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軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ヤママユ(1)孵化~1齢幼虫の脱皮 

2018-09-07 00:00:00 | 
 2015年の夏、長野県安曇野にある「天蚕センター」に出かけて、「天蚕」すなわち「ヤママユ」の飼育の様子を見学したことがあった。

 この天蚕センターについては、ウェブサイト(http://azumino.tensan.jp/yamako/yamako.html)に詳しいことが出ているが、我々になじみの「カイコ=家蚕」に対して、この地方では「ヤママユ=野蚕または天蚕」を天明年間(1781~1788)から飼育し始めたとされる。

 繰糸の方法を取得し、機械化も進めて、最盛期の明治30年(1897年)には、年間800万粒の繭を生産し、天蚕飼育の黄金時代を迎えていた。

 しかし、第二次世界大戦により生産が中止され、1943年頃には製繭は途絶えてしまっていた。戦後、長野県蚕業試験場松本支場有明天柞蚕試験地が設置され、ここで天蚕種の保存が続けられた。1973年ごろから飼育未経験の一般農家を説得するなどして、飼育を再開し、1977年には、天蚕飼育の復活及び飼育、繰糸、機織り技術を後継者へ伝承するための拠点として天蚕センターが建設された。

 現在、この天蚕センターでは、天蚕の歴史や生態が大変わかりやすく紹介されており、隣接している安曇野天蚕工房では、手機織りの実演も見学できる。また、敷地内に見学者用飼育ハウスもあり、天蚕の一生も見学できる。

 飼育用のクヌギの木が植えられた畑には全体を覆うようにネットがかけられ、その中で天蚕(ヤママユ)の飼育が行われていたが、ちょうど羽化の時期を迎えていて、ネットには翅を広げた成虫の姿も見られた。


自宅で飼育し羽化したヤママユ♂(2016.8.20 撮影)

 この少し前に、同じヤママユガ科の仲間の、ウスタビガを飼育して、蛹化と羽化の様子を3D撮影したことがあったので、次はこのヤママユを飼育し、孵化するところから撮影してみたいと思い、卵を分けていただけないか相談したところ、春になり、余裕があればお分けしますということであった。

 翌年になって、連絡をとり確認したところ、大丈夫ということになって、2016年春に200個ほどの卵を入手することができた。送られてきた卵は、前年現地で見学したものとおなじで、細長い和紙に、扁平な卵が20粒ほどの塊ごとに、糊で貼り付けられていた。

 このヤママユの養蚕は、明治以降、歴代の皇后が受け継いできた皇室の伝統でもあり、美智子皇后も、皇居で飼育されている。この卵を付着させた和紙を、ホチキスで孵化(ふか)後の餌となるクヌギの葉に留める作業は「山つけ」と呼ばれている。今年も皇居で5月2日に、この「山つけ」が行われたと、新聞各紙が報じていた。

  さらに、7月12日には、両陛下が天蚕の繭を収穫される様子が、各紙で次のように報じられた。「天皇、皇后両陛下は12日、皇居内で野生種『天蚕(てんさん)』の繭を収穫された。両陛下はハサミを使って薄緑色の繭がついたクヌギの枝を丁寧に切り落とし、天皇陛下は担当者に『病気は出ませんか。昔初めて天蚕を飼った時は茶色くなりましてね』と話されていた(日本経済新聞)」。

 さて、我が家に届いたヤママユの卵、まだ孵化までには時間があると思い、そのままにして毎月定期的に出かけることになっていた大阪に行っていたところ、軽井沢の妻から電話がかかり、ヤママユの卵から幼虫が孵化し始めたとの知らせを受けた。

 妻から送られてきたメールに添付されていた写真には続々と卵から這い出して来る幼虫の姿が写されていた。


和紙に糊で貼り付けてあった卵から孵化してきたヤママユの幼虫(2016.5.20, 10:44 妻撮影)


同上の拡大


 留守宅の妻は、慌てて幼虫の餌の木の葉を採りに行き、まだ孵化していない卵は冷蔵庫に入れ、孵化を遅らせる措置をとった。


餌の木の葉を食べ始めたヤママユの幼虫(2016.5.21, 17:05 妻撮影)

 安曇野の天蚕センターや皇居では、幼虫の餌に、クヌギの葉を与えているが、軽井沢では寒冷な気候の関係でクヌギは育たない。そこで、最初に与えた葉は近隣の山地で採ったミズナラであったが、幼虫はコナラの方が好みらしく、両方を与えると一斉にコナラの葉に移動していったので、以後はコナラの葉で育てることとなった。

 冷蔵庫に入れておいた残りの卵は、その後10日ほど経って,私が帰宅してから取り出したところ、また孵化が始まった。こうして、2016年のヤママユの飼育は先行する約100匹の集団と、これに遅れるやはり100匹ほどの集団の二つを育てることになった。

 そのおかげで、先行する集団を観察することで、幼虫の変化の様子をあらかじめ知ることができ、撮影にはとても有効であった。

 これから数回に分けて、ヤママユの成長過程を紹介させていただく。このヤママユは最終的に40頭ほどを自宅で羽化させることができ、採卵も行えたので、翌2017年、さらに今年2018年も同様に累代飼育し観察・撮影を行うことができた。

 まず、冷蔵庫から取り出した方の卵から幼虫が孵化し這いだしてくる様子を撮影した。幼虫は中から卵の殻をかじって穴をあけ、そこから這い出して来る。卵は和紙に糊で貼り付けられているので、容易に這い出すことができるが、撮影用にとまだ孵化していない卵だけを和紙から剥がした場合には、幼虫はしっぽの先に卵の殻をくっつけたまま、しばらく這って行くことになる。しかし、大丈夫、少し苦労をかけたが、どの幼虫も無事殻から抜け出すことができた。

 ごらんのとおり、ヤママユの場合、幼虫は抜け出した卵の殻を全部食べてしまうことはしない。以前紹介したモンキチョウ(2018.6.15 公開)の場合と、この点は異なっている。

 卵の大きさは直径が2.5㎜、厚さは1.9㎜ほどの扁平なもので、出てきた幼虫の長さは6-7mmといったところ。重さは測ったわけではないが、天蚕センターの資料によると0.006gという。この撮影はリアルタイムで行っている。
 

ヤママユの孵化1(2016.6.2, 13:33-35 撮影)


ヤママユの孵化2(2016.6.2, 14:10-13 撮影) 

 餌のコナラの葉を食べ始めると、幼虫はみるみる成長していくように見える。以前紹介した(2017.7.28 公開)ように、4齢から5齢位になると、几帳面な食べ方をするようになるのだが、この段階ではまだ決まった食べ方はしていないようだ。


コナラの葉を食べる1齢幼虫(2016.6.2, 22:14-17 撮影)

 先に孵化していた方の幼虫群は、1週間ほどで長さが倍の12-3mmくらいになると、次々と脱皮し、2齢になっていった。脱皮の少し前から幼虫は葉を食べるのをやめて、葉の上でじっとしている。脱皮後の幼虫は頭がひとまわり大きくなっていて、毛も長くなり黒い縦縞の模様は色が薄くなった。ちょうど2匹の幼虫がいて、一方が脱皮したので、脱皮前後での違いがよく分かる。


1齢幼虫の脱皮(2016.5.26, 23:12-22 撮影したものを編集)

次回に続く






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几帳面な性格

2017-07-28 00:00:00 | 
 昨年、2016年の春から、ヤママユ蛾の幼虫を飼育している。現在飼育しているのは、その子供たち、第二世代になる。

 当初は孵化後の1齢から終齢の5齢幼虫まで、4回繰り返されるという脱皮、そして繭作りと羽化の様子を3D撮影することが主目的であったので、幼虫が餌のコナラの葉を食べる様子については、特に注意を払っていなかった。

 幼虫が3齢位になると、それまでは葉の一部をかじっているようにしか見えなかったのが、葉の食べ方に特徴があることに気がついた。

 4齢から終齢にもなると、一度に一枚の葉を食べてしまうようになるので、その食べ方の特徴がよくわかるようになる。なかなか几帳面で面白いのである。

 腹脚でしっかりと枝につかまって、コナラの葉の基部の方から食べ始めるのであるが、中央の葉脈(主脈)の片側だけを先ず葉先の方まで食べてゆく。このときも、細い葉脈(側脈)に沿って食べようとする傾向がある。

 片側を葉先まで食べてしまうと、今度は残った半分を葉の先のほうから食べ始めて、葉の基部に向かう。こうすることで、一枚の葉を残すことなく食べつくすことができる。幼虫の様子を見ていると、こうした本能的な行動に感心することがしばしば起きる。

 葉を食べるこの行動で、もうひとつ驚いたことがある。妻が発見したのであるが、葉を食べ始めるときに、基部の葉柄を太さの半分くらいまでかじって、しなやかに、折れやすくなるように準備をしていることである。

 こうすることで、幼虫自身が枝に留まったままで、葉を手繰り寄せるようにして食べることができるのである。この技には本当に感心してしまった。

 まず、動画からのキャプチャー画像で、その様子を見ていただこう。


写真1.食べる葉を選ぶ(2017.7.22 撮影動画からのキャプチャー画像、以下同)


写真2.葉柄の一部を太さの半分くらいまでかじる。こうすることで葉は基部から折れ曲がるようになる。


写真3.葉の基部から主脈の片側を食べ始める


写真4.片側を半分まで食べた、側脈を意識しているように見える


写真5.葉先まで食べた


写真6.残り半分の葉を、今度は先の方から食べていく


写真7.どんどん食べ進める、今度は側脈を無視しているように見える


写真8.ここで少し一休み


写真9.残りは一気に食べてしまう


写真10.葉柄まできれいに食べる


写真11.満腹になったので枝にぶら下がって、得意のポーズで休憩

 もし、葉を基部から食べ始めて、先の方に向かわないで、横方向に横断的に食べると先の部分を食べる前に落下させてしまうことになる。しかし、そうしたことはまず起きない。

 ただ、幼虫がまだ小さいときには、何回かに分けて葉を食べるので、食べかけの葉が下に落ちているのを見かけることはあった。また、たくさんの幼虫を飼育している関係で、一枚の葉を2匹が同時に食べることがある。すると、葉の先のほうで食べている幼虫を、葉の基部の方で食べている幼虫が、葉ごと落下させるという「事故」も起きることがあった。

 しかし、4齢くらいになると、食べては休み、糞をしてからまた食べ始めるという動作を数回繰り返して、1枚の葉から離れることなく食べてしまうし、終齢になり更に食欲が増してくるとこの映像のように、ほとんど一気に一枚の葉を食べるようになる。こうした習性は、どの個体もだいたい同じであり、こうした食べ方をしている。

 葉柄まできれいに食べつくしてしまい、食痕をなくしているのは、食べかけの葉が見つかって、捕食者に存在を知られるのを防ぐための智慧なのかと思える。この几帳面さは、人間で言えばA型タイプかなということで妻と意見が合ったのである。

 では、動画でこの様子をご覧ください。


コナラの葉を食べるヤママユの終齢幼虫(2017.7.22 30倍のタイムラプスで撮影)
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ホウジャクのホバリング

2016-12-09 00:00:00 | 
 庭のブッドレアの花にやってくる蝶や蛾などの中でも一風変わっているのがホウジャクであった。

 ホウジャクは「蜂雀」と書き、蜂のように飛ぶ「雀蛾(スズメガ)」の意味。

 その名が示すように、ホウジャクは蜂のようにホバリングをして、花から少し離れたところにとどまり、そこから長い口吻を伸ばして蜜を吸うのだが、その様子はハチドリにも似ている。

 ハチドリといえば、もうずいぶん前のこと国際会議参加のため5月に米国のサン・ノゼに出張した時、滞在したホテルの広い庭の花に次々と吸蜜に来ていたのを見て感動したのを思い出す。日本では見かけることのない光景だ。

 ところで、時々庭にやってくるこのホウジャクのホバリングの様子を写真撮影してみようと思い立ち、ニコンD200と105mmF2.8マクロレンズを持ち出してストロボを使わず、高速シャッターでどの程度撮れるものか挑戦してみた。

1/1000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 1/5(2016.10.9 撮影)

1/1000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 2/5(2016.10.9 撮影)

1/1000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 3/5(2016.10.9 撮影)

1/1000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 4/5(2016.10.9 撮影)

1/1000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 5/5(2016.10.9 撮影)

 毎秒70回から90回羽ばたいているという翅の動きが1/1000秒のシャッタースピードで撮ると、翅の位置にもよるが、速度が遅くなる折り返し位置にある時にはある程度止まって写っている。一方スピードの速くなっている途中ではぶれてしまった。羽ばたきの回数からは当然の結果となった。

 更に条件をを変えて、1/2000秒でも撮影してみた。

1/2000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 1/5(2016.10.9 撮影)

1/2000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 2/5(2016.10.9 撮影)

1/2000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 3/5(2016.10.9 撮影)

1/2000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 4/5(2016.10.9 撮影)

1/2000秒、F3で撮影したホウジャクのホバリング 5/5(2016.10.9 撮影)

 今回はISOの最高感度での撮影を試みたのだが、これらの写真を見る限り、ホウジャクのホバリングの翅の動きを完全に止めるためには、1/2000秒よりも更に数倍早いシャッター速度で撮影をする必要があることが判った。

 しかし、我がニコンD200と105mmF2.8マクロレンズではこの辺りが限界のようである。

 友人のSさんは飛翔中の蝶の撮影を行い、すばらしい写真を多数撮影しているのだが、ぴたりと静止した写真を撮るためには1/1000秒以上の早いシャッタースピードが必要だと話していた。

 ホウジャクの場合、蝶とは比較にならないくらいのスピードで翅を動かしているため、この条件では歯が立たなかったようだ。

 ホウジャクの仲間には、ホウジャク、ホシホウジャク、クロホウジャクなどがいて、よく似ている。

 この内、ホシホウジャクとクロホウジャクは体や翅の色がとてもよく似ていて、ホバリングをしているときには素人には肉眼ではとても区別がつかない。

 同定は前翅先端部の紋様と、後翅の黄色の帯の太さで判断できるとの情報を参考にして、前後翅がはっきり写っている写真で判断したのだが、今回庭のブッドレアに来ていたのはホシホウジャクのようである。

 ホウジャクの仲間には翅が透明で、体の色が黄緑色のオオスカシバがいる。小学生のころ、このオオスカシバを見て衝撃を受けた記憶がある。

 オオスカシバの翅も、羽化直後には鱗粉で覆われていて不透明だという。羽化して羽ばたくことでこの鱗粉は容易に取れてしまい、我々が見る透明な状態になるのだそうだ。

 オオスカシバの幼虫はクチナシの葉を食べる。我が家の庭にクチナシを植えているのは、このオオスカシバを呼ぶためだ。
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ヤマカマス

2016-10-21 00:00:00 | 
 ヤマカマスをご存知だろうか。冬枯れの時期に雑木林の木の枝先にちょっと不思議な形をした緑色の繭がぶら下がっているのを見かけることがあるが、これがヤマカマス、ウスタビガという蛾の繭である。

 類似種の他の蛾の繭とは異なり、この繭には羽化した成虫が這い出すための出口がきちんと作られている。

 ウスタビガは秋に羽化して繭から出てしまうので、われわれがこの繭を目にする頃にはたいていは中が空っぽになってしまっている。


ウスタビガの繭、ヤマカマス(2016.10.11 撮影)

 この繭の形に惹かれて、ウスタビガを飼育し繭を作るところを見てみたいと思うようになっていたのだが、ウスタビガの幼虫をどこでどのようにして探せばいいのか判らないまま時間が過ぎていた。

 ところが思いがけずその機会が訪れた。昨年夏に南軽井沢の別荘地内を散歩しているときに、妻が足元を這っているウスタビガの終齢幼虫を見つけたのだ。


南軽井沢の別荘地内で見つけたウスタビガの終齢幼虫(2015.7.13 3D動画からのカット画像)

 この幼虫はすでに餌を食べるのをやめて繭つくりの場所を探していたようで、持ち帰るとしばらくして用意した枝先で繭を作り始めた。この繭つくりの様子は3D動画に収めることができた。


ウスタビガの終齢幼虫の繭つくり(2015.7.13 3D動画からのカット画像)

 この繭を保護用のネットに入れて庭の木にぶら下げておいたところ、秋のある日ネットの中でウスタビガが羽化しているのに気がついた。生まれてきたのはメスであった。これが幸いして今年の幼虫の飼育につながった。


無事に羽化したウスタビガの♀(2015.10.16 撮影)

 この♀を網かごに入れて、別荘地に持って行き、横に誘蛾灯をともして♂が来るのを待った。翌朝見に行くと、周りには7匹の♂が集まっていて、無事お婿さんを見つけることができた。

 このメスはその後30個ほどの卵を網かごの網に産んでくれた。そして今年の春これらの卵がほとんどすべて孵化し、幼虫が誕生した。

 この幼虫の飼育には、餌となる葉の確保にずいぶん苦労させられたが、その甲斐あってか多くの幼虫はすくすくと成長し、昨年に続いて再び繭・ヤマカマスを作るところを次々と見せてくれた。数えてみると20個の繭ができていた。

 昨年は気がつくと羽化が終わっていたということもあり、繭から成虫が羽化する瞬間を目撃することはできなかったが、今年は多数の繭があったので、羽化の瞬間を3D動画撮影することもできた。その一例を同時に撮影した写真で見ていただこう。




繭から成虫が顔を出した(2016.10.8 18:38~19:01 撮影)


 繭の中で何が起きているのかを外から窺い知ることはむつかしい。繭をよく観察し、中で蛹から抜け出し、外に出てくる瞬間を待った。よく見ていると、羽化した成虫は出口から少し顔を出し、口から液体を吐いて時間をかけて繭の口を柔らかくしていた。そして十分柔らかくなった出口から這い出してきていた。



体の大部分が繭から抜け出した(2016.10.8 19:02 撮影)



繭にぶら下がって翅を伸ばす(2016.10.8 19:02~19:13 撮影)


翅を開いて羽化が完了した(2016.10.8 19:19~20:49 撮影)

 繭から顔を出し始めてから、翅が完全に伸びるまでおよそ2時間、羽化してきたのは翅の色が濃い♂であった。

 この種の蛾の雌雄判定は触角を見ることで容易に行える。幅が広いほうが♂である。これは、♀が出すフェロモンを敏感に感じ取るために表面積を大きくしているものと考えられている。

 今年できた繭は2個が寄生生物のために死んでいたが、残る18個からは♀と♂ほぼ同数が無事成虫となった。

 今年も昨年同様これらの♀を別荘地に持ち込んで、誘蛾灯を点けて♂が来るのを待ったのだが、3日間続けても集まってきた♂は2頭のみ。自宅の環境と自然環境との違いであろうか。どうも羽化の時期が少しずれてしまったような気がしてならない。

 しかし、その後10頭ほどいた♀から、今年は昨年よりも多くの卵を得ることができた。また、来年につなげていきたいと考えている。


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