マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

低所得高齢者のための施設

2013年05月21日 | ラ行
 1,朝日新聞の社説、2013年01月20日

 被告を裁いて、それで落着という事件ではない。重い課題が突きつけられたままだ。

 今後、大都市圏で急増する低所得の高齢者たちは、どこで、どう暮らせばいいのか──。

 群馬県の「静養ホームたまゆら」から出火し、高齢の入居者10人が死亡した事件で、前橋地裁は施設を運営していた法人の元理事長に、執行猶予つきの禁錮刑を言いわたした。

 たまゆらは役所の要請で、生活保護を受けている認知症の患者らを安い料金で入居させていた。判決は、苦しい経営事情をくみつつ、実態は有料老人ホームであり、それに見合う防火管理の義務があったと述べた。

 具体的に警報器の設置や避難訓練、当直員の増員を挙げ、これらの費用をまかなうのは可能だったとした。他の同様の施設には教訓になるだろう。

 だが、対策が不十分なところを閉鎖すれば済むわけではない。お年寄りの行き場がなくなるからだ。

 厚生労働省は、高齢者が住みなれた地域で、医療や介護などのサービスを利用しながら暮らし続ける将来像を描く。

 厚生年金を受給できるような中間所得層向けには、「サービス付き高齢者向け住宅」などの基盤整備を進めている。

 ところが、低所得の高齢者の住まいは、政策的な空白地帯といえる。国や自治体は、本腰を入れて取り組むときだ。

 朝日新聞の調べでは、東京23区で生活保護を受けながら、都外の高齢者施設に入居している人は昨年10月で約1800人にのぼる。たまゆらの火災が起きた2009年の2,6倍だ。

 この流れはさらに強まる。

 高齢者住宅財団の推計によると、民間の借家に住み、生活支援や介護が必要な一人暮らしの高齢者は2010年時点で全国に約17万8000人。2025年には33万7000人まで増える。

 低年金で、貯金を使い果たせば生活保護に頼らざるをえない人たちが多い。

 住まいとケアが一体となった特別養護老人ホームは、建設費がかかることなどから大きく増やすのは難しい。公営住宅の数も限られ、特に高齢者向けの応募倍率はきわめて高い。

 ならば、増加傾向にある空き家を活用し、ゴミ出しなど日常生活を支援していくのも一案だ。低所得者が利用できる住宅手当が必要になろうが、生活保護に至る前に手助けすることで、かえって財政負担が抑えられる可能性がある。

 誰でも、住まいなしには人間的に生きられない。

 2,朝日新聞の記事、2013年01月18日(山下奈緒子)

 群馬県の高齢者施設「静養ホームたまゆら」の火災後、無届けだった高齢者施設が有料老人ホームとして自治体に届け出るようになった。厚生労働省の通知を受けた対応だが、居住面積や準耐火構造、防火設備など設置基準を満たさない施設も多い。入居者の生活の質や安全の確保は追いつかないままだ。…

 たまゆらは無届け施設だったため、厚労省は2009年3月の火災後、無届け施設に届け出を求める通知を都道府県などに出した。全国の有料老人ホームの届け出は2006年10月に1968施設だったが、2011年10月には4640施設になった。

 だが、老人福祉法や建築基準法、消防法などに基づいて都道府県などが定める設置基準を満たさない施設が目立つ。届け出が2009年3月の183施設から2012年12月に306施設に増えた埼玉県では、基準未達成が99施設にのぼる。

 茨城県では、たまゆら火災後、基準を満たさない施設にも届け出を求めるように変わった。担当者は「放置するより管轄下に置きたい」と話す。県内で届け出ている75施設のうち、20施設が基準未達成だ。

 群馬県では、50施設が基準を満たさない一方、2009年3月に46あった無届け施設が11に減った。

 各自治体とも基準を満たすよう求めているが、職員不足が実効性をそいでいる。「以前は個別に訪れたが、施設が増えて難しい」。群馬県の担当者が出向くのは届け出時と、施設が年1回出す報告書に変化があった時だけだ。

 施設側も資金不足に苦しむ。東京都内から生活保護受給者数人を受け入れる群馬県の有料老人ホームは1部屋13平方㍍の基準以下。前事業者が撤退後に入った建物のまま届け出た際、県に「建て替える時に基準を守って」と言われたが、「費用や入居者の住まいを考えると、とても改築は考えられない」と話す。

 別の群馬県内の有料老人ホームも1部屋13平方㍍の基準を満たしていない。ようやく約4000万円を工面し、増改築の準備中だ。施設長は「当初から考えてはいたが、用意できる費用ではなかった。行政の補助を考えてほしい」と訴える。

3、感想

 たいした知識もありませんが、知っている事を総動員して考えますと、こんな事が考えられます。

 第1点。高齢者だけで考えないで、幼児や子ども、あるいは青少年までを含めて考えるという風に発想を転換する。これにはかつて長野県で田中康夫さんが知事をしていた時に実施した宅幼老所という実例があります。私見では、「幼」と「老」だけでなく、少年も青年も中年も熟年もいていいと思います。

 我が浜松市にも街中に青少年センターとかいうのがありますが、すべての年齢層に開放できないのかな、と考えています。

 第2点。高齢者にも、障害者にも、出来る範囲で「仕事」を作る事。子どもに本を読んであげる事でも、昼食の準備を少し手伝うのでも、どこかを直すのでも、何でも少しでもいいのです。仕事をして、少しでも収入が得られればいいのです。働いて収入を得る事はその人を喜ばせるでしょう。これがその人に生きがいを与え、その人の健康を増進するのです。これの実践例には「夢の湖ムラ」とかいうのがあるはずです。

 第3点。どんな事業でもマネジャーが決定的だと言うことです。これは徳島県の池田町で成功した「葉っぱビジネス」の例があります。映画「人生いろどり」にもなりました。あれは、農協の経営指導員がマネジャーとなったのです。社会的起業家養成所みたいなものを造って、そういう人をどんどん生み出すべきだと思います。
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