催したのはアメリカ最大の社会主義団体DSAである。
全米各地で社会主義の普及活動を行うメンバーの代表約1,000人が集まった。
目立つのは若者たちの姿である。
団体の会員数は前回3年前の大統領選挙のときは5,000人。
それがトランプ政権誕生後に急増し
現在では10倍以上の約6万人にのぼる。
団体の幹部は
今回の大統領選に立候補している民主党候補者の主張が
前回とは打って変わってより社会主義的になっていると強調する。
(団体の幹部)
「前回の選挙でバーニー・サンダース氏が国民皆保険や大学の無償化を掲げていたが
 今では民主党候補のほぼ全員がそれを主張している。
 我々が支持する候補は未来に目を向けているのだ。」
集会に参加した1人ストレイダーさん(33)。
アトランタから4,000km以上離れた西海岸のシアトルから駆け付けた。
(団体の幹部)
「自分の周りにいる人たちに伝えてください。
 私が守ってあげる!
 私が守ってあげる!
 私が守ってあげる!」
(社会主義団体に所属するストレイダーさん)
「集会はアメリカで社会主義が最高潮を迎えていることを象徴しています。
 歴史的なイベントです。
 この左派の運動を盛り上げれば社会主義を根本的に変えられると信じています。」
いま若者たちの間で何が起きているのか。
ストレイダーさんの地元シアトル。
ストレイダーさんは大学卒業後ウェブサイトを管理する会社で働いていたが
経営陣が利益を独占していると感じて辞めた。
(社会主義団体に所属するストレイダーさん)
「富を持たない人が99%
 持つ人が1%
 格差は広がり続けています。
 それを考えて社会主義にたどり着きました。」
ストレイダーさんは市内のアパートで妻と2人で暮らしている。
いまは電気の配線工事などで生計を立てているが
収入の多くは家賃に消えてしまうと言う。
(社会主義団体に所属するストレイダーさん)
「こんな状況 本当に嫌になります。
 不公平です。」
シアトルはアマゾンやマイクロソフトといった世界に名だたる大企業が本社を置く
好調なアメリカ経済を象徴する街である。
しかし大企業の進出によって住宅費が高騰。
家賃はこの10年で50%以上も上がっていると言われている。
夜 街中では
「1年くらい車で暮らしています。」
ガールフレンドとともに車で寝泊まりしているという男性。
料理の宅配の仕事をしているが家賃が払えないため車で生活を続けている。
「この辺で最も安い住宅でさえ1人部屋で月に約13万円します。
 信用や保証人なしに家を狩りつことはできません。
 もっと支援が必要です。」
こうした住むところを失った人々のために
シアトル市内にはNGOなどが設置した「テントシティ」と呼ばれる施設が10か所以上ある。
28歳の女性は10か月の娘と1週間前からここで暮らしている。
夫と別れたあと住む場所がなくなりここに来るしかなかったと言う。
(施設に暮らす女性)
「今のシステムは機能していない。
 早く変わってほしい。
 社会主義は正しくないかもしれないが今よりはマシな選択です。」
この状況は実際の選挙にも影響を及ぼし始めている。
DSAの会員でジャーナリストのショーン・スコット氏。
8月に行われたシアトル市議会議員選挙の予備選挙に立候補。
社会主義的な政策を前面に押し出し
全体で2位の得票で11月の本選挙の候補者の資格を得た。
掲げた政策の1つが
シアトル市が所有する4つのゴルフ場の一部を低価格の公営住宅に変えるというもの。
(シアトル市議会議員候補 スコット氏)
「誰もが住む場所を持ち
 屋根の下で暮らすべきです。
 人としての基本的な欲求でしょう。」
スコット氏は本選挙に向けた手ごたえを感じていると言う。
(シアトル市議会議員候補 スコット氏)
「不平等を解決できるのが社会主義です。
 これからアメリカで社会主義はもっと広がっていくと思います。」



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