世界の街角

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北タイ陶磁の源流考・#22<インドシナ各地の窯構造・#12>

2017-02-15 08:11:26 | 北タイ陶磁
<続き>

6.中部タイの窯構造

<スコータイ>
6-4.トゥリアン窯

(写真出典:現地撮影)

●所在地
 スコータイ県ムアンスコータイ郡
●平面プラン
 地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
 不詳(資料の持合せなし)
●開窯時期
 14-15世紀
●出土陶磁
 青磁鉄絵

<ピサヌローク>
6-5.ワット・タ・パ・カオハイ窯
(写真出典:現地撮影)

●所在地
 ピサヌローク県ムアンピサヌローク郡
●平面プラン
 地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
 全長:約7.5m
 全幅:約3.5m
 (1984年アデレード大学とタイ芸術局の共同調査後報告書刊行、入手していな
  いので詳細不明)
●開窯時期
 ?
●出土陶磁
 無釉土器、黒褐陶、青磁

<シンブリー>
6-6.メナムノイ・1号窯
(写真出典:เตาแม่นัำน้อย ๒(タイ芸術局発刊:メナムノイ窯第2版)

(写真出典:Google Earth投稿Panoramioより転載)

●所在地
 シンブリー県バーンラチャン郡タンボン・チューンクラット
●平面プラン
 地上式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
 全長:14.5m
  燃焼室長:3.0m
  焼成室長:9.8m
  煙道径:1.7m
 全幅:5.5m
 昇焔壁高:2m
●開窯時期
 14世紀
●出土陶磁
 焼締陶、黒褐釉陶

以上でタイ国内の窯址の概観を終了し、次回はミャンマーの窯址を確認したい。




                                   <続く>



北タイ陶磁の源流考・#21<インドシナ各地の窯構造・#11>

2017-02-14 07:28:00 | 北タイ陶磁
<続き>

6.中部タイの窯構造

<シーサッチャナーライ>
6-1.バン・コノーイ61番窯
(写真出典:現地撮影)
61番窯博物館に展示されている最下層の窯で、完全な地下式の粘土構築窯である。いわゆるモン窯の開窯は、61番窯の後(約1世紀後)であるが、そのモン窯もこのような窯であったと思われる。
●所在地
スコータイ県シーサッチャナーライ郡
●平面プラン
地下式楕円形(粘土構築)
●窯諸元
全長:6m
全幅:2~3m
●開窯時期
11世紀後期ー12世紀初期
●出土陶磁
無釉焼締壺、同瓶

6-2.バン・コノーイ30番窯

(写真出典:現地撮影)

●所在地
スコータイ県シーサッチャナーライ郡
●平面プラン
地下式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
不詳
●開窯時期
14世紀
●出土陶磁
青磁、青磁鉄絵

6-3.バン・パーヤン窯

(写真出典:現地撮影)

●所在地
スコータイ県シーサッチャナーライ郡
●平面プラン
地下式楕円形(煉瓦構築)
●窯諸元
不詳(バン・パーヤン窯の平均的寸法は10×4mと云われている)
●開窯時期
 14世紀
●出土陶磁
 青磁、青磁鉄絵




                                   <続く>


北タイ陶磁の源流考・#20<インドシナ各地の窯構造・#10>

2017-02-13 08:11:46 | 北タイ陶磁
<続き>

5.北タイの窯構造
今回はサンカンペーンとインターキン及びワンヌア古窯址を紹介する。尚、今回でもって北タイの窯構造の確認を終える。スコータイ、シーサッチャナーライは北タイ南部に属すが、タイ中部平野の北限に属しており、勝手ながら当該ブログでは中部タイとして扱うこととする。

<サンカンペーン諸窯>
5-10.ワット・チェンセーン窯

窯諸元と云っても詳細は記載されていないが、それはショウ氏の著作「Northern Thai Ceramics J・C・Shaw」より転載した。

(ピンボケしているので下に携帯で撮影した写真を添付しておく)
(写真出典:現地にて撮影)

●所在地
 チェンマイ県サンカンペーン郡オンタイ村
●平面プラン
 半地下式楕円形
●窯諸元
 全長:3.4m
 全幅:1.93m
●開窯時期
 14世紀前期ー14世紀中期
●出土陶磁
 青磁鉄絵、青磁
●轆轤回転方向
 左右混在

5-11.フェイラーン窯
(写真出典:現地撮影)
●所在地
 チェンマイ県サンカンペーン郡
●平面プラン
 半地下式楕円形
開窯時期や窯諸元については不詳。但し窯寸法は目視ながらワット・チェンセーン窯より一回り大きいか?

5-12.インターキン・ムアンケーン窯
窯諸元については、サーヤン氏の著作「CERAMICS IN LANNA Sayan Praichanjit」より転載した。
(写真出典:現地撮影)
●所在地
 チェンマイ県メーテン郡サンパトン村
●平面プラン
 地下式楕円形
●窯諸元
 全長:3.75m
  燃焼室長:1.15m
  焼成室長:1.85m
  煙道径:0.75m
 全幅:2.20m
 昇焔壁高:0.65m
 傾斜角:6.5-7度
●開窯時期
 15世紀中頃
●出土陶磁
 青磁、褐釉陶  刻花文、印花文

5-13.ワンヌア窯
チェンマイ国博の前庭に移転復元された窯を確認する。尚、窯諸元についてはショウ氏の著作「Northern Thai Ceramics J・C・Shaw」より転載した。

(写真出典:現地撮影)

●所在地
 ランパーン県ワンヌア郡
●平面プラン
 半地下式楕円形
●窯諸元
 全長:4.8m
  燃焼室長:2.0m
  焼成室長:2.3m
  煙道径:0.5m
 全幅:2.4m
 昇焔壁高:0.5m
●開窯時期
 14世紀
●出土陶磁
 青磁
●轆轤回転方向
 左回転
●特記事項
 ・独自の輪花縁を特徴とする

次回より中部タイの窯構造を確認したい。

                                          

                                <続く>

北タイ陶磁の源流考・#19<インドシナ各地の窯構造・#9>

2017-02-12 07:25:56 | 北タイ陶磁
<続き>

5.北タイの窯構造
今回はカロン諸窯より三つの窯について紹介する。カロンの開窯時期は一般的に14世紀と云われているが、以下に紹介する窯の諸元と開窯時期については、サーヤン教授の著書「CERAMICS IN LANNA Sayan Praichanjit」より転載した。

5-7.カロン:トゥンマン・ポーター窯
(写真出典:現地にて撮影)
●所在地
 チェンライ県ウィアンパーパオ郡
●平面プラン
 地下式楕円形
●窯諸元
 全長:3.85m
 燃焼室長:1.55m
  焼成室長:1.9m
  煙道径:0.4m
 全幅:1.9m
 昇焔壁高:0.5m
●開窯時期
 15世紀
●出土陶磁
 白磁、緑彩陶、青磁鉄絵、褐色陶

5-8.カロン:フェイパヨーム・ポーユエン窯
(写真出典:現地にて撮影)
●所在地
 ランパーン県ワンヌア郡
●平面プラン
 地下式楕円形
●窯諸元
 全長:4.6m
  燃焼室長:2.2m
  煙道径:0.4m
 全幅:1.5m
 昇焔壁高:0.45m
●開窯時期
 16世紀
●出土陶磁
 白磁、青磁刻花

5-9.カロン:メーフェウ・サオケーウ窯
(写真出典:現地にて撮影:下段窯)
(写真出典:現地に撮影:上段窯)
(写真出典:現地にて撮影:下段窯の煙道が上段窯の燃焼室に繋がる)
以下、下段窯について記載する
●所在地
 ランパーン県ワンヌア郡
●平面プラン
 地下式楕円形
●窯諸元
 記載なし
●開窯時期
 15世紀
カロン諸窯の轆轤回転方向は、サンカンペーン諸窯と同様に左右混在で、一つの特徴となっている。




                                  <続く>


北タイ陶磁の源流考・#18<インドシナ各地の窯構造・#8>

2017-02-10 07:44:56 | 北タイ陶磁
<続き>

5.北タイの窯構造
一時中断していた北タイ陶磁の源流考を再開する。今回はパーン諸窯の窯構造を確認する。パーンには3つの古窯址群が存在する。ひとつ目はバン・チャンプー古窯址群、二つ目はポンデーン古窯址群、三つ目はポンデーンに近いサイカーオ古窯址群である。いずれも破壊が進み原形を留めていない。
従って今回は、チェンマイ国博に移設復元展示されているポンデーン窯と、破壊が進んでいるサイカーオ窯の窯構造を確認する。

5-5.ポンデーン窯
(出典:当該ブロガーがチェンマイ国博にて撮影)
●所在地
 チェンライ県パーン郡
●平面プラン
 地上式楕円形
●窯諸元(諸元についてはJ・C・Shaw氏の書籍より転載)
 全長:6m
 全幅:3.5m
●開窯時期
 14世紀ー16世紀
●出土陶磁器
 青磁
●轆轤回転方向
 左右混在
●特記事項
 ・煉瓦構築で地上窯、昇焔壁高さは約1mと高い
 ・轆轤の回転方向は左右混在で、東南アジアでは珍しい存在。これは北ベトナムの
  ドゥオンサーとサンカンペーンでみることができる

5-6.サイカーオ窯

タイ芸術局の案内ボードが立っているので、調査報告書が発行されていると思うが、入手していないので窯の諸元等の詳細不明だが、煙道は比較的よく残っており地上式の窯である。


                                   <続く>