すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【CS決勝第2戦・分析】何が浦和レッズを崩壊させたのか?

2016-12-05 08:56:42 | Jリーグ
攻めるしかないチームのこわさ

 Jリーグ・チャンピオンシップ(CS)決勝第2戦は、厳しい心理戦だった。

 条件はもちろん、第1戦で勝っていたホーム・浦和レッズのほうが有利なはず。アウェイゴールも含め、すべての環境が浦和に微笑んでいた。だが、あとがなく「行く」しかない鹿島が勝ち、攻めるのか守備的にやるのか迷いが生じた浦和が敗れた。選択肢のない土壇場の状況が鹿島の選手を思い切りよくプレーさせ、逆に試合の進行とともに浦和は歯切れが悪くなって行った。

 そんなメンタルの差が鹿島伝統のしたたかさと勝負強さを引き出し、次第に浦和を心理的に追い詰めて行ったーー。ひとことでいえばそんなゲームだった。終盤のパワープレイをめぐるドタバタが、この日の浦和の「心の混乱」を象徴していた。

戦い方がわかりやすかった鹿島

 追い込まれた鹿島は戦い方がわかりやすかった。やるべきは2点取ること。ゲームプランがはっきり明確だった。そのぶん強い求心力が働きやすく、目標達成をしやすくさせた。逆に攻めるのか、守るのか下手に選択肢があるぶん浦和のハードル設定はむずかしく、それが鹿島を後押しした。この試合は個々のプレイのディテールよりむしろ、そんなメンタルの戦いだった。

 もちろんゲーム以前に年間1位の浦和には、チャンピオンシップですべてが決まる割り切れないレギュレーションと向き合い、葛藤し、まず心で打ち勝っておく必要があったことも無視できない要因である。

鹿島のハイプレスが浦和を圧迫した

 また浦和には物理的なプレッシャーもかかった。

 この日、攻撃的に行くしかない鹿島が前線から積極的にハイプレスを仕掛けてきたため、浦和は心理的に強い圧迫を受けていた。前から激しくプレッシングされ続け、浦和の選手はせわしなく、落ち着きないプレーに追い込まれた。

 例えばずる賢くバックパスを使って最終ラインでボールを回し、時間をうまく使ってゲームを落ち着かせるような試合運びをするのが浦和にはむずかしかった。終始チャレンジャーである鹿島の影におびえ、自分たちのペースで試合ができなかった。

 この心理的プレッシャーが試合のあらゆる局面で強く作用し、最後は足を伸ばせばボールに届いた鹿島と、届かなかった浦和との差を作り出した。フットボールは戦術やフィジカル以前に、メンタルで6割が決まるのだ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする