{ ふつうの人の本当の声 }
「集団的自衛権」に対する恐怖感を詠んだ歌の多さに驚いたと語る、朝日歌壇選者の
永田和宏。目だつのは、戦争経験者からの投稿、戦後世代からも増えているらしい。戦争に一歩近づくことへの危機感、議論の強引な進め方への憤り、「ふつうの人がこんな感じ方をしていると、多くの人に知ってもらいたい」、昨日の朝日朝刊で永田和宏は訴えている。
♥ 戦争を知らない人の大望で開かれてゆくパンドラの箱 田口二千陸(74)
青森で空襲に遭い実家の呉服店は焼けて破産。冬は雪が布団の上に積もるような生活。
♥ 霧まとい迫る不気味な艦隊のごと集団的自衛権行使 榊原めぐみ(57)
阿部首相の記者会見をテレビで見て戦争が近づくような感じ。20代の息子が2人いる。
♥ わからへん なんぼ聞いてもわからへん平和のためにいくさに行くと 石川智子(57)
まず短歌で怒りを発信したい。政権にノーといい、多くの人にもっと考えようと伝えたい。
「パンドラの箱」が開かれてゆく不安を感じたのは戦争の被害者・田口二千陸さん。この世のすべての災いを入れた箱を ゼウスの神が人間界に行くパンドラに渡し 「絶対に開けてはならない」 と言ったのに、パンドラは箱を開けてしまった。そして人類は不幸に見舞われるようになり、希望だけが箱の底に残った。ギリシャ神話である。
ひらかれることのあるかもしれぬ箱ひらいてはならぬパンドラの箱
7月13日 松井多絵子