すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【セリエA 23/24 第5節】ノーガードの壮絶な殴り合い 〜ラツィオ 1-1 モンツァ

2023-09-27 05:16:49 | その他の欧州サッカー
ラツィオが早々に先制するが簡単じゃない

 セリエAでは現地時間9月23日に、スタディオ・オリンピコで第5節が行われた。ホームのラツィオがモンツァと1対1で引き分けた。モンツァは21/22シーズンにセリエAへ初昇格し、昨季は11位で終えている。今季も中位にいるチームだ。

 サッリ大将は鎌田大地の代わりにマテオ・ゲンドゥージをスタメン起用してきた。彼らは試合開始12分にPKをもらい、きっちり決めて1点リード。この時点では楽勝かと思われた。だがハイプレスをかけては陣内になだれ込んでくる敵の攻撃に手を焼き、30分台から早くもノーガードの殴り合いになった。

 36分にモンツァが虎の子の1点を取る。たがいに中盤のプレスが消失し、ボールは一方のボックスから他方のボックスへと速達で往復する。後半も目が離せないそんな展開が続き、かくてタイムアップ。あの試合内容でよく1対1で終わったなぁ、というゲームだった。

 ラツィオのフォーメーションは今日も4-1-2-3だ。守備時4-1-4-1に可変する。立ち上がりから彼らはハイプレスで前への圧をかける。5人でガンガン行く。外切りのプレッシングをしている。対するモンツァは3-4-2-1だ。

 ラツィオのスタメンは、まずGKが先日チャンピオンズリーグで奇跡のヘッドを決めた英雄イバン・プロベデル。最終ラインは右からアダム・マルシッチ、パトリック、アレッシオ・ロマニョーリ、エルセイド・ヒサイが構える。

 中盤はアンカーをダニーロ・カタルディが務め、右IHはマテオ・ゲンドゥージ、左IHにルイス・アルベルトが入った。3トップは右からグスタフ・イサクセン、チーロ・インモービレ、マッティア・ザッカーニが並ぶ。

ガリアルディーニのゴールでモンツァが同点に追いつく

 まず12分。ラツィオはザッカーニがボックス内で倒されてPKをもらう。これをキッカーのチーロ・インモービレが落ち着いて決めた。先制だ。だがこのときローマのチームは今日が「大変な日になる」とは想像もしなかっただろう。

 彼らの先制点に対しモンツァも黙っちゃいない。ハイプレスで攻勢をかける。彼らはきっちりビルドアップして3-2-5で敵陣へ嵐のように飛び込んで行く。前半はむしろラツィオよりボールを保持している。そして攻撃に出ると常に4〜5人が敵ボックス内に侵入する。激しいチームだ。

 ラツィオは高い位置でボールを失うと、局面によってはリトリートせずにカウンタープレスをかけている。それ以外はミドルサードで4-1-4-1の組織守備だ。さらに押し込まれるとディフェンディングサードまで下がり、最後はボックス内まで降りて守備をする。かつてのサッリ・ボールなる優雅なパスワークは見られない。今日も単なるフィジカルなサッカーだ。

 36分、モンツァが7人で敵ボックス内へ殺到した。右サイドからクロスを入れ、CMFロベルト・ガリアルディーニが左でゴールした。同点だ。さあおもしろくなってきた。

 追いつかれたラツィオは自陣に2バックを残し、敵陣へ押し込む。そしてボールを失うと、今度はモンツァがロングカウンターをかける。めまぐるしい展開だ。攻撃時、ゲンドゥージは積極的に敵ボックス内まで入り込んでいる。

 いまや両軍、中盤のプレスが消失し、一方のゴールから片方のゴールへとボールが盛んに行き来する状態だ。すっかり台所に火がついている。忙しいことになってきた。そんな47分、モンツァが一気に押し込みダイビングヘッドも決まらず。

インモービレの一発がポストに当たる

 後半に入っても、両者の中盤のプレスは消えたままだ。モンツァはサイドチェンジも交えてパスを繋いで攻め込んで行く。お次はラツィオが完全に敵陣を占領した。ハーフウェイラインの敵陣側に2人の最終ラインを置き、ハーフコートマッチ化して攻め立てている。

 そして逆にボールを失うと、相変わらずハイプレスをかけまくる。これを嫌ってモンツァがボックス内からロングボールでクリアした。

 55分。サッリ親分はゲンドゥージに代えてマティアス・ベシーノ、グスタフ・イサクセンに代えてフェリペ・アンデルソンを投入する。続く57分には、ピッチにボールを叩きつけたCFインモービレのシュートがポストに当たる。惜しい。

 かたやモンツァは押し込まれると、もはや5〜6人がボックスに入って守備している。かと思うとチャンスになれば最前線に5人、中盤に2人の計7人を敵陣へ送迎する。壮絶なサッカーだ。60分頃から彼らは前線でボールを失うと、ディフェンディングサードまでリトリートして組織的守備をするようになった。

 71分、モンツァは敵陣に7人を送り込み、強烈なシュートを放つがGKプロベデルが辛うじてセーブする。さらにオープンな展開になってきた。

モンツァの攻撃は暴力的だ

 74分。モンツァは自陣に3人の守備者だけを残し、全員が敵陣へ殺到する。フィニッシュしたが得点ならず。その1分後にも、彼らは敵ボックス内になんと7人を送り込んでシュートを放つがオフサイドに終わる。

 モンツァの攻撃が暴力的なパワーを持つのに対し、ラツィオの攻めはお上品だ。迫力がない。パスを繋ごうとするが思うように前進できない。80分、サッリの配下たちは8人を敵陣に送り込んで攻めたが、効果をあげられなかった。むしろモンツァのカウンターを誘発していた。

 82分以降、ラツィオはハーフウェイラインの敵陣側に2バックを置いて全員が敵陣へ詰めかけた。だが相手チームはボックス内に人垣を作って押し戻す。続く第2波も防がれ、今度はモンツァの攻撃になる。息もつかせない。

 後半アディショナルタイムに入った。ラツィオは完全に敵陣を包み込みあとはゴールするだけなのに、なんと敵陣内で2度もバックパスしている。なんだか状況を把握してない。もはやモンツァは「引き分けでよし」な感じで跳ね返す。かくてタイムアップ。息詰まるせめぎ合いは勝者なしに終わった。

 これでラツィオは5試合を終え、1勝1分け3敗の勝ち点4。なんと16位だ。なかなかラツィオは地獄の底から抜け出せない。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【ラ・リーガ 23/24 第6節】... | トップ | 【プレミアリーグ 23/24 第6... »
最新の画像もっと見る

その他の欧州サッカー」カテゴリの最新記事