小沢代表の「新政権の基本政策(案)」
小沢代表がこれを発表しました。09月21日の正式な代表決定を待って、更に具体化されたものが出ると思います。以下にそれを引用し、私見を述べます。
記(小沢案)
衆議院総選挙に勝利し、国民生活を顧みない自公政権を倒し、日本を再生させる新政権をつくる。新政権は「国民の生活が第1」の大原則に基づき、政治・行政の仕組みそのものをつくり替え、「格差がなく公正で、ともに生きていける社会」を築く。
第1項・すべての国民が安定した生活を送れる仕組み
(1) 確実・公正な「信じられる年金」の確立
1.「消えた年金記録」は国が総力を挙げて正しい記録に直し、被害を救済
2.「年金通帳」を全加入者に交付し、記録が消えないシステムに改める
3.すべての年金制度を一元化し、年金の基礎(最低保障)部分は全額税で賄う
(2) 誰もがいつでもサービスを受けられる医療・介護の確立
1.後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度を一元化する
2.「医師派遣制度」を創設し、医療現場の崩壊を防ぐ
第2項・安心して子育てと教育ができる仕組み
1.子ども1 人当たり月額2万6000円の「子ども手当」を支給
2.公立高校の授業料を無料化し、大学などの奨学金制度を拡充
第3項・まじめに働く人が報われる雇用の仕組み
1.国としてあらゆる手立てを講じ「働く貧困層」の解消に取り組む
2.中小企業を財政的に支援し最低賃金引き上げを進める
3.パートや契約社員を正規社員と均等待遇に
4.働く意欲のある限り生涯働ける制度を確立
第4項・地域社会を守り再生させる仕組み
(1) 農林漁業の再生
1. 農業者への「戸別所得補償制度」を創設し農業経営を安定させる
2. 漁業についても同様の所得補償制度の創設を検討
3. 安全な食料を国内で安定供給し、食料自給率を高める
4. 森林・林業への自立支援を進め、100 万人を目標に雇用を拡大
(2) 中小企業の再生
1. 「中小企業憲章」を定め、国がタテ割り行政を越えて総合的に支援
2. 地場の中小企業に税制面で研究開発や地域資源の活用を支援。
第5項・国民の生活コストを安くする仕組み
1. 全国の高速道路を無料化し物流コストを引き下げる
2. ガソリン、軽油の暫定税率を廃止し、増税分を国民に還元
3. 国のプロジェクトとして石油・ガス、原材料などの確保に取り組む。
第6項・税金を役人から国民の手に取り戻す仕組み
1. 特殊法人、独立行政法人、特別会計は原則として廃止
2. 役人の天下りを全面的に禁止し、税金のムダづかいを根絶。
第7項・地域のことは地域で決める仕組み
1. 国の行政は、国家の根幹にかかわる分野に限定
2. 地域の行政はすべて地方に任せ、本当の地方分権を実現する
3. 国の補助金はすべて廃止し地方に自主財源として一括交付。
第8項・国民自身が政治を行う仕組み
1. 国会審議は、国民の代表である国会議員だけで行う
2. 与党議員を100人以上、副大臣、政務官などとして政府の中に入れる
3. 政府を担う議員が政策・法案の立案、作成、決定を主導。
第9項・日本が地球のために頑張る仕組み
(1) 地球環境の保全
1. 温室効果ガス排出量の半減に向け、省エネルギーなどを徹底
2. 太陽光、風力など再生可能エネルギーの利用を推進する
(2) 主体的な外交
1. 強固で対等な日米関係を築くとともに、アジア諸国と信頼関係を構築
2. 国連の平和活動に積極的に参加すると同時に、国連改革を推進。
私は「日本再生」の大事業の先頭に立つことを誓う。(引用終わり)
(朝日、2008年09月09日による)
感想
1、全体として賛成です。問題点を好く知っていると感心します。
2、核心は第8項と第6項だと思います。要するに、これまでの日本は北沢栄さんの言葉で言うと「官僚社会主義」でしたので、これを「国民主権」「政治家主導」に変えるということです。
自民党の総裁選挙が行なわれていますが、5人の候補者の中でこの問題に触れている人は1人もいません。皆、知っているはずです。それなのに言わないということは、官僚社会主義のままで天皇気取りでやっていこうということです。論外でしょう。
小沢案の大欠点をあえて1つ挙げるならば、オンブズ制度とオンブズ教育の確立が落ちていることでしょう。スエーデンのような福祉国家でオンブズ発祥の地でも役人の不正や怠慢はなくなっていないそうです。しかし、それを言う前に、日本はまずスエーデンに追いつくことです。
3、この核心を一歩具体化したものが第7項です。地方分権です。しかし、ここに挙げられた具体案はイマイチだと思います。
地方分権の核心は、私見によるならば、文部科学省の解体です。文化や教育は中央集権になじまないということは、西欧諸国では公理です(例外はあります)。「国」レベルの文部省は必要ありません。それどころか、そんなものは有害無益です。
江戸時代のように、それぞれの藩(県)が自分の藩校(県立大学)を持っていて、独自に人材を育てることが大切だと思います。
今でも県立大学や地方国立大学(独立行政法人になりましたが)はありますが、東大と「並ぶ」ようなものにしようという意気込みも財政力もありません。これは文部科学省による「東大えこひいき」政策の結果です。これを解体しなければならないと思います。
因みに、ドイツでは別にベルリン大学が1番ということはありません。フライブルク大学とかテュービンゲン大学とかの小都市の大学でも一流です。
4、あとは各論ですから、今は論じません。これらの各論についての私見は「知事選の争点」で展開しています。今後も続けるつもりです。
5、最後に、財源はどうするのかというタメニスル疑念を提出している有識者がいますが、小沢代表は「政権の中枢にいた経験にもとづいて」、「大丈夫だ」と言っています。実際、権力の中心部の真相は闇に包まれています。これは財政だけでなく、アメリカとの関係などについても言えます。
財源の事は、権力の座についてから、本当の情報公開をし、特に役人の給与の本当の姿を明らかにしてから、国民に相談しつつ考えれば好いことです。私も全然心配していません。
関連項目
知事選の争点(その1、情報公開)
知事選の争点(その2、財政改革)
知事選の争点(その3、医師不足対策)
知事選の争点(その4、地震対策)