えくぼ

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穂村弘のカップラーメン

2015-04-12 08:56:46 | 歌う

            ⋃  穂村弘のカップラーメン  ⋃

 日本で生まれ、世界各地に消費が広がったカップラーメン。発売されたのは45年も前らしい。(インスタントラーメンはそれより5年前、半世紀も前から売られているのである)。1人だけラーメンを食べたい時に便利、空になったカップは花のタネを撒きに使える。カップの底に箸で穴をあければ植木鉢になる。芽が出て苗が育つまでのひとときの植木鉢に。

 4月11日朝日朝刊・穂村弘の 「カップラーメンの歌」 を繰り返し読んだ。彼は私のビタミン剤だ。抄出された3首の歌はビタミンCをたっぷり含んでいる。

 ♠ 海老らしき物体やはり海老らしいカップ麺には四匹と半   岩間啓二

 現代に生きる<私>たちは、奇妙に加工された「具」に自分自身の姿を投影してしまうのかもしれない、「海老らしき物体」や「四角い肉らしき物体」が何かよくわからないのがカップラーメンの醍醐味の一つ。「四匹と半」がいい。命への思いがこめられている。と穂村弘。
たしかにこの結句は冴えている。「半分」といえども命はある。軽い歌ではないですね。

 ♠ 魂の風化を待っているような目で待っているカップラーメン  のりさん

 カップラーメンは手軽でおいしいが、高脂肪、低蛋白、塩分過多、わたしは野菜、焼き豚などを加え、粉末スープは半分だけ使う。穂村弘は<食べれば食べるほど自分が駄目になるような気がする><荒涼たる抒情>とでも言うべきか、「魂の風化」という表現が凄い。と。

 ♠ 滾る湯を注ぎて待てり三分間 われの愛した人らをおもう  松繁寿信

 熱湯を注ぎ3分で食べられる、このたった3分間に「愛した人ら」を想うとは。3分経ってカップラーメンができたら、「愛」の時間も終了だ。ここで穂村弘のエッセイも終了している。

 熱湯を注いで4分、という「しこしこ麺」を先日1個買いました。今日の昼食は4分のカップラーメンにします。わたしの愛の時間を少し長く楽しみたいので。 

                              4月12日  松井多絵子