時の流れの中に!

少子高齢化の中で高齢者はどう生きて行けば良いのか。

新型コロナウイルス コロナ禍の読書

2020-06-17 13:02:15 | 事件

『人間に向いていない』著者:黒澤いづみ 講談社文庫 定価:本体760円(税別)
あらすじ:とある若者の間で流行する奇病、異形性変異症候群にかかり、一夜にしておぞましい芋虫に変貌した息子優一。それは母美晴の、悩める日々の始まりでもあった。夫の無理解、失われる正気、理解不能な子に向ける、その眼差しの中の盲点。一体この病の正体は、嫌悪感の中に感動を描いてみせた稀代のメフィスト賞受賞作。


※この異形性変異症候群は若年層の引きこもりなど社会的弱者として鬱屈した日々を過ごしている者ばかりが罹る。異形になったときにどう変異するかは、個々の性格によるのだろうかそれは判らない。
発症すると、治療方法がないために政府は発症すれば死亡と認定した。その生き物を殺しても殺人罪にならない。芋虫となった優一を捨ててしまえと言う夫・勲男、変異しても我が子なので一緒に生活して行きたいと願う美晴、異形性変異症候群について調べていくなかで変異者の家族が集まっている『みずたまの会』を知る。
この家族会のメンバーには、白くて柔らかそうな毛で覆われているが顔だけは人間の顔をしている犬のような娘を持った親。
観葉植物のようで、葉っぱがこう、ぱあっと開いてるヤシみたいな・・・・生えているのは葉っぱじゃなくて手だったり指だったりになっている息子。
それぞれの家族がどのように生きていくのか気になる。普通に生活できるのか関心をもち読み続ける。
兄が変異して結婚話が破談になった妹、兄は変形し長く垂れ下がった耳を動かし、ヤギのような目を瞬かせ、ネズミに近い形の鼻をひくひく動かす。二本足で立ち上がる姿は小動物が警戒するようだった。妹はゴルフクラブでその小動物の丸い背中を叩き続ける。
「あたしの息子は魚型の異形でね、しばらくは水槽に入れて飼っていたの。でも、これからどうしたらいいか分からないし、異形の息子と家にふたりきりでいて頭がおかしくなっちゃったのか、ある日気づいたらフライパンで焼いていたのよ」と話す人。
異形性変異症候群・・・・・この奇妙な病について、ひとつの仮説として、必ずしも変異した本人ばかりに問題があるのではなく、その親・・・・・ひいては家庭そのものに問題があって発症するのではないか・・・・・美晴の友人になった津森は考える。
これに追加するのであれば、社会情勢、環境があるかも知れない。こんな異常な社会の話だが現在のコロナ禍の自粛生活、座ったまま動かない、誰とも話さない、そんな何もしない生活が長く続くと人間も何かに変異してしまうのでは、家を出ないでこの本を読んでいるとそんな気にさせられる。家族がこのように変異してもこれまでと同じように生活が続けられるか、家庭とは家族とは、親子の絆についても考えさせられた。

コメント
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