マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

地方議会改革(01、北海道福島町)

2009年04月18日 | タ行
 津軽海峡に面した北海道福島町は漁業の町だ。人口は約5500人。この30年ほどで半減した。町民の3人に1人は65歳以上だ。

 そんな過疎と高齢化が進む町の小さな議会(定数12)が、「開かれた議会」のトップランナーとして全国から注目されている。昨年だけでも、九州、関西、関東など遠方も含め22議会から170人が視察に訪れた。

 全国区になったのは、議会や首長の先駆的な取り組みを表彰する「マニフェスト大賞」(ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟など主催)を2006年に初受賞してからだ。最も評価されたのは、2005年に導入した「議会の通信簿」。毎年01月、譲会運営委員会で前年の議会活動実績を全国水準と比較する。

 「公開度」「住民参加度」「監視度」など34項目について「おおむね一定の水準にある○」「一部水準に達していない△」「取り組みが必要▲」の8段贋で評価し、インターネットで公開している。議員評価も同時に実施。「行政」「財政」「福祉」など6分野で各自が設けた目標について3段階で自己評価する。こちらは任意だが、2007年分の評価には12人のうち7人が参加した。

 さらに、本会議や委員会は原則公開。議事録はネットで入手できる。傍聴規則を大幅に見直し、写真撮影や録音を認めたほか、乳幼児連れでも傍聴できるようになった。

 「従来の傍聴規則は住民を取り締まり対象としか見ていない。なぜ録音が駄目なのか、だれも説明できない。議会は住民のもの。だから参加してもらいやすいよう環境をつくりました」。改革をリードしてきた溝部幸基議長(61)の目には議会・議員評価も当たり前に映る。「役所側の事業評価はどこでもやっているのに、議会評価がないのはおかしいと思うんですよ」。

 とはいえ、議会への関心は必ずしも高いとはいえない。一般質問がある本会議の傍聴者が数人という日も多い。それでも、情報を共有して参加を促し、一緒に考える。そんな取り組みをさらに強めていく構えだ。

 その表れが昨年12月の定例会に出した議会基本条例案。請願・陳情した町民が議会で趣旨説明でき、傍聴者にも意見を述べる機会を与える条項を盛り込んだ。特別委員会で検討し、03月定例会で成立の見通しだ。

 ただ、こうした姿勢の議会は多くはない。朝日新聞と自治体議会改革フォーラムが昨春実施した全国議会アンケートで「常任委員会は原則自由公開」と答えたのは27%。大半はその都度、委員長の許可が必要で、一度も認めていない議会もある。

 各地の地方議員や市民でつくる「開かれた議会をめざす会」代表の吉川洋・千葉県議(59)は、1年前に米国で視察した市議会の様子が目に焼き付いている。

 請願を出した市民がその理由を説明し、議長の判断で傍聴人が自由に意見を述べる機会を与えられていた。その意見をもとに議員間で議論が進んでいく。勤め人も参加できるように夜間に開催され、大勢が詰めかけていた。「議会が市民とともにある感じが伝わってきた。議員と住民の垣根が低い。住民参加が当たり前の議会がそこにあった」。

 (朝日、2009年01月06日)

     感想

 市民が議員に通信簿を付ける運動は、神奈川県の相模原市で始まったのだと思います。その後大分広まっているようです。しかし、我が静岡県には、市民が議員に通信簿を付ける会が、多分、1つもないと思います。

    関連項目

 議員に通信簿を
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 西田幾多郎 | トップ | 地方議会改革(02、静岡県菊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

タ行」カテゴリの最新記事