植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

石印材の整理を始めたが、先には進まない (その3)田黄石の本物はどれだ?

2023年09月16日 | 篆刻
石の種類の特定など、そもそも素人には無理なのです。人造石位ならばすぐにわかります。自然石で、原則として「ヨウロウ石」であることをベースにしても、石の産地で大別すると4つあります。
1.寿山石  福建省福州寿山・月洋・高山
2.青田石  浙江省青田県
3.昌化石  浙江省臨安県
4.巴林石 (パリン石) 内蒙古自治区
しかし、これがややこしいのは、産地が違っても似たような石が散在するので、一瞥しただけでは判別しにくいのであります。例えば真っ赤な血の色が入った石材を総称して鶏血石と呼びますが、寿山系にも赤い色の入った石が多く含まれますし、本家昌化鶏血石だけでなく巴林鶏血石と称する石も非常に多く現在も採掘されております。

そこで、ワタシのブログの隠れテーマである「田黄石」になると、その本物の田黄石に間違えやすい、あるいはそれと偽って田黄と謳われる類似品が山ほど出回っているのです。そもそも母岩のある寿山の山(一説によれば名坑と名高い杜陵坑)から長い歳月を経て水田に流れ着いて埋もれていた石です。他にも善伯洞さらには高山などの凍石は本物の田黄石に勝るとも劣らないような逸材もあるのです。
ワタシの作った箴言で「世の中には、田黄と田黄のようなものがある」があります。

また、田黄石が見た目によって(色合いや紋様)によってさまざまバリエーションががあるので、鑑定を困難にしています。
橘皮黄…みかんの皮のような色、熟栗黄…成熟した栗のような色、栗子黄…未成熟の栗のような色、黄金(皮)黄…黄金のような色、鶏油黄…鶏の油のような色、枇杷黄…枇杷のような色、桂花黄…キンモクセイのような色、蛋黄…卵の黄身のような色などなどであります。

さらに、先日のブログに載せた「烏鴉皮田黄」 金抱銀(金銀田)や銀抱金(銀裏金)、渓管独石、硬田など、石の形状で分類した様々な種類があります。
例えばワタシのお宝である寿山銘石サンプル「福建寿山石章」の田黄石の一部が下の石であります。
この見本石集は本場福州彫刻加工場」で製作販売されたようです。この説明文によれば、「寿山石は3000万年前に生成された天源・水源・山岳に100種類の製品がある」(知り合いの台湾などで商売する秋吉さん訳)のだそうです。天源は、野天つまり田坑、水源は水坑、山岳は山坑を指します。その半分にあたる50種のサンプルが収められているので大変な研究資料なのです。
上左から順に、「黒田・田黄凍・白田・金裏田・灰黒田・擱溜田?」
みんな形が悪く、雑味が入っていて小さい端材なので、高級印材の製造工場としてはサンプルとして活用されたのだと思います。

一方、希少で珍重される田黄はそんじょそこらでは採れない(ある資料によれば1900年後半には取り尽くされて資源が枯渇した)ものでありますから、似たような石が、田黄石としてどんどん出回るようになったのであります。
田黄擬きと言われる石の種類だけで「掘性坑頭・掘性高山・掘性杜陵坑」などから鹿目格・善伯洞・連江黄・牛蛋黄・牛角凍」など20種類くらいあるのです。

そこで何度か紹介しているワタシの「田黄石もどき」のコレクションであります。やっと一所にまとめ、こじゃれた古い収納箪笥にしまうことが出来ました。
この中に、本当の本物の田黄石があるのか?それが問題なのです

下のは、明らかな田黄もどきの石で、「杜陵坑・連江黄」であります。

こちらが最近入手した「高山凍」と銘打たれた薄意つきの凍石ですが、田黄と言ってもおかしくないほど美しい石でありました。非常に丁寧な「微雕(彫)」があり読めないほどの芥子粒のような文字が彫られています。
箱の裏には名刺まで

こういうのは、なかなかお目にかからないもので、ちゃんとした田黄石のような高山石に、ちゃんとした薄意を施して製造元まで開示したちゃんとした「正規品」とみていいのです。


また、非常に良質な一昔前の布箱に収められたこの黄金色の石は、限りなく本物に近い銘品でなかろうかと期待しているものです。

コレクションには、こうした田黄ないし田黄に似た別物の石が、50個ほどあります。はてさて、本物の田黄石があるのかないのか、それがワタシにとって最大級の関心事なのであります。
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