まっしゅ★たわごと

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映画「臨場」を見た。

2012年06月30日 23時09分18秒 | ぶつぶつ
ドラマ編「臨場」は第1シーズン、第2シーズン共に良く出来ていて、個人的には今回の映画への期待度はかなり高いものであったので、特に前評判みたいなものを調べずに観賞に臨んだ。

ここから先は、ネタバレの危険性があるのでご注意頂きたい。。。

ドラマから映画への飛躍は、予算の飛躍でもあり、同時にスケールのドラマである。よって事件における背景や社会的重大性も大きな事件が取り上げられ、同時にセットや撮影場所も派手なものに展開していくものである。人気刑事ドラマ、例えば踊る大捜査線などであれば、それはより良いもの作りとして一定の効果が見込まれるが、今回の「臨場」においては若干の疑問符が残る。

冒頭の無差別殺人のシーン、公開時期がミナミで最近起きた無差別殺傷事件とオーバーラップし、見ながらにして泣けてきたのと同時に、現実に起こりうる光景なので非常に恐いなあと感じた。あの殺戮のシーンがまさに先ほど述べた「飛躍」としての弊害であり、そもそも臨場はそういうショッキングな描写で展開していく種類のドラマでは無かったはずなのだ。しかも、検視のシーンや司法解剖のシーンも通常より長く、長いなりに何か新たな展開があるものかと思いきや、あまり煮え切らないものとなっているのが正直な感想である。それでいて「死者の最後の声を根こそぎ拾った」かと言えば、今回の事件で言えばドラマ的に「根こそぎ拾えているか」どうかという点についても疑問符が残る。

刑法39条の壁が物語の重要なテーマとしてのしかかってくるし、刑事による犯罪者ありきの無理な捜査もあるストーリー上の伏線にもなっているが、何につけても若干中途半端な気がする。この作品は映画化で展開していくよりもドラマとしてシーズン化して行った方が良いようにも思うが、映画の冒頭とエンディングが非常に意味深(いや、或る意味舌足らず)なのでシリーズとしてこの映画で完結してしまいそうな臭いもプンプンしている。ちょっとこのままでは消化不良な感じだし、1時間枠のドラマの方が、より良質な作品を作ってもらえそうな気がするので、第3シーズンも期待したいところである。

そのほか、気がついたところを散文的に書き出してみる。

  ・心身喪失者の青年役をやっていた青年、誰か知らないが森山未来に似ていた。

  ・容疑者と疑われるお巡りさんは平田満が演じているが、SPのときと同じく
   宿命に自らの運命を狂わされる不幸な中年役と言う点で、妙に設定が似ていて、
   この人はそういう哀しい宿命を背負った都会の中年男性を演じるには適任だと思った。

  ・眉毛課長!恒例のカレーライスのシーンはあったが、理髪店で髭を剃るシーンが
   なくてちょっと残念だった。

  ・段田安則、久々に見た気がする。顔のつくりが高嶋政伸とかぶるので共演はない
   と思っていただけに意外だった。でも、いざ並んでみるとあまり似てないかもと
   思ったよ。

  ・礼拝堂のシーンで長塚京三がセリフを言う度に、口から唾が飛び散るのが何度も見え
   照明の加減なのかどうなのか、それも演出の一つなのか少し疑問な感じやった。

ともあれ、心に残る映画であったことは間違いないんで、総じて見ごたえのある良い映画だったと思う。