最悪のタイミングで最悪の選択に
日本代表監督のハリルが解任された。後任は技術委員長だった西野朗氏だ。これで川淵サンはじめ、日本人を監督に据えたくてたまらない日本サッカー協会の面々はニンマリだろう。
西野氏といえば歴代一位の通算270勝監督だ。だがそんなものは世界から取り残され、すっかりガラパゴス化しているJリーグでの話だ。W杯で勝てるか? といえばまったく何の期待感も湧かない。
サッカー協会の田嶋幸三会長は「(ハリルは)選手とのコミュニケーションに欠如があった」という。だがハリルは選手と厚い人間関係を築いて「このおっさんのためなら死んでもいい」と選手をモチベートし、それをチーム力に変えるような浪花節タイプじゃない。そんなことはすでに就任1年目でわかっていたはずだ。
というよりハリルはむしろ敵をだまして寝首をかく業師である。ズル賢い稀代のトリックスターだ。選手とのリレーションシップを育む人格者を監督に求めるなら、これほど真逆な人物はいない。
だいたいそういう精神的な信頼関係を理由に解任するなら、ハリルのこうした特異なメンタリティが表面化してきたこのタイミングでやるべきだった。そうすればまだW杯本大会まで2年もあった。それをなぜ取り返しのつかない今この時点まで引っ張ったのか? サッパリわけがわからない。
新体制でどんなサッカーをやるのか?
さて西野新監督になりどんなサッカーをやるのか? 結局、スターの香川と本田が中心になり、「自分たちのサッカー」に走るのだろう。グラウンダーのショートパスを繋いでポゼッションし、中央突破にこだわる遅攻スタイルだ。
速攻と違ってスプリントが少なくてすみラクができる。タメを作るぶん、お休みタイムがある。日本人らしく全員が平等にボールに触れる馴れ合いスタイルだ。複数の選手が近い位置にポジショニングし、集団でチマチマ小刻みにパス交換する「小さいサッカー」である。サッカーの目的は「パスを繋ぐこと」だと思っている日本人の特徴を生かし、長所を伸ばそうというわけだ。
確かにこれなら個の力が必要で日本人が苦手なハリル流の「大きいサッカー」をするより、ギクシャク感はなくなる。一時的には日本人の欠点は覆い隠されるだろう。
だが逆にいえば、個の欠如を集団で補うのでは、日本人選手が抱える個の弱さという問題点はますます潜在化する。サッカーでは短所を克服することも重要だが、そこが修正されないまま問題が先送りされてしまう。長所を伸ばすといえば聞こえはいいが、要はゆとり教育と同じだ。
ハリルは時間をかけて連携を熟成させるタイプじゃない
そもそもハリルは直前まで実験を繰り返し、本番では対戦相手に応じてぶっつけで選手や戦術まで変えてしまう策士だ。時間をかけて同じパターンを熟成させるようなやり方を好む日本人の価値観には合わない。
だがそんなことはオファーする前からわかっていたはずだ。すべての判断が遅すぎる。
それでもあえてハリル的なやり方に賭けてみるならおもしろいなと思ったが、協会にはそんなつもりは毛頭なかったのだろう。日本人から見て至極ノーマルな人物がよかったわけだ。やれやれ。
日本代表監督のハリルが解任された。後任は技術委員長だった西野朗氏だ。これで川淵サンはじめ、日本人を監督に据えたくてたまらない日本サッカー協会の面々はニンマリだろう。
西野氏といえば歴代一位の通算270勝監督だ。だがそんなものは世界から取り残され、すっかりガラパゴス化しているJリーグでの話だ。W杯で勝てるか? といえばまったく何の期待感も湧かない。
サッカー協会の田嶋幸三会長は「(ハリルは)選手とのコミュニケーションに欠如があった」という。だがハリルは選手と厚い人間関係を築いて「このおっさんのためなら死んでもいい」と選手をモチベートし、それをチーム力に変えるような浪花節タイプじゃない。そんなことはすでに就任1年目でわかっていたはずだ。
というよりハリルはむしろ敵をだまして寝首をかく業師である。ズル賢い稀代のトリックスターだ。選手とのリレーションシップを育む人格者を監督に求めるなら、これほど真逆な人物はいない。
だいたいそういう精神的な信頼関係を理由に解任するなら、ハリルのこうした特異なメンタリティが表面化してきたこのタイミングでやるべきだった。そうすればまだW杯本大会まで2年もあった。それをなぜ取り返しのつかない今この時点まで引っ張ったのか? サッパリわけがわからない。
新体制でどんなサッカーをやるのか?
さて西野新監督になりどんなサッカーをやるのか? 結局、スターの香川と本田が中心になり、「自分たちのサッカー」に走るのだろう。グラウンダーのショートパスを繋いでポゼッションし、中央突破にこだわる遅攻スタイルだ。
速攻と違ってスプリントが少なくてすみラクができる。タメを作るぶん、お休みタイムがある。日本人らしく全員が平等にボールに触れる馴れ合いスタイルだ。複数の選手が近い位置にポジショニングし、集団でチマチマ小刻みにパス交換する「小さいサッカー」である。サッカーの目的は「パスを繋ぐこと」だと思っている日本人の特徴を生かし、長所を伸ばそうというわけだ。
確かにこれなら個の力が必要で日本人が苦手なハリル流の「大きいサッカー」をするより、ギクシャク感はなくなる。一時的には日本人の欠点は覆い隠されるだろう。
だが逆にいえば、個の欠如を集団で補うのでは、日本人選手が抱える個の弱さという問題点はますます潜在化する。サッカーでは短所を克服することも重要だが、そこが修正されないまま問題が先送りされてしまう。長所を伸ばすといえば聞こえはいいが、要はゆとり教育と同じだ。
ハリルは時間をかけて連携を熟成させるタイプじゃない
そもそもハリルは直前まで実験を繰り返し、本番では対戦相手に応じてぶっつけで選手や戦術まで変えてしまう策士だ。時間をかけて同じパターンを熟成させるようなやり方を好む日本人の価値観には合わない。
だがそんなことはオファーする前からわかっていたはずだ。すべての判断が遅すぎる。
それでもあえてハリル的なやり方に賭けてみるならおもしろいなと思ったが、協会にはそんなつもりは毛頭なかったのだろう。日本人から見て至極ノーマルな人物がよかったわけだ。やれやれ。