すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】ムダな走りが生む日本の決定力不足

2016-12-03 10:48:39 | サッカー日本代表
原口のハードワークには胸が熱くなるが……

 ロシアW杯アジア最終予選。サウジ戦で原口があれだけの長い距離を上下動して守備に奔走するのを見て、名著『世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス』(宮崎隆司著/コスミック出版)を思い出した。同書では随所に「日本人は守備の原則を無視したムダな走り方をして体力を消耗する。だから肝心のシュートの場面で力を出し切れない」という指摘が複数のイタリア人監督によって緻密な分析とともになされている。

 確かにサウジ戦の映像を何度も見直すと、原口が決定的なシュートシーンで軸足がガクッと折れてシュートをふかすなど決められない場面が何度か出てくる。守備に力を使い果たし、シュートを打つ時に力が残ってないのだろう。実際、彼はサウジ戦であと2点は取れていたかもしれない。

 原口はトランジションに優れ、攻撃だけでなく守備にも八面六臂の貢献をしている。それこそ我が身をすりつぶすような彼のハードワークがチームを鼓舞し、それを見てメンバー全員が「やってやるぞ!」と士気を煽られている。明らかに原口は今の日本代表のエンジンだ。だからもちろん原口の働きに異議を唱えるつもりは毛頭ない。

 だが同時に滅私奉公を有り難がる日本人は、とかく走りの「質」ではなく「量」に目を奪われがちなのも事実だ。それが有効かどうかでなく、とにかくたくさん走れば「すごい!」「すさまじい!」と絶賛する。ある種、カミカゼ・アタック的なメンタリティである。

 だが例えば相手ボールに変わったとき、すぐ切り替えて「その場で」守備をするだけでは不十分か? 敵のサイドアタッカーが攻め上がってきたとき、ずっとそれに並走して自陣まで引き、最終的には味方バックラインにまで吸収される原口のあの劇的な上下動は、マークを受け渡すことでもっと効率的にできないのだろうか? そうすれば原口はシュートの場面で余力を持ってもっともっと力を出せ、さらに2点、3点取れるようになるのではないか? そんな気にさせられた。

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