植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

世界一の記録に残ればいいというものでもない 

2023年09月09日 | 雑感
現在では「死語」になっているかもしれませんが、ワタシらが学生の頃「合ハイ」という楽しいイベントがありました。合同ハイキングの略で、女子大の学生や、同じ大学でも音楽科など女性が多くいるところに、ちょっとお面のいい同級生が声をかけて、ハイキングに誘い、あわよくばお付き合いができるきっかけにしようという目論見で有りました。今なら出会い系とかいろいろお付き合いするきっかけ作りのシステムがあり、スマホなどで比較的容易に異性と知り合えるようですが。

その頃神奈川県では、合ハイの目的地では鎌倉方面の山林とか、葉山・長者ケ崎それに三浦半島の海岸でありました。ワタシは、生まれて初めて合ハイに行ったのがあこがれの「フェリス女学院」とで、たしか城ケ島の海岸でありました。

その頃Y大の学生寮に寄宿していたのですが、同期でO君という友人がいて、彼は「山歩会」というサークルに入ったと言っていました。ワタシも誘われましたが、山歩きなどにはなんの興味も湧きませんでしたね。また、その寮の先輩の大学院生は登山が好きで、よく大きなリュックと登山靴で出かけていくのを見かけました。
あの先輩が山に行ったまま帰らぬ人になったと兄から聞いたのが10年ほど前の事です。

一昨日のジャニーズ問題の会見で「ジャニーさんのギネス記録」が抹消になっていると発言がありました。「もっとも多くのコンサートをプロデュースした人物」「もっとも第1位のシングル曲をプロデュースした人物」 としてギネスの1位になっていたそうです。もし、裏ギネスがあれば「世界で最も多くの未成年男子の性的虐待を行った人物」として登録されるところですね。

さて、そのギネス記録の一つに「世界一遭難死者が多い山」という項目があります。どこだと思います?エベレストか、ヒマラヤ、アイガー北壁、あるいはアラスカのマッキンリー・・・・。いずれも標高6000mから8000m以上の過酷な寒さと酸素不足・猛烈な強風と言った悪条件で命を落とす登山家が大勢いました。

しかし、なんとその1位は「谷川岳」なんですね。トマノ耳(1,963m)・オキノ耳(1,977m)という 二つの峰が最も標高が高い「低めの山」であります。ここで記録に残った人だけで800人以上の登山者が遭難死しているというのです。8000m級の山14か所の過去の合計が700名に満たないことからみても、どれだけその数字が恐ろしいかわかりますね。

一番遭難するのが一ノ倉沢のロッククライミングルート だそうです。気候が急変しやすくピッケルなどを打ち込もうにも石がもろいので、熟練していないと危険なんですね。先日テレビでもやっていましたが、そうしたクライミングルートの頂上近くは両側が鋭く切り立った尾根で、足元はゴロゴロした石ばかりなのです。人が歩けるのはその不安定な尖ったゴロ石がある数十センチの幅しかありません。そこで足を取られたりよろけたり、突風にあおられたりしたら、どちらに倒れても真っ逆さまに岩壁を落ちていくだけなのです。場合によっては遺体の回収さえままならないと聞きます。

では、どうして2000mにも満たない低い山でそんなに死者が出るのか?
それは、一つには、なめてかかっているのです。軽装で十分な準備や知識・経験もないまま軽い気持ちで登攀しようとして命の危険に落ちるのです。さらに、登山スポットとして手軽なので、絶対的に登山者数が多いのです。エベレストに挑戦しようなんて人は年に100人などもいません。しかし、日帰りで気安く登れると思うので、家族連れを含めて年間何万人も訪れるのですから、危険度が低くても数が増えるということになりますね。

人が何故冒険するのか、山に登りたがるのか、ワタシにはいまいち理解できません。山頂にたどり着いたときの達成感・征服感があるのか、あるいはその絶景を楽しみ顔を撫でていく冷たく澄んだ風を感じるのを喜ぶのか?

いずれにせよ、行かなければ遭難することはないのであまり危ないところには近寄らなのが賢明でありますな。昔飲み屋で知り合った冒険家「ロッキー青木さん」が「松本君!人生死ぬまで挑戦だ」という色紙を書いてくれました。挑戦はいいけれどやはり冒険はいけません。 

そういえば、先日来公募展用の篆刻作品の仕上げ、書道紙の清書にかかって、レイアウトに苦慮しております。師匠として指導してくれている「S先生」がワタシがLINEで送った下の「試作品(模索品)」をみて、これは好きですねぇ。今回は冒険しましょうか、と返事が返ってきました。ワタシにはどこが冒険なのかさっぱりわかりませんし、生まれて初めての出品なので「今回は」という表現はおかしくないか?と突っ込みたくなるところであります(笑)。

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