えくぼ

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歌集「大阪ジュリエット」 の桜

2019-03-28 14:59:47 | 歌う
五日前、わが家の郵便受けに橘夏生さんの歌集「大阪ジュリエット」が、近隣の桜が咲き始めていた。読み終えた今日は満開、散らないうちにブログに書きたい。

橘夏生さんは1979年、寺山修司の勧めて作歌をはじめる、86年、「短歌人」
入会、92年第一歌集「天然の美」
96年、「短歌人賞」 「評論エッセイ賞」

多くの歌人の思い出、夫や肉親の歌は今日は割愛し、桜の歌を抄出する。

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生野のさくら見尽くさむとぞ自転車をふたり乗りして公園めぐりぬ

それゆゑにさくらはきらひ「桜坂」 聴くたび泣くわれを夫はいぶかしむ

桜吐く無言のこゑのざわめきを聞きつつあゆむきみのゐぬ春

さくらさくら何処にしらほね隠したる針のやうなる雨ふりしきり

唇をさしあてしのち森閑とこぼるる桜みるふたりかな

桜の森にふたりの影が消えてゆく はやくたがひを見失ふため

さくら花びらいっせいに散るゆふべかな江戸八百八町に骨が舞ひたり

さくらならいちばんさきに散つてみたい誰も踏まない夜明けの土に

ベビ一カ一葉桜の奥に消えてゆく殺すより怖い産むといふこと

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