何となくホールトマトを使ってパスタを作りたくなったので近所のスーパーに缶詰のトマトを買いに行く。いろいろ悩んだ挙句ホールトマトは調理がしにくそうなので、カゴメの完熟カットトマトというのを購入して帰る。正直、この手の缶詰は蓋を開けるのも初めてだったので、一体どんな味がするのかも未知だった。
それだけならまだしも、「ケチャップと色が似ている」という、ただそれだけの理由でフルーティーで楽園的な甘~い味がするものだと思っていた。確かに原材料名を見ると「トマト・トマトピュール・クエン酸」と書かれており、当然成分の一部に「クエン酸」が混じっているのであれば、酸味がすることは容易に想像できようものなんのであるが、とても楽観的に『トマトジュースだって食塩が入っているのに甘いしなあ』などという根拠の無い結び付けを行ってしまっていた。
更なる過ちは、皿に入りきらないくらい作ってしまった事と、自宅にあるパスタがほうれん草パスタであったこととである。料理の途中くらいからイロイロなところで誤った選択肢を選んでいることに気がつきだし、そうなると何だか料理の進行も適当になってきて、挙句の果ては「安いから」という理由だけで買ったカイワレ大根をパラパラとフリかけて仕上げとしたのである。
それはまるで歩いて渡るには酸の濃度が強過ぎる三途の川、その川の彼方に見える荒れた大地、そしてそこに蔓延る巨大な雑草群生、人はその島を獄門島と呼ぶ(ホンマかい!?)
赤いソースにはウインナーと塩と胡椒とバジルを入れて煮込んで見たものの、一口目を堪能した私は何の迷いも無くケチャップを投入したのであった。