軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

(ミヤマ)カラスアゲハの孵化

2023-10-13 00:00:00 | 
 昨年、ミヤマカラスアゲハの終齢幼虫を入手して、蛹化するまでを追ったことがあった。

 その様子は当ブログで紹介したが(2022.11.18 公開)、この時の蛹は、室外に置いた飼育ケースの中で冬を越して、今年春、羽化するところを見届けてから、生まれ故郷の小諸のMさんのバタフライガーデンに持っていって、Mさんと共に飛び立っていくのを見送った。春型の小型で美しい♀であった。


羽化したミヤマカラスアゲハ♀の成虫写真(2023.5.9 撮影)

 このミヤマカラスアゲハという種には特別の思いがあって、自宅庭に呼び寄せたいと考え、数年前にキハダの苗木を数本植えた。もちろん幼虫が好んで食べる餌になる樹である。もう一つ、クサギの苗木も数本植えた。こちらはアゲハチョウ類が好んで吸蜜に訪れる花が咲く木である。

 このようにして、自宅庭にミヤマカラスアゲハが飛来し、産卵してくれるのを期待したのであった。

 今年、キハダの木は細い枝を伸ばして2mほどに成長し、クサギは2.5mほどになった。そして、クサギには3年目にして、初めて花が咲いた。 

 庭に植えたもう一つの吸蜜用のブッドレアの花には例年、多くのチョウが訪れているが、その中にミヤマカラスアゲハも混じっている。今年は、クサギの花が加わったためか、ミヤマカラスアゲハの姿が、例年に比べて多いように感じていた。

 そうしたある日、ショップに出ている私に、妻から自宅庭のキハダにミヤマカラスアゲハらしい♀が来て、しばらく周辺を飛びまわり、産卵行動をとっていたと連絡があった。妻はその様子をスマホでビデオ撮影していて送ってくれた。

 ショップから帰宅して早速その場所を探してみると、キハダの葉にではなく、キハダの枝に絡みついているつる性の草の先端部にそれらしい卵を1個発見した。


つる草に産み付けられた卵(2023.9.10 撮影)

 すぐに、このつる草をキハダの枝先から取り外し、卵の付いている先端部を10㎝程切り取って、室内に持ち込んで観察・撮影をすることにした。

 この後、妻はもう一つ別の卵を、今度はキハダの葉の上に発見した。この卵は、そのまま残すことにして、枝葉に目の細かい台所用のネットの袋をかけて保護しておいた。

 室内に取り込んだ卵は、産卵日から数えて3日目には色が変化し始め、5日目には内部の黒い点が見えるようになった。孵化が近づいたと判断して、この日からタイムラプス撮影を開始した。

 以前、庭のミツバに産卵したキアゲハの卵を室内に持ち込んで、孵化の様子を撮影した時には、早い段階から長時間連続して照明を当て続けたことが原因だと思うが、うまく孵化させることができなかったという経験をしていたので、今回はぎりぎりまで様子をみて、孵化が近いと判断できるまで撮影はできるだけ控えることにしたのであった。

 撮影も連続撮影は避け、夜間の照明もできるだけ少なくなるようにした。しかし、余りに気を使いすぎたために、夜間の撮影を中断した後、早朝様子を見に行ってみると、すでに孵化が終わっていて、幼虫は、この間にすっかり萎れてしまっていたつる草にじっとつかまっていた。卵の抜け殻は見当たらず、孵化後幼虫が食べてしまったようであった。

孵化直前の卵の様子と孵化後の1齢幼虫(2023.9.13~15日 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 急ぎ、キハダの葉を庭の木から切りとり、幼虫のそばに置いたところ、幼虫はその葉に移動していった。しかし、すぐには葉を食べる様子はなく、葉の上をあちらこちら移動して回り、その間に小さな糞を2個出した。何も食べていないように見えたが、気が付かないうちにどこかでキハダの葉を食べていたのか、それとも卵の抜け殻を食べていたので、しばらくは何も食べなくても大丈夫なのだろうか。

 結局、撮影していたこの日は夕方までキハダの葉を食べる様子はなかった。

 1齢幼虫(2023.9.15, 5:13 ~ 14:05 通常撮影と30倍タイムラプス撮影後編集)

 翌朝、見た時にはキハダの新芽に大きい食痕があったので、夜間しっかり食べていたようであった。

キハダの新芽に見られた食痕(2023.9.16, 6:32 撮影)

 1個目の卵は、このように孵化の瞬間の撮影を逃してしまったので、まだ庭のキハダの葉にそのままにしてあった2個目の卵を室内に持ち込んで撮影を行うことにした。これらの2個の卵は、♀チョウが同時期に産卵したものと思われるが、幸いなことに外に残してあった卵の方はまだ孵化していなかった。

 この2個の卵の孵化時期の差は、産卵後すぐに室内に取り込んで撮影をした最初の卵の方は、約24度の室温に保たれていたが、庭に放置したものは、夜間低い温度に置かれたため昼夜を平均すると累積温度が低かったからだろうと思われた。

 キハダの葉ごと切り取った2個目の卵の撮影にとりかかった。今度は失敗するわけにいかないので、やむを得ず連続撮影を行った結果、無事孵化の様子を撮影することができた。次のようである。

孵化(2023.9.16, 9:16~13:58 30倍タイムラプス撮影後編集)

 ところで、♀チョウがキハダに産卵していたので、何の疑いも持たずにミヤマカラスアゲハだと思って孵化の様子を撮影し、さらにこの後も2匹の幼虫を継続して飼育し、各齢ごとの脱皮の様子を撮影していたのであったが、終齢幼虫へと脱皮したところで、この幼虫はミヤマカラスアゲハではなく、カラスアゲハであると気が付いた。

 今回のタイトルを(ミヤマ)カラスアゲハと表記していたので、不思議に思われたことと思うが、こうした理由があった。

 我が家の庭には、コクサギの木も植えていて、カラスアゲハやオナガアゲハの幼虫が好んで食べる食樹だと思っていたので、カラスアゲハが産卵するとすれば、こちらの方になるだろうと思っていた。

 今回キハダで見つかった卵はまさかのカラスアゲハであった。もっとも、カラスアゲハはキハダも食樹とするとされているので、不思議ではなく、♀チョウを責めるわけにはいかないが。

 こうして、カラスアゲハには申し訳ないが、やや残念な思いがする結果になった。しかし、カラスアゲハの飼育もまた初めての経験である。次回以降でこの2匹の幼虫の成長の様子を紹介する。



  

 
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