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ながく、牧野紀之の仕事に関心を持っていただき、ありがとうございます。 牧野紀之の近況と仕事の引継ぎ、鶏鳴双書の注文受付方法の変更、ブログの整理についてお知らせします。 本ブログの記事トップにある「マキペディアの読者の皆様へ」をご覧ください。   2024年8月2日 中井浩一、東谷啓吾

浜松にLRTを

2009年06月14日 | ア行
 浜松市の市街地に次世代型路面電車(LRT)を走らせようと構想している市民有志グループが、車両デザインを公表した。来年度には、約900億円をかけて6路線を整備する計画案を市に提案する予定だ。

 市は今年度中にLRTを含めた新たな交通システムの整備方針をまとめる考えだが、建設費がかさむことなどから計画の難航も予想されている。

 LRT構想を呼びかけているのは「都市交通デザイン研究会」で、昨年04月、静岡文化芸術大学(浜松市中区)の研究者や企業関係者、市民有志ら約50人が結成した。高齢化に備えた車社会の転換や渋滞緩和、環境への配慮などからLRT導入を柱に公共交通のあり方を研究している。

 研究会の構想によると、JR浜松駅-佐鳴湖パークタウン間などJR浜松駅を中心に6路線で総延長45㌔を計画。第三セクターなどの運営で2017年の実現を目標にしている。900億円かかるとされる費用は、半分を国の補助金で賄い、残り半分は民間の資本や経営手法を活用するPFI方式で調達するとしている。

 今回公表されたのは、世界初という2階建ての車両デザイン。自動車メーカーでデザインを手掛けた静岡文化芸術大の河岡徳彦教授の設計で、1階デッキの段差をすべてなくし、車いすやベビーカーの利用者らを想定した多目的スペースを設置。2階に通常の座席を設けた。

 同市は合併で市域が6倍に広がったため、バス中心の交通計画の見直しを迫られており、市も新交通システムの導入には前向きだ。昨年度から庁内に検討部会を設け、今年度中の方針公表を目指している。2007年秋には、地元の国会議員や市議らによる推進議員連盟もできた。

 国土交通省によると、現在富山市や熊本市、広島市などでLRTが走り、昨年02月時点で全国約70地域でLRT導入構想がある。しかし、車の利便性が落ちることへの住民合意の難しさや道路拡幅なども含めた建設費用がかさむことなどから、足踏みしているケースが多いのが実情だ。

 研究会の内田宏康事務局長は「LRTを核に、路線バスや自転車を組み合わせた人と環境に優しい浜松型の交通システムが必要だ。構想実現を目指す2017年には、市内の年間公共交通利用者を現在の倍に増やしたい」と話している。

  用語解説

 LRT ライト・レール・トランジットの略で、低床の路面電車などを活用した新交通システムを指す。交通渋滞の緩和や、排ガス抑制による環境への配慮などが期待されている。建設費用は1㌔20億~30億円程度とされ、地下鉄の5分の1以下で済む。

(朝日、2009年06月03日。滝沢隆史)

青森県(01、実力)

2008年11月22日 | ア行
 縄文時代最大級の三内丸山遺跡(青森市)。復元された巨大家屋の中にうずく
まると、祖先の見た炉の火照りの記憶が、体の奥底によみがえる。

 中世には十三湊(とさみなと)が、蝦夷地やアムール川流域相手の交易で繁栄し、城下町の八戸や弘前にも歴
史が折り重なる。

 太宰治、棟方志功、寺山修司、近年ではナンシー関と、個性豊かな人材が輩出してきた。

 冷害を克服し、リンゴ、ニンニクなど全国一のブランドを育てた農業県でもある。農家当たり耕地面積は
北海道に次ぐ2位、食料自給率118%は4位だ。

 しかし良港・八戸周辺を除いて工場立地は進まず、バブルにも昨今の輸出景気にも乗れなかった。個人所
得や有効求人倍率は都道府県最低水準で、2006年度の人口転出率はトップと、残念な指標が多い。

 意外な数字もある。バブルのピーク1990年度と個人所得のピーク1998年度を比べると、人口当たり課税対象所
得額は45%増、小売り販売額は11%増で、ともに都道府県1位なのだ。バブルがない分落ち込みもなく、六
ヶ所への原子燃料サイクル基地建設関連での底上げ、一部農産品のブランド化などが貢献した結果だ。

 市街地に都市機能を集中する「コンパクトシティー政策」で有名な青森市。空港着陸時に見下ろすと、市
街地の南を東西に走る高速道路を境に、広大な水田が残されているのが見える。
この光景こそ「人口が増えないのに開発地を拡大し、道路上下水道関連や除雪の負担に苦しむ」という多く
の市のたどる過ちを、明確なビジョンを持つ市長と市民が食い止めた証しだ。

 経済は苦しいが、人は本当に熱くて面白いこの県。今世紀にこそブレークの予感がする。

 (朝日、2008年11月08日)
 (地域経済アナリスト藻谷浩介、協力・日本政策投資銀行地域振興部)

石川県(01、実力)

2008年11月16日 | ア行
石川県(01、実力) 旧国名でいえば加賀と能登、名前からして旅情を誘う観光県だ。

 日本海の幸に、白山の深山幽谷、あまたの温泉郷。九谷焼、輪島塗などの伝統工芸に、城下町・金沢の街並みに息づく加賀文化。人口当たり小売り販売額115万円(2006年度速報値)は東京、京都、愛知に次ぐ全国4位で、大阪や福岡を上回る。観光客のお買い上げによる底上げ効果だ。

 経済力も侮れない。人口当たり工業出荷額は全国中位。長い海岸線のほとんどを自然のまま残すが、繊維、機械、電子機器など内陸型地場工業が集積し、県内事業所の4分の1が製造業だ(比率は都道府県4位)。人口当たり個人所得(2005年の課税対象所得)も14位と、地方圏ではトップクラス。

 文化水準も高く、人口当たりの書店売り上げは東京、大阪、京都に次ぐ4位だ。

 残念なのは郊外開発の加熱だ。金沢周辺の11の大学はばとんどが郊外の造成地に移転・新設。県庁も中央病院も水田を埋めた上に立つ。郊外大型店の急増で、人口当たりの小売店売り場面積は全国トップだが、小売り販売額を売り場面積で割った床効率は1990~2006年に4割も低下(低下率3位)。人口の割に開発地を増やしてきたツケが、自治体財政に回らねばいいが。

 赤いポルシェで空港まで送ってもらった。運転する若い女性は、加賀市で輸入業を営む創業社長さん。琴もひけばお茶もたしなむが、仕事もリーダーシップも第一級、という彼女のような人がこの県には多い。「うちは実力主義、女性の管理職登用は当たり前」と、ある県内有力企業の男性幹部。

 文化と産業の共存する県を次世代につなげる、現代の「利家とまつ」に期待したい。

  (朝日、2008年09月13日。
 (地域経済アナリスト藻谷浩介、協力・日本政策投資銀行地域振興部)


赤川次郎さんの日本語(移轍とは何か)

2008年10月21日 | ア行
 赤川次郎氏はオペラについてのコラムの後、今度は「劇場に行こう」と題するコラムを朝日新聞に連載しています。これは要するに舞台芸術についての批評ということでしょう。

 その内容はオペラの時から門外漢の私にも面白いもので、(多分)欠かさず読んでいますが、作家であるにもかかわらず、その日本語については少し疑問を感じることがあります。

   1、「は」の重複

 第1は、助詞の「は」の重複ということです。

 1. あの有名な「女心の歌」は、たいていのテノールのアリア集に入っていて、私もこの歌はよく知っていたが、これが歌われるオペラ「リゴレット」を見たのは、ずいぶん後になってからである。(朝日、2008年08月20日)

 感想・「あの有名な「女心の歌」は」と提題したのに、さらに「この歌は」と繰り返したのは余計だったと思います。「あの有名な「女心の歌」は、たいていのテノールのアリア集に入っていて、私もよく知っていたが」で充分でしょう。

 次の「これが歌われるオペラを見たのは」は小主題ですから、適当でしょう。

 2. 見たいと思う舞台やコンサートは、なぜか重なるもので、特に秋になるとコンサートやオペラの類はぐっと過密になる。(朝日、2008年10月02日)

 感想・2つ目の「コンサートやオペラの類は」は必要でしょうか。これを除くと、「見たいと思う舞台やコンサートは、なぜか重なるもので、特に秋になるとぐっと過密になる」となります。この方が好い日本語だと思います。

   2、どうしても見逃せない(?)

 それはともかく今回(2008年10月15日夕刊)は次の文が気になりました。

 3. そして今年、3年ぶりの舞台がイプセンの「人形の家」とあっては、どうしても見逃せないものだった。

 私が疑問とすることは、このように「どうしても」を「見逃せない」という否定句に掛けるのは正しいかということです。

 学研の「国語大辞典」で「どうしても」を引いてみました。次のように書いてあります。

 第1の意味は、「どんなに努力しても」「どんな方法を使っても」「どう考えても」「どうみても」とあります。

 そして、「参考」として、「下に打ち消しの語をともなう」とあり、例文として、「どうしても分からない」が挙がっています。

 第2の意味は、「どんな事があっても」「必ず」「ぜひとも」とあります。

 そして、文例としては、「どうしても行きます」があり、用例としては、「結局結婚の相手というものはどうしてもこれでなくちゃということで決まるんじゃない~」(森本「女の一生」)があります。

 赤川氏のこの文は、下に打ち消しが来ていますから、第1の意味かと言いますと、違うと思います。第1の意味の場合で「下に来る打ち消しの語」とは、「肯定的な内容を持った言葉(の打ち消し)」だと思います。つまり、どうしても出来ない、どうしても分からない、どうしても乗り越えられない、とかだと思います。

 ここは第2の意味と解するしかないと思います。従って、下には打ち消しは来ないと思います。従って、ここは「どうしても見なければならない」と下を肯定形にするか、「絶対に見逃せないものだった」と前を代えるかだと思います。

 赤川氏の文のままでもいいのだ、今ではそういう使い方もある、と言うとすると、これは関口存男(つぎお)氏の言う「移轍」、三上章氏の言う「途中乗り換え」になると思います。

   3、移轍とは何か

 移轍とは関口氏の説明では、「2つの文(A文とB文)が意味がよく似ていると、A文と結びつきうる句は、多少文法上の無理があっても、同時に又B文とも結びつくようになる現象」(新ドイツ語文法教程、63項備考)のことです。

 たとえば、好く使われる言い方に、「暗くならない前に」とか「お前が生まれない前に」といったように、「~しない前に」と言う言い方がありますが、これは「暗くならない内に」から「暗くなる前に」への、「お前が生まれない内に」から「お前が生まれる前に」への移轍だということです。

 三上章氏はこれを「途中乗り換え」と言っています。例えば、「彼女があの夜のことをどれだけ苦しんだかどうか知らない」という文は、

 A・彼女があの夜のことをどれだけ苦しんだか知らない。
 B・彼女があの夜のことを苦しんだかどうか知らない。

という2つの可能な文で、AからBへ途中で乗り換えてしまったと理解するのです(日本語の構文、133頁)。

 私の拾った例を2つ、出します。

 「間崎は床に腹這い、枕の代りに両肱に顎を支えて」(石坂洋次郎「若い人」)という文は、「両肱に顎を乗せて」の前半から「両肱で顎を支えて」の後半に移轍したのだと思います。

 石川達三の「人間の壁」に、「この地方に来るのは初めての旅だった」という文がありますが、これは、

 A・この地方に来るのは初めてだった。
 B・この地方へは初めての旅だった。

という2つの可能な文で、AからBへの移轍だと思います。

 従って、現下の赤川氏の例で考えますと、本来は、

 A・どうしても見に行かなければならない
 B・絶対に見逃せない

という2つの言い方しかないのですが、それが混線して、途中でAからBに移ってしまったと理解するのです。

 そして、こういう言い方が広く使われるようになった結果、それもおかしく感じられなくなってしまったということです。

 移轍でも広く使われて認められてしまったものから、間違いと言わざるを得ないものまで色々あるのです。

 ともかく少し気になったので書きました。ご意見をどうぞ。

     お知らせ

 本日「教育の広場」に「(家計の金融資産)」をアップしました。


沖縄(01、環境問題)

2008年10月16日 | ア行
 沖縄の環境問題は、米軍基地の存在によって幾重にも規定されている。

 まず、基地はそれ自体が巨大な汚染源である。だれにでもわかる騒音や振動は、裁判の対象になるほどその存在が知られているが、測定器にかかりにくい低周波振動はまだ調査がほとんど手をつけられていない。普天間飛行場について私たちが測ったところでは、少なくとも耳にきこえる周波数と同等か、それ以上のエネルギーが放出されていることがわかった。

 基地は、その任務を遂行するために、多種多様な有害物質を使い、内部に蓄えているが、その存在は軍事機密として外から知ることは極めて困難である。それでも時折基地の排水口からポリ塩化ビフェニール(PCB)が見つかったり、返還された恩納通信所の浄化槽から水銀、カドミウム、ヒ素、PCBが発見されたりした。

 このような汚染があっても米軍は地位協定で原状回復や汚染除去の義務をもたないから、日本側がそれを処理しなければならない。これから返還される基地の中に何があるか、浄化にどれぐらいの費用がかかるか、見当がつかない。

 沖縄の飲料水の大部分を供給するダムも演習地の中にあり、その流域では海兵隊が過酷な訓練をしている。

 基地そのものの環境破壊もさることながら、全県的には公共事業も大きい。基地の重圧にたえかねて県民が声をあげれば、「口止め料」の金がいくらでも中央政府から流される。海兵隊員の少女暴行事件があったら即座に50億円、知事が交代すれば100億円、沖縄島北部に普天間基地を移転すれば12市町村に毎年あわせて100億円ずつ10年間、何に使ってもよい金が出る。

 この税金で行われるエ事の多くは、沖縄の自然条件に合わない乱暴なもので、自然を破壊する結果になるものが多い。土地改良や林道の建設はその最たるもので、補助金がつくからという理由で、農民が求めなくてもエ事は強行され、そこから赤土が際限なく流れて沿岸のサンゴを埋め、殺す。

 一方、沖縄島南部の河川は畜産の排水で汚染され、何の用途にも使えない。

 補助金のつかない事業は後回しになり、環境部局は開発部局の支配下で声も出せないという状況のもとで「ヤマト」(日本)の税金が「オキナワ」を腐らせる過程の中にあって、ささやかながら声をあげているのが私たちの現状である。

 本心を言えば、米軍への「思いやり予算」も補助金も来なくなってくれれば、沖縄も目が覚めるということを正直に言っておこう。

  (朝日、2000年09月01日、宇井純)

NHK(06、NHKと公共放送)

2008年10月11日 | ア行
         林 香里(かおり)(東大教員)

 いま、NHK改革(民営化)と受信料制度の見直しがワンセットで議論されているが、私はこれを切り離して考えるべきだと思う。

 議論の背景には、NHKの度重なる不祥事と受信料不払いの広がりがある。が、だからといって視聴者が「市場原理導入か公共性重視か」の二者択一を迫られる理由はどこにもない。

 公共放送としてうまく機能していないならNHKに受信料のすべてを配分する必要はなく、放送の公共性に貢献する人々や組織に分け与えればよい。たとえばドイツには複数の公共放送協会があって、それぞれに受信料が分配されている。

 各協会は番組づくりで競合し、公共放送同士の競争がある。さらに受信料の2%は、民間放送を監督する独立機関の運営費と、市民がつくった番組を流す「パブリック・アクセス・チャンネル」の振興に使われる。

 日本の放送法は、NHKの放送を受信できる設備を設置した者は、NHKと受信契約しなければならないと規定している。これを改めて、受信料はより広く「日本の公共的な放送および放送文化の推進のために使う」としてはどうだろうか。いわば、受信料を公共化するのだ。

 受信料の新しい用途はいろいろ考えられる。近年、独立系ビデオ・ジャーナリストたちの活躍がめざましいが、彼らは、日本のマスメディアがほとんど取り上げてこなかった世界の紛争地域に出かけて取材を行い、現地から映像を送ったり、ドキュメンタリーを制作したりしている。こうしたフリーランスのジャーナリストたちのための基金を創設することも一案だ。あるいは、責任感と倫理観をもつプロフェッショナルなジャーナリストを養成する教育機関を設立し、その運営資金に充ててもよい。

 さらには、他国と共同で国際公共放送チャンネルをつくることも考えられる。再びドイツの例を出せば、90年代初頭にドイツ公共放送各局はフランス公共放送と協力しARTEというテレビ放送局を立ち上げた。ARTEは、独自に制作したニュースや文化番組をフランス語とドイツ語で同時放映しており、グローバルな視点をもった独特の放送スタイルを確立した。その実績は高く評価されている。

 日本もアジアの近隣諸国と協力して新たな公共放送局を模索してはどうか。当然のことながら、こうしたアイデアによって、現在のNHK組織本体は大幅に縮小されることになろう。

 受信料の徴収については複数の使用主体が徴収のための共同事業体を立ち上げ、それが、時代に見合った受信料制度を探っていく協議の場としても機能するようにしてはどうか。

 これまでに出ている(NHK改革→公共放送・受信料制度の廃止→民営化)という論法はあまりにも短絡的だ。「公共放送制度を守ることにはやぶさかでないが、このままのNHKを擁護し続けることはもうできない」という人は多いのではないだろうか。ならば、制度としての公共放送を推持・発展させながら、組織としてのNHKは縮小させていく道があるのではないだろうか。

 既存の枠組みにとらわれず「公共放送」という言葉の意味を現代社会の可能性にあわせて根底から掘り起こしていかなければならない。このことはグローバル化する世界の中の多様で公正な情報流通、そして日本の民主的な世論形成にとって大きな問題なのである。

  (朝日、2006年02月01日)

   感想

 要するに、公共放送という概念とNHKとは必ずしもイコールではない、ということでしょう。

 私見では、受信料の一部を民放にも配分するべきだと思います。私立大学に補助金を出しているのと同じと考えるのです。

 NHKのホームページから経営委員会にメールを送ろうとすると、独自のメルアドがなく、NHKの一部に送られるようになっています。NHKを監視するべき経営委員会がNHKに監視されているのです。

 まずこれを是正して、経営委員会が独立することが前提でしょう。

NHK(05、経営委員会、次期経営5カ年計画を承認せず)

2008年10月09日 | ア行
 NHK経営委員会は09月25日、09月公表をめどに審議してきた執行部提案の次期経営5ヵ年計画について承認しないことを決めた。

 委員会終了後の会見で古森重隆経営委員長(富士フイルムホールディングス社長)は「抜本的な構造改革の策がなく、示された数値を肉付けする戦略や戦術が足りない」と述べ、2008年度からの経営計画は1年先延ばしし、執行部側に計画の再提案を求めたことを明らかにした。

 執行部側と経営委員による「経営改革ステアリングチーム(仮称)」を新設し、遅くとも来年(2008年)09月までかけ計画を作り直すという。

 経営委が執行部提案の経営計画を事実上、突き返すのは極めて異例。懸案だった受信料値下げは、当面見送られる。

 経営委は全員一致で経営計画への見解をまとめ、「公共放送としてのNHKの将来のビジョンが十分に示されていない」、「抜本的な構造改革の施策が十分に示されていない」など、8項目について執行部案の不十分な点を指摘した。

 受信料値下げについて古森委員長は、「執行部が還元策を示したこと自体は評価する」としながら、「質も畳も不十分。抜本改革すればもっと大幅に下げられる」として、執行部案を退けた。

 見解では、特に受信料収入が今後増加するとしてい執行部案について「根拠に十分な説得力がない」と指摘。受信料の公平負担実現のための施策として「受信料の支払い義務化」をとるなら、国民に理解を得るための方法、義務化以外の策をとるならその方法を示すベきだと主張している。

 橋本元一NHK会長は「04月以降経営委員会に説明し、09月の発表に向け誠実に対応してきましたが、議決が得られなかったのは極めて残念です。『経営委員会の見解』は本日突然示されたものであり、内容を吟味した上で対応していきます」とのコメントを出した。

   (朝日、2007年09月26日)

NHK(04.関連団体の利益剰余金)

2008年10月08日 | ア行
 NHKの子会社など関連33団体の利益剰余金が2005年度末で総額886億円に上っていることが、会計検査院の調べでわかった。検査院は09月12日、検査結果を国会に報告した。

 関連団体について、NHKとの取引の大半が随意契約による業務委託となっている上、実際の支払額のチェックが不十分なため、高コスト体質となっていると指摘。「十分な財務上の余力がある」として、NHK に対する配当を増やすよう促した。

 検査結果は受信料の大幅値下げを求める経営委員会と、小幅にとどめようとするNHK側との議論に影響を与えそうだ。

 報告書によると、NHKの関連団体は、出資している子会社21社、株を保有するなどして実質的に支配している関連会社4社と公益法人など9団体がある。

 このうち決算書類が異なるNHK健康保険組合を除く33団体の2005年度の収入は計2847億円。利益剰余金は、「NHKスペシャル」の制作などで知られるNHKエンタープライズの 155億円をはじめ、計886億円となっていた。

 海外の2社を除く子会社19社の自己資本比率の平均は59,2%で、検査院は「財務面での健全性は高い」と指摘。「一定以上の規模での配当が十分可能」とした。

 関連団体との取引については、3000万円以上の業務委託の9割以上が随意契約となっており、経費の検証も不十分、などと指摘。「主たる財源が受信料である以上」取引を通じて関連団体に過剰な利益を与えないようにすべきだ」とし、改善を促している。

 検査結果について、監督する総務省関係者は「子会社は多くのNHK 退職者の再就職を受け入れているとの批判もあり、視聴者に還元しろという話になるだろう」。

 NHK広報局は、関連団体の利益剰余金について「子会社の事業規模からみて、世間一般の株式会社と比して特に過大なものであるとは考えていません」とコメントした。

   解説(高コスト構造浮かび上がる)

 会計検査院の指摘は、個々の不祥事の究明では及ばなかった構造的な問題を浮かび上がらせたことに意味がある。

 計886億円に達した関連団体の利益剰余金、その取引での随意契約比率の高さ、NHK職員削減の実態を細かく洗い出し、高コスト構造を浮き彫りにした。近くまとめられる5ヵ年経営計画や受信料値下げの検討で参考にすべき内容に富んでいる。

 2005年度からはNHKと関連団体との3000万円以上の取引における随意契約の理由、外部との取引金額での随意契約率は公表されてきた。しかし、今回の検査は2005年度で随意契約率が関連団体は98%と、関連団体以外の21%に比べ、際立って高いことを明らかにした。

 関連団体職員については、2005年度末で5435人のうちNHKの給与水準と変わらない出向591人、転籍1081人と計31%を占めていること、常勤役員161人の87%がNHK退職者だったことを明記し、受け皿ぶりをあぶり出した。

 昨年1月に発表されたNHK3ヵ年経営計画で、1200人の職員削減、子会社統合による効率的な体制、競争契約の推進を掲げた。しかし、関連団体を含めた抜本的なコスト削減を踏まえて受信料額を決めていく必要がある。検査院が「取引を通じて関連団体に過剰な利益を与えること」に懸念を示したのは、重要な問題提起といえる。

(朝日、2007年09月13日、編集委員・川本裕司)

英語教育(01、英語信仰、脱却を)

2008年09月27日 | ア行
 「英語が使える日本人」を増やそうという政府の方針が教育の現場に混乱を招いている。先日、慶応義塾大学で開かれたシンポジウムに小学校から大学までの教員や大学生ら500人以上が集まり、最近の文科省の英語教育をめぐる急な動きを批判した。

 発端は、2002年に文科省が策定した「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」と2003年の「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」だ。

 これを受けて今年03月末、小学校での外国語(主に英語)必修を含む新学習指導要領が告示され、05月には総理の教育再生懇談会が第1次答申を発表、「英語教育を抜本的に見直す」と踏み込んだ。

 英語教育の強化は、英語教師にとって一見良いことのようだが、そう単純ではないらしい。シンポの代表を務めた慶大の大津由紀雄教授は冒頭言った。「最近の動きは学校英語を英語運用能力に対する社会的要請という観点のみから規定し、TOEICなどの数値目標の達成だけが目的化しているため、教育全体に混乱をきたしている」。文科省が作成した小学生向け「英語ノート」試作版を「英語の自然な語順を尊重していない」と具体的に批判した。

 筑波大学の津田幸男教授は、「日本人は英語を話さねばならない」という強制は、欧米崇拝を生みかねないと言う。広島修道大学の山田雄一郎教授は、教育の基本は「日本語で言うべきことを言う堂々とした日本人」と述べた。

 第2部で和歌山大学の江利川春雄教授は「戦略構想」以降の流れが、2000年に経団連が出した「グローバル化時代の人材育成について」を下敷きにしており、教育が経済界の要請のみに従う問題を指摘した。

 最後に第2部の司会をした東大の斎藤兆史准教授は、最近の会話重視で学生の英語力が落ちている現状を述べ、文法や読解など基礎教育の重要性を語った。

 パネリストの7人は、文科省と教育再生懇談会あてに「英語数膏のあり方に関する要望書」を出すべく、署名活動を始めている。「要望書」案には、「戦略構想」「行動計画」の批判的検証、数値目標の撤廃、英語一辺倒からの脱却などが盛られている。拙速な英語必要論に走らず、なぜ、そしてどんな英語が日本人に必要か、もう一度考え直す時期に来ている。
  (朝日、2008年09月25日。古賀太)

     関連項目

高田誠著「英語の学び方」

小沢一郎

2008年09月11日 | ア行
     小沢代表の「新政権の基本政策(案)」

 小沢代表がこれを発表しました。09月21日の正式な代表決定を待って、更に具体化されたものが出ると思います。以下にそれを引用し、私見を述べます。

        記(小沢案)

 衆議院総選挙に勝利し、国民生活を顧みない自公政権を倒し、日本を再生させる新政権をつくる。新政権は「国民の生活が第1」の大原則に基づき、政治・行政の仕組みそのものをつくり替え、「格差がなく公正で、ともに生きていける社会」を築く。

第1項・すべての国民が安定した生活を送れる仕組み
(1) 確実・公正な「信じられる年金」の確立
  1.「消えた年金記録」は国が総力を挙げて正しい記録に直し、被害を救済
  2.「年金通帳」を全加入者に交付し、記録が消えないシステムに改める
  3.すべての年金制度を一元化し、年金の基礎(最低保障)部分は全額税で賄う

 (2) 誰もがいつでもサービスを受けられる医療・介護の確立
  1.後期高齢者医療制度は廃止し、医療制度を一元化する
  2.「医師派遣制度」を創設し、医療現場の崩壊を防ぐ

第2項・安心して子育てと教育ができる仕組み
  1.子ども1 人当たり月額2万6000円の「子ども手当」を支給
  2.公立高校の授業料を無料化し、大学などの奨学金制度を拡充

第3項・まじめに働く人が報われる雇用の仕組み
  1.国としてあらゆる手立てを講じ「働く貧困層」の解消に取り組む
  2.中小企業を財政的に支援し最低賃金引き上げを進める
  3.パートや契約社員を正規社員と均等待遇に
  4.働く意欲のある限り生涯働ける制度を確立

第4項・地域社会を守り再生させる仕組み
 (1) 農林漁業の再生
  1. 農業者への「戸別所得補償制度」を創設し農業経営を安定させる
  2. 漁業についても同様の所得補償制度の創設を検討
  3. 安全な食料を国内で安定供給し、食料自給率を高める
  4. 森林・林業への自立支援を進め、100 万人を目標に雇用を拡大

 (2) 中小企業の再生
  1. 「中小企業憲章」を定め、国がタテ割り行政を越えて総合的に支援
  2. 地場の中小企業に税制面で研究開発や地域資源の活用を支援。

第5項・国民の生活コストを安くする仕組み
  1. 全国の高速道路を無料化し物流コストを引き下げる
  2. ガソリン、軽油の暫定税率を廃止し、増税分を国民に還元
  3. 国のプロジェクトとして石油・ガス、原材料などの確保に取り組む。

第6項・税金を役人から国民の手に取り戻す仕組み
  1. 特殊法人、独立行政法人、特別会計は原則として廃止
  2. 役人の天下りを全面的に禁止し、税金のムダづかいを根絶。

第7項・地域のことは地域で決める仕組み
  1. 国の行政は、国家の根幹にかかわる分野に限定
  2. 地域の行政はすべて地方に任せ、本当の地方分権を実現する
  3. 国の補助金はすべて廃止し地方に自主財源として一括交付。

第8項・国民自身が政治を行う仕組み
  1. 国会審議は、国民の代表である国会議員だけで行う
  2. 与党議員を100人以上、副大臣、政務官などとして政府の中に入れる
  3. 政府を担う議員が政策・法案の立案、作成、決定を主導。

第9項・日本が地球のために頑張る仕組み
 (1) 地球環境の保全
  1. 温室効果ガス排出量の半減に向け、省エネルギーなどを徹底
  2. 太陽光、風力など再生可能エネルギーの利用を推進する

 (2) 主体的な外交
  1. 強固で対等な日米関係を築くとともに、アジア諸国と信頼関係を構築
  2. 国連の平和活動に積極的に参加すると同時に、国連改革を推進。

 私は「日本再生」の大事業の先頭に立つことを誓う。(引用終わり)
  (朝日、2008年09月09日による)

     感想

 1、全体として賛成です。問題点を好く知っていると感心します。

 2、核心は第8項と第6項だと思います。要するに、これまでの日本は北沢栄さんの言葉で言うと「官僚社会主義」でしたので、これを「国民主権」「政治家主導」に変えるということです。

 自民党の総裁選挙が行なわれていますが、5人の候補者の中でこの問題に触れている人は1人もいません。皆、知っているはずです。それなのに言わないということは、官僚社会主義のままで天皇気取りでやっていこうということです。論外でしょう。

 小沢案の大欠点をあえて1つ挙げるならば、オンブズ制度とオンブズ教育の確立が落ちていることでしょう。スエーデンのような福祉国家でオンブズ発祥の地でも役人の不正や怠慢はなくなっていないそうです。しかし、それを言う前に、日本はまずスエーデンに追いつくことです。

 3、この核心を一歩具体化したものが第7項です。地方分権です。しかし、ここに挙げられた具体案はイマイチだと思います。

 地方分権の核心は、私見によるならば、文部科学省の解体です。文化や教育は中央集権になじまないということは、西欧諸国では公理です(例外はあります)。「国」レベルの文部省は必要ありません。それどころか、そんなものは有害無益です。

 江戸時代のように、それぞれの藩(県)が自分の藩校(県立大学)を持っていて、独自に人材を育てることが大切だと思います。

 今でも県立大学や地方国立大学(独立行政法人になりましたが)はありますが、東大と「並ぶ」ようなものにしようという意気込みも財政力もありません。これは文部科学省による「東大えこひいき」政策の結果です。これを解体しなければならないと思います。

 因みに、ドイツでは別にベルリン大学が1番ということはありません。フライブルク大学とかテュービンゲン大学とかの小都市の大学でも一流です。

 4、あとは各論ですから、今は論じません。これらの各論についての私見は「知事選の争点」で展開しています。今後も続けるつもりです。

 5、最後に、財源はどうするのかというタメニスル疑念を提出している有識者がいますが、小沢代表は「政権の中枢にいた経験にもとづいて」、「大丈夫だ」と言っています。実際、権力の中心部の真相は闇に包まれています。これは財政だけでなく、アメリカとの関係などについても言えます。

 財源の事は、権力の座についてから、本当の情報公開をし、特に役人の給与の本当の姿を明らかにしてから、国民に相談しつつ考えれば好いことです。私も全然心配していません。

     関連項目

知事選の争点(その1、情報公開)
知事選の争点(その2、財政改革)
知事選の争点(その3、医師不足対策)
知事選の争点(その4、地震対策)

NHK(03、スポンサーつきの広報番組)

2008年09月06日 | ア行
 NHKの子会社が政府機関などから1000万円単位のカネを受け取ってシンポジウムの運営を受注し、後日、NHKが放送番組として、これらのシンポを取り上げていたことが明らかになった。

 番組を見ても、子会社が受注したことは伏せられており、政府など外部機関が主催したことを告知しない番組も多かった。「事実上スポンサーつきの広報番組だ」との批判が有識者から出ている。

 受注したのは、「NHKエンタープライズ」「NHK情報ネットワーク」など制作子会社3社。3社の株はNHKが過半を所有。役職員もNHKの出身が多く、グループとしての一体性が強い。

 このため、発注者側はNHKで放送されると信じ、契約したケースが目立つ。契約金はシンポ1件あたり1000万~3000万円。発注者が政府機関の場合は国の予算から支出されている。

 シンポの司会はたいてい、NHKアナウンサーや解説委員が務め、後日、そのシンポはNHK教育テレビの「日曜フォーラム」や衛星第2テレビの「BSフォーラム」で全国放映された。

 多くの場合、子会社は「NHKへの番組提案権」を武器に営業し、受注に成功していた。番組を企画立案し、NHK本部に取り上げるよう直接提案できるのは、2006年07月に外部に一部開放されるまで長く3杜だけに限られていた。中には事実上放送を約束したうえで契約した例や、契約書に「番組制作及び放映に関する業務」と明記した例もあった。

 放送法では、政府を含む特定の者の利益のためにNHKが放送をすることは認められておらず、NHKはスポンサーをつけず、受信料で番組制作するのを建前としている。

 米国では、政府がカネを出していることを視聴者に知らせず、政策宣伝することは「非公然プロパガンダ」として原則禁じられている。2005年、米政府の教育政策をほめる放送番組の裏で、教育省が出演者に金銭を渡していたことが発覚。議会の会計検査院は「違法だ」と同省に是正を要求した。

 英国の公共放送BBCはガイドラインで「イベントの主催者から放送費用に充てられるカネを受け取ってはならない」と定めている。

 放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会委員の服部孝幸・立教大学教授も「こうした放送は『広報』。直接NHK本体に契約金が入っていないとしても、子会社を隠れみのにしているだけだ」と批判。

 オックスフォード大学などでBBCとNHKを比較研究してきたヘンリー・ローレンス博士は「事実だとすれば、政府とNHKの関係があまりに近い。公共放送は政府の影響から自由でなければならないが、政府機関から個々の番組に支払いがあるのならば、それが不可能になる」と論評した。

   NHK広報局の話

 番組化されたシンポはいずれも公共性の高いもので」官公庁などの広報番組とはまったく異なる。関連団体によるシンポの企画運営は株式会社として正当な事業で、放送を前提にした営業を行っている事実はない。

 シンポの主催者を毎回明示する必要や、企画・運営をどこがいくらで受注しているかを放送の中で伝える必要はないと考える。それぞれのテーマについてシンポの出席者の発言を紹介し、視聴者に考えていただく材料を担供することが番組の狙いだからだ。

   NHK子会社が受注し、NHKで放送されたイベント
           (情報公開された書類などから)

主催者・発注者  契約金額  イベントの内容    放送年月

厚生労働省  8532万円  「ものづくり立国」 シンポジウム(5回)2007年02月03月
同上、高齢障害者雇用支援機構 7030万円 脱年齢時代-どうなる雇用と生活 07年10月
道路公団、「中日本高速道路」 3371万円 東海北陸道全通記念フォーラ ム 08年06月
総務省統計局  2723万円  国勢爾査シンポジウム  2005年10月
経済産業省   2314万円  悪質商法対策を考える  2006年03月
経産省、「新エネ・産業技術開発機構」 1961万円 掘り起そう!身近な資源 07年01月
太陽光発電協会(三洋、シャープなどが会員) 千数百万円 どう進める?太陽 光発電 07年7月
国交省、日本離島センター 1000万円 島の漂着ゴミから考える 2004年12月
厚労省、「日本メディカル給食協会」 約1000万円 病気は食事で治そう 2005年04月
金融広報中央委 (日本銀行に事務局) 非公表 おかねのシンポジウム 2004年11月

  (朝日、2008年08月22日。奥山俊宏、蛭牟田繁)

NHK(02、NHKへの手紙と回答)

2008年08月27日 | ア行
 NHKに手紙を出して、返事をもらったり、もらわなかったりしました。

 特に、ラジオドイツ語講座では文法上の疑問がかなりありました。返事をくれない講師も多かったです。

 私見では、NHKのラジオ番組で批判的な手紙を積極的に取り上げてきちんと答えるのは、ラジオ深夜便と夕方の「いきいき~」(正確な名前を忘れました。今も続いているかも知りません)の2つだと思います。

 教養番組こそ議論の模範であってほしいと思います。

 →「NHKの広場


NHK(01、身内びいき)

2008年08月24日 | ア行
4、会長が肯定

 懲戒処分を受けたNHK職員が、依願退職や定年退職後、関連団体などに相次ぎ再雇用されている問題を巡り、NHKの福地茂雄会長は08月28日、記者団に対して、「手続き的に間違っていない」と話した。
  (朝日、2008年08月29日)

3、カラ出張元幹部も再雇用

 懲戒処分を受けたNHK職員が関連団体などに相次ぎ再雇用されている問題で、カラ出張を繰り返していたとして厳重注意や出動停止の処分を受けた元幹部も」今年06月の定年退職後に関連団体「NHK情報ネットワーク」へ再雇用されていたことが08月21日、分かった。

 懲戒処分を受けた職員がNHKや関連団体に再び雇われているのが明らかになったのは、これで5人目。

 NHKは「本人は処分後、まじめに仕事をして定年を迎え、再雇用されたと(ネットワークから)聞いている」と話している。
  (朝日、2008年08月22日)

2、山口・宮山元局長も退職後に雇われる

 セクハラ問題で処分を受けた元NHK熊本放送局長が、定年退職後に関連団体に再就職していた問題が分かった08月15日、同様に不祥事後に退職したNHKの元幹部が関連団体に再雇用されたり、番組批評のモニターとして採用され報酬を受け取っていたりすることも明らかになった。

 1999~2004年に出張旅費の不正処理をした元山口放送局長は、関連団体「NHKサービスセンター」に契約職員として雇用されていた。2006年06月に停職1ヵ月の処分後、依願退職。2007年10月に1年契約で雇用され視聴者の電子メールに対応する業務にあたっている。

 元富山放送局長は2006年05月、万引きしたとして、停職3ヵ月の懲戒処分を受けた。その後、依願退職したが昨年11月からNHK放送センター(東京・渋谷)の考査室で専門モニターとして番組の批評などを報告し、報酬を得ているという。期間は今年10月まで。
  (朝日、2008年08月16日)

1、セクハラ処分の局長の天下り

 セクハラ事件を起こしたNHKの元本放送局長が、定年退職後今年07月、関連団体のNHK情報ネットワークに再就していたことが08月15日、明らになった。NHKによる、懲戒処分を受けた元職員の関連団体への再就職については規定がなく、NHK広報局は「情報ネットワークの判断によるもの」としている。

 元局長は2007年春、宴会の席で女性にセクハラの疑いのある行為をしたとして、今年の04月に懲戒処分で熊本放送局長を解任され、東京の放送終局付になった。今年、06月に定年退職した。
  (朝日、2008年08月15日)

秋田県(01、実力)

2008年07月23日 | ア行
 秋田県の人口減少率は都道府県ワースト1位(2000~2005年、国勢調査)。だがこの県は、そんなに住みにくい地域なのだろうか。

 わが国の食料自給率(カロリーベース)は40%を切った。東京や大阪だけ見れば1~2%で、かなりひどい。ところが秋田の食料自給率は174%と、北海道
の195%に次いで全国2位(2006年度、農林水産省資料)。「あきたこまち」に代表される米はもちろんだが、山菜や畜産物、日本海の海の幸も、豊富の一語に尽きる。

 北海道に比べれば気候は暖かいし、比内地鶏、しよっつる、いぶりがっこに稲庭うどんなど、北前船経由で浸透した関西の味文化の影響を感じさせる伝統食材も魅力だ。

 実りの秋の一日。見渡す限り美田の広がる大潟村で、地元の方々ときりたんば鍋を囲み、「本当にいい米からはまろやかなダシが出る」ことを知った。広大な八郎潟干拓地に暮らす村民は3300人余りに過ぎないが、農家の多くは法人化され、周辺市町村から多くの農業労働者が通勤してくるため、昼間人口は夜間の120%を超える。

 野菜栽培や畜産も盛んで、村営温泉ホテルのレストランでは、ほぼすべて村内産食材のディナーコースが振る舞われる。近年の米価の低迷は打撃だが、全国への産品直販努力の結果、人口あたりの小売り販売額は全国の市町村の中で堂々の2位(大型店のない市町村では1位)だ。

 残念なことに、大潟村が最近分譲した50区画余りの住宅地は、Uターン者や移住者に人気で、早々に完売状態だ。乗り遅れたあなたも、秋田の他の市町村に第二の故郷を探してはいかがだろう。

(地域経済アナリスト藻谷浩介、協力・日本政策投資銀行地域振興部)
  (朝日、2008年05月10日)

「生きているこども共和国」(村田栄一著)

2008年06月17日 | ア行
     「生きているこども共和国」(村田栄一著、風媒社)

 本書は、スペインの「ベンポスタ子ども共和国」についてのルポルタージュです。前か
らこれを知っていた著者(元教師)が、1990年春に公開されたドキュメント映画「ベンポ
スタ子ども共和国」(幻燈社)の取材に同行した際に詳しくルポして、書き下ろしたもの
です。1991年11月刊行、執筆は同年05月。


     目次

1、生きているこども共和国
2、ベンポスタへようこそ
3、夢のはじまり
4、耕しの丘へ
5、サーカスに託す理想

6、ベンポスタに生きる
7、〔ベンポスタ子ども共和国の〕市民への道
8、大冒険
9、ベンポスタの学校
10、ベンポスタは広がる
11、日本とベンポスタ


     ベンポスタの歴史

1956年09月15日、スペインのガリシア地方のオーレンセ市に誕生。
        若い司祭シルバと15人の少年。
1962年、ベンポスタ(よく耕された、の意)に土地を得る。
1964年、「国際サーカス学校」を設立。
1966年、サーカス公演開始。サーカス団の名は「ロス・ムチャーチョス」(子供たち)
(1975年、スペインの独裁者フランコ、死亡。民主化始まる)
1975年、ロス・ムチャーチョス、日本公演。


   関連項目

ベンポスタ子ども共和国