えくぼ

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田村元さんの歌集より

2013-05-08 13:52:26 | 歌う

      ★★ 「田村元さんと中沢直人さん」 ★★

 歌誌「未来」の応接間のような頁には毎月一人の歌人の歌集だけ紹介されます。5月は
日本歌人クラブ賞決定の田村元さんの歌集から5首。解説は中沢直人さん。

★ 今月の歌
落日とわれとの相違測りつつどうしやうもなき定点にをり

かたはらに他者といふ闇座らせてきつねうどんを啜りゆくのみ

この街にもつと横断歩道あれ此岸に満つるかなしみのため

水鳥の羽音 わが名を薄墨で内ポケットに忍ばせて行く

ひとりづつ上り電車に乗ってくるホームとの深き溝をまたいで
             田村元歌集『北二十二条西七丁目』より

 自分自身を見つめる視点の鋭さ、潔さが印象に残る歌集。過剰な自意識と正面から向き合う。(略)人との距離、架橋するものの乏しさを感じる日々の中、横断歩道を求める気持ちにこの作者らしさがにじむ。通夜に向かう夜も、通勤ラッシュに違和を感じつつ職場に向かう朝も、その意識は澄んで、日常を哲学的に切り取っている。 (中沢直人)

※田村元さんと中沢直人さんは、新樹が向き合っているような、五月のような方たち。       

   眩しいこと眩しいこと。 5月8日 松井多絵子            


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