すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】日本人は「結果」しか見ない

2018-04-22 06:46:00 | サッカー日本代表
対照的な結果が出た男女代表

 この1ヶ月間で男女代表チームに起こった出来事をくらべると、あまりの落差に呆然としてしまう。かたやマリ戦、ウクライナ戦で勝てず、選手と監督との確執やらスポンサーの関係等も取り沙汰されて代表監督が解任された男子代表。一方、修正すべき課題をたくさん抱えながらも女子アジアカップで優勝し、W杯出場権も勝ち取ったお祭り騒ぎのなでしこジャパン。あまりの鮮やかな対比に頭がクラクラする。

 この2つの代表チームを取り巻く状況を観察すると、結局、日本人は「結果」しか見ないのだ、ということがわかる。ハリル解任の理由はあれこれ言われているが、少なくともマリ戦とウクライナ戦に2連勝していれば監督解任など120%ありえなかっただろう。ハリルにとってはアイデアをいろいろ試す単なるテストにすぎない2試合だったが、日本人にとっては「結果」がすべてだったのだ。

 攻撃的布陣だったマリ戦の前半を見て、「ああ、セネガル戦でリードされたらこの布陣で点を取りに行くんだな。そのための試行錯誤、これはテストだ」などと深読みする日本人なんてほとんどいない。「タテ一辺倒で内容なし」と見当はずれな見立てをし、「勝てないじゃん」と吐き捨てる。結局、日本人は内容ではなく結果しか見ていないのだ。

勝てば官軍のなでしこジャパン

 一方、女子代表に起こったことも示唆的だ。過去の記事で指摘したように、なでしこジャパンは致命的な問題点をたくさん抱えている。だがアジアカップで優勝したら、そんなことは完全にスッ飛んでお祭り騒ぎになる。いわく「なでしこらしいサッカーで勝った」「技巧的ですばらしい」。絶賛の嵐だ。

「たかがアジアで優勝しただけ。抱える課題を修正しなければ、W杯ではとても勝てない」

 そんな冷静で客観的な分析など、ほとんど聞こえてこない。「勝った! すごい!」。ただそれだけだ。結局、日本人が興味を持つのは結果だけ。勝敗にかかわらず、内容を緻密に分析する気などない。

「試合には負けたが、ココとココはW杯本番で生きる」

「試合には勝ったが、ココとココは修正すべきだ」

 結果にとらわれず、そんな長い目で見た強化を考える視点がない。だからマリ戦とウクライナ戦で勝てなかったら監督が解任になり、女子アジアカップで優勝したら課題などすっかり忘れてお祭り騒ぎになる。ムードに流されやすい日本人は、「結果より過程を見ること」を肝に命ずるべきだ。

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