えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

捨てなければ

2015-12-25 21:28:46 | 歌う

                 ・・・捨てなければ ・・・

 ♦ 歌人なら言葉を捨てよと君言いしのちは窓打つ風の音のみ  松井多絵子

 短歌の言葉は少ない。小さな器のなかに入れられる言葉は限られている。ぜひ言いたいこと以外は切り捨てなければならない。わたしは常に言葉を捨てている。でもモノはなかなか捨てられない。近ごろ断捨離という言葉をしきりに目にし耳にする。年末は余計なモノを処分しすっきりした家で新年を迎えたい。☀夕刊のエッセイ「黒木瞳のひみつのHちゃん」の「1日10分 瞳式片付け術」を参考にしてみよう。

 黒木瞳は朝10分早起きをする。タンスの1部分だけ洋服を全部だす。始めてから1か月ほど過ぎてまだ続いているらしい。片付いてゆく様子が目に見えるので楽しくなってきたようだ。この調子だと来年末には家にあるすべてのモノが整理整頓されるだろう。一気にやろうとすると、やる前に気がめげる。自分に合った片付け術を見つけることが大事なようだ。モノの整理整頓をすると心の整理もできる。と書く彼女はもはや「瞳ちゃん」ではなく「瞳おばさん」である。

 私だけでなく女性が捨てられないのは服や装身具だろう。それらは思い出をまとっている。捨てたら思い出も消えて淋しくなる。イヤな思い出のある服を捨てようとしたことがある。でも、その服にはいい思い出もあるし上質だったりで捨てられない。ウエストが少しきつくなったのに、痩せたらまた着られるなどと思ってしまう。今日が最後のつもりで着た古い服を「ステキね」なんてホメられて洋服ダンスに居すわらせてしまう。こんな他愛のない楽しみがあってもいいのではないか。近頃は服を買わなくなった。捨てる辛さを思うと買う気になれない。

    ♦ エッセイも言葉を捨てねばならぬらし書かないで書くことなどできぬ

                       12月25日  松井多絵子


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