すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ラ・リーガ 23/24 第6節】久保が止まらない、開始2分に先制弾 〜レアル・ソシエダ 4-3 ヘタフェ

2023-09-26 05:03:33 | その他の欧州サッカー
今季4ゴール1アシストの実力

 ラ・リーガでは9月24日に第6節が行われ、ホームのレアル・ソシエダとヘタフェが対戦した。試合は二転三転の末、ラ・レアル(ソシエダの愛称)が4点を取り勝利した。

 驚いたのは、この日も4-3-3の右WGで先発した久保建英だ。なんと試合開始2分だった。

 ドリブルする同僚の右IHブライス・メンデスの右側に久保が併走し、右から回り込みスルーパスを受けた。そして瞬時にワンタッチで左足を一閃する。ボールは弾けるように跳び、ゴール左のサイドネットに突き刺さった。敵GKはまったくのノーチャンス。先制ゴールである。

 たった開始2分で、この日ヘタフェのボルダラス監督が仕込んできたシナリオは見事に吹っ飛ばされた。これで久保は今季のラ・リーガ6試合で4ゴール1アシストだ。開幕から6試合連続でスタメン出場しており、チームの信頼も厚い。

 ただし後半に入ると時間の経過とともに、例によってバテて試合から消えるのは大きな課題だ。久保は以前に書いた「4つの欠点」をせっかくクリアしたのだから、スタミナ(運動量の維持)という新たなテーマに取り組んでほしい。

今日も2人がかりのマークがつく

 久保にはこの日も2枚のマークがついた。今日もダブルチームの御一行様がお出迎えだ。

 9月19日(日本時間20日)に行われた第5節のレアル・マドリー戦、そして20日の欧州チャンピオンズリーグ第1節のインテル・ミラノ戦でもそうだった。試合のたびに、屈強なマーカーが2人がかりで久保をつぶしに来る。

 それでも平気で力を発揮するのが彼の凄さだ。マドリー戦では開始5分に先制点に関与した。続くインテル戦でも、久保はチャンスを作り続けた。だがこの日のヘタフェ戦では先制ゴールを獲ったあと、前半に2点を取られて逆転された。

 そこで先発メンバーをローテーションしていたラ・レアルのイマノル・アルグアシル監督は、後半13分に主力を3人出してきた。FWオヤルサバル、左IHメリーノ、そしてアンカーのスビメンディだ。

 すると後半16分にブライス・メンデスが、ミトロビッチに足を引っ掛けられるファウルを受けてPKになる。キッカーはオヤルサバルだ。落ち着いて冷静に右スミへきっちり決めた。2-2。同点だ。

メンデスの逆転弾、オヤルサバルのチーム4G目で止めを差す

 このあと後半21分には逆転弾が生まれる。ボックス内にロングスローを投げ込み、敵GKソリアが中途半端に飛び出して空っぽのゴールにブライス・メンデスがヘディングシュートを見舞った。3-2、逆転弾だ。カラのゴールにボールが吸い込まれるあの光景。痛快だった。

 ヘタフェはあんまりパスが繋がらない。ヘンにボールを浮かしてはヘディングしたりしている。そしてファウルを連発して時間を使う。お得意の、のらりくらり戦法だ。おかげで試合は始終ストップし、ラ・レアルの面々はイライラさせられた。試合を観ているこっちがイラつくのだから無理もない。

 だが後半43分。試合を決める美しいゴールが生まれる。スルーパスに抜け出した途中出場のメリーノがワンタッチでオヤルサバルにパスする。受けたオヤルサバルはこの日のチーム4ゴール目を叩き込む。

 このあと後半47分に、ヘタフェが左からのアーリークロスに途中出場のFWラタサがヘディングシュートを決めて1点取ったが、追い上げもそこまで。ソシエダは4-3で逃げ切った。久保はフル出場した。

 これで彼らは、2勝3分け1敗の勝ち点9で8位に上がった。久保の次節の活躍が待たれる。

課題を残した今節の戦いーーインテル戦で見えた選手層の薄さ

 さて「勝っためでたし」では進歩がない。目についた課題にも触れよう。今節はラ・レアルが抱える重大なアキレス腱が露呈したゲームでもあった。

 アルグアシル監督は、今季戦っている欧州チャンピオンズリーグ(CL)との兼ね合いも考え、この日のスタメンを大幅に入れ替えていた。

 例えば彼らが9月20日に戦ったCL第1節のインテル・ミラノ戦では、インテルのシモーネ・インザーギ監督は大幅なターンオーバーを行なっていた。16日にACミランとのミラノダービーで大勝したメンバーから、スタメンを5人も変えてきたのだ。しかも、そのうちFWマルコ・アルナウトビッチや左WBカルロス・アウグストら4人はなんと初スタメンだった。

 だが一方、そのインテルと戦ったソシエダは、17日に行われたラ・リーガ第5節のレアル・マドリー戦とまったく同じメンバーで臨んだ。つまりラ・レアルの選手層の薄さがアリアリと見えてしまったのだ。

 おそらくアルグアシル監督は「これではマズい」と考えたのだろう。で、ラ・リーガの今節はローテーションした。主力のオヤルサバルやメリーノ、スビメンディらをベンチに置いたのだ。

 だが、結果は散々だった。

主力と控えの力が大きくちがう

 久保のナイスゴールで試合の滑り出しはよかったが、ゲームが進むとともにいつものレギュラー陣に代えて起用された面々の力不足が明らかになった。

 最前線のウマル・サディクは、敵を背負ってポストプレイしようとするのだがハマらない。ボールを弾いてしまい、展開することができない。味方と連係した守備もダメで、「網」に穴を開けてしまう。

 またアンカーのウルコ・ゴンサレスは最終ラインからうまくボールを引き出せず、四苦八苦していた。加えてボールを保持した際、タッチ数が多すぎる。で、敵に寄せられ詰まってしまう。いつも途中から出て来るモハメド・アリ・チョも、トリッキーな動きはいいが確実性に欠ける。

 そんなわけで主力が欠けたソシエダは、いったんは久保の個人技でリードしたもののチーム力で劣った。あのヘタフェに前半で早くも2点を取られて逆転された。それを見たアルグアシル監督は、後半13分に温存していたオヤルサバルやメリーノ、スビメンディらを投入せざるを得なかった。

 するとメリーノによって左サイドが生き返り、スビメンディ、ブライス・メンデスとともに中盤の構成力が完全に蘇った。結局、途中から起用された彼らレギュラー陣の力が大きく、同点、また逆転を可能にしたのだ。今節はこれで勝ったからいいようなものの、ラ・レアルの選手層の薄さという問題は今後もつきまとう。

 さて、この問題をいったいどう解決するのか? 長いシーズンだ。ラ・リーガとチャンピオンズリーグを今後もまったく同じメンツで戦うわけには行かない。いつかは「売り切れ」になる。

 ではローテーションした場合、選手に合わせて戦術を変えるのか? それとも何かほかの方法があるのか? ここはアルグアシル監督の手腕が問われるところだろう。

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