「電飾の街」
✿年末の夜道をひとり歩くとき火星の孤独がわれに近づく
わたしの家は二つの私鉄のはざまにあります。どちらへも徒歩約10分、新宿へ行くときは急行の止まらない駅を。この駅のまわりはコンビニ、小さなスーパー、昔ながらの商店が少しあるだけで静かな住宅地です。先日までは桜紅葉の並木道がひととき私を詩人にしてくれました。
✿電飾のなかりし頃はわが町を冬の星座が飾りていたり
もう一つの最寄駅は渋谷へ出るとき利用します。急行の止まるこの駅前には噴水があり、高層、中層ビルがぎっしり、オシャレな店のまわりは若者たちがウヨウヨ、ガヤガヤ。
✿電飾の街のはずれに灯のなきオフィス街あり、白骨樹林
夜8時すぎ頃、にぎやかな駅前をすぎると電飾もまばら、灯のともらないビルがつづきます。林の中を歩くような、屋久島で見た白骨樹林のなかを歩くような心地。そして振り返り見れば、
✿倒れずに夜風のなかに立ちつくす高層ビルは不安をまとう
寒くなると、夜になると、老人はとても不安になるのですね。 12月14日 松井多絵子
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