軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

庭にきた蝶(28)オオウラギンスジヒョウモン

2020-11-06 00:00:00 | 
 今回はオオウラギンスジヒョウモン。前翅長34~43mm。主に山地の樹林地周囲の草原に見られる。北海道、本州、四国、九州に生息し、分布は広いが、よく似たウラギンスジヒョウモンに比べると産地は限られる。
 
 年1回の発生で、6月から羽化を始め、7~8月には山地や寒冷地を除いて、一時ほとんど姿を消すが、秋には再び姿を見せる。

 アザミ類、クガイソウ、オカトラノオ、リョウブなどでさかんに吸蜜する。卵または1齢幼虫で越冬し、タチツボスミレなどスミレ類を食草とする。

 我が家の庭のブッドレアの花に吸蜜に来ていたのは今年8月初旬のことなので、上記の通り軽井沢では夏に姿を消すことはないようである。実は、撮影時には、よくやってくるミドリヒョウモンだと思っていた。後日、写真を整理していて、性標本数が違っていることに気が付き、翅裏の写っている写真をチェックしてオオウラギンスジヒョウモンであると確認した。

 以前、高峰高原で♀を撮影し、その後南軽井沢で♂を撮影していたが、今回自宅庭のブッドレアの花にやってきた♂を撮影できたので、「庭に来たチョウ」として紹介することにした。山野で撮影した写真を加えて紹介する。

 いつもの「日本産蝶類原色図鑑」(横山光夫著、1964年保育社発行)のオオウラギンスジヒョウモンの項を見ると、
「『ひょうもんちょう』類Argynnisに属する9種のうちで、『ツマグロヒョウモン』以外の8種は翅表に於いてきわめて酷似し、1種の雌を除けば雌雄15種の判別はやや困難なものがあり、その同定には多く裏面の特徴によらなければならない。
本種は翅色・翅型いずれも『ミドリヒョウモン』に近く、『ウラギンスジヒョウモン』にも酷似する。・・・」とある。よく似た種が多くいるのである。

 ここで挙げられている8種の翅表、翅裏の紋様を比較すると、先ず翅裏・後翅の違いで大きく2つに分かれ、ギンボシヒョウモン、ウラギンヒョウモン、オオウラギンヒョウモンの3種と他の5種が明確に区別される。

 また、翅表・後翅の黒斑が全体に広がりを見せていることから、クモガタヒョウモンは残る4種から、比較的容易に区別される。

 ということで、「フィールドガイド・日本のチョウ」(2013年 誠文堂新光社発行)には、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、ウラギンスジヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンの4種の見わけ方が記されているが、整理すると次のようである。


ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、ウラギンスジヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンの4種の識別(「フィールドガイド・日本のチョウ」を参考に筆者作成)

 庭のブッドレアの花に吸蜜に来たのは♂であった。しばらくとどまって吸蜜を続けたので、じっくりと撮影ができた。






自宅庭のブッドレアの花で吸蜜するオオウラギンスジヒョウモン♂(2020.8.4 撮影)

 次は同じオオウラギンスジヒョウモンの♂であるが、南軽井沢で撮影したもの。


オカトラノオの花で吸蜜するオオウラギンスジヒョウモン♂(2017.8.4 撮影)





吸蜜中のオオウラギンスジヒョウモン♂(2019.7.24 撮影)

 次は浅間山地で撮影したオオウラギンスジヒョウモンの♀で、一緒に写っているギンボシヒョウモンと比べるとずいぶん大型であることがわかる。

オオウラギンスジヒョウモン(右)♀(2017.8.3 撮影)

 前述の「日本産蝶類原色図鑑」で示されていた「ひょうもんちょう」類Argynnisに属する8種とは、ウラギンヒョウモンギンボシヒョウモン、オオウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、ウラギンスジヒョウモン、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、クモガタヒョウモンであるが、このうち下線を引いた5種の標本は義父のコレクションに含まれている。写真を次に示す。こうして見較べても翅表だけでの同定が困難なことがわかる。これが野外で飛翔しているとなると、私などにはもうお手上げである。


上から、オオウラギンスジヒョウモン♂、ミドリヒョウモン♂、クモガタヒョウモン♂、ギンボシヒョウモン♂、ウラギンヒョウモン♂ の標本

 









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