まっしゅ★たわごと

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【池袋】オーケストラ・ダスビダーニャ 第24回定期演奏会 in 東京芸術劇場

2017年03月14日 00時06分37秒 | 東京


東京生活2年目の冬。昨年の再来となるオーケストラ・ダスビダーニャの公演を見に行ってきた。

今回の演目は

E.ドレッセルのオペラ《哀れなコロンブス》のための序曲とフィナーレ 作品23
交響曲第1番 作品10
交響曲第12番《1917年》 作品112

となっている。

オープニングの曲は劇伴音楽みたいな感じであんまり面白くなかったけれど、最後のフィナーレが終わると指揮者の長田氏と金管楽器の皆さんが互いにかしこまって敬礼しあうところが面白かった。いかにも社会主義国家的な臭いを漂わせた敬礼で楽しんでいるなあという印象。

続く交響曲第1番はショスタコービチの事実上のデビュー作。2番や3番と比べると聴きやすい音楽だけれども世間的な演奏回数が少なく貴重な演奏だと思っている。ここのオケは上手さの追及もさることながら、ショスタコらしさとは何ぞやみたいなものを追っかけていて、更にダイナミクスの振れ幅がもの凄い。とにかく大音量となる場所はこれでもかというどんちゃん騒ぎをやらかすので、ショスタコの青年期の初々しさを感じるような演奏であった。



メインの交響曲第12番《1917年》は私にとっては《革命》よりも《祝典序曲》よりも先にショスタコの素晴らしさを知った初めての楽曲なのである。中学生のときに聞いたのが最初なのでもうかれこれ30年くらい経つのかな。その30年の中で、こんなにも表情豊かな《1917年》を聴いたのがこれが初めてかもしれない。

特に冒頭の低弦によるオスティナートからして表情に富んでいて、通常なら陰鬱に始まる主題も何気にキラキラ輝いているように感じた。これはもうショスタコービチ好きの集団から滲み出る「ショスタコが好きで好きでたまらない謎の汁」の湯気が体中からとめどなくあふれ出ているからなのだろうと思う。

それを目の当たりにして耳にした私も何だか、体内から「ショスタコが好きで好きでたまらない謎の汁」がじんわりと滲み出てきて、終始ニヤニヤニヤニヤしていたし、私の隣のオジサマも体を左右前後に揺らしながら「ショスタコが好きで好きでたまらない謎の汁」を放散しているようであった。

アンコールは、モロソフの鉄工場という曲。アンコール始まる前からバイオリンやビオラの人たちが白や黄色のヘルメットをかぶり、打楽器群は赤い鉢巻を頭に巻き、ホルンに至っては御そろいのヘルメットをかぶってのっけからスタンディングプレイでファンファーレの応酬。ほぼ全ての楽器が8分音符や16分音符を吹き鳴らし&弾き鳴らし、挙句の果てには金管楽器、木管楽器、そして弦楽器の奏者たちがバラバラバラと立ち上がりくるくる回りだし、狂騒と狂乱の中で曲が終わった。

何とも微妙なアンコールだけど、ステージ上の人たちの終始満足げな表情に至上のショスタコ愛を感じ、ショスタコ愛に包まれ、ショスタコ愛に酔いしれた。ちなみに、今回のメインの交響曲第12番《1917年》の選曲は100周年の2017年だからなのだとか。しかしながら曲目解説では10進法の罠みたいなところから書き始めてまずは選曲結果を否定することから始めている。ショスタコ好きはいかにもそんな逆説的な思考回路を持つ人たちで満ち溢れているのである。

兎にも角にも来年は、交響曲第11番《1905年》なのだとか。
嗚呼行きたい、嗚呼行きたい。。。


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