決定・角川短歌賞
9月号「うた新聞」に第62回角川短歌賞が発表されている。
☀ 「魚は机を濡らす」 五十首 佐佐木定綱 昭和61年生まれ。「心の花」所属
☀ 「輪をつくる」 五十首 竹中優子 昭和57年生まれ。「未来」所属
ダブル受賞である。選考委員は小池光、島田修三、米川千嘉子、東直子。8月28日決定
したばかり。竹中優子は私と同じ結社なので「未来9月号」の彼女の作品を抄出する
「未来9月号 陸から海へ」より
独り身がうらやましいと結ばれて女ともだちからのメールは
十歳は若い女が東京、と口にするとき 東京をおもう
食券を手放し鯖定食を得る ペットボトルを川が流れる
惑星のようにわたしのゴミ箱がわたしの周りを回る一日
ねむいのとさみしい気持ちの境界に立って微笑むリリーフランキー
本を買う金なき真昼少しずつわたしに合っていく薄化粧
思い出のなかのあなたは遅刻して飛び跳ね現れる春のよう
いなり寿司を食べたる指のかがやいて突き飛ばされたらここは東京
やわらかな星の小さなすべり台、泣きますね、おなら、酒のみの友
以上9首は未来9月号の竹中優子の作品である。今のところ彼女の最新作だ。会員たちは13人の選者のいづれかに師事している。竹中優子は黒瀬珂瀾に師事。彼は昭和52年生まれの若くて優秀で素敵な男子である。すでに前川佐美雄賞を受賞している。竹中優子さん、今後が楽しみです。独り身のほうがいいですよ。(笑)
9月9日 松井多絵子