新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

オリンピックの話題から偶には転換して

2024-08-07 07:31:29 | コラム
気分転換にカタカナ語は如何:

オリンピックの話題ばかりを取り上げるのが能事ではない気がしていたので、何かそれに変わる話題がないかと思っていたところ、今朝の新聞の折り込み広告に「グルメ」という大きな見出しがあった。勿論「食通」や「美食家」ではなくて「美味いもの」の宣伝のチラシだったのだ。そこで、気分転換にこのようなカタカナ語の話題を取り上げようと考えた次第。

グルメ:
このフランス語のgourmetは「美味な食べ物を良く知る人のことで、好みの料理やお酒を選んで楽しんでいる」という風にOxford English Dictionary(OED)が解説している。カタカナで表記するならば元の発音に従えば「ゴーメイ」とすると近いと思う。要するにgourmetは何時の間にか「美味いもの」のことをいうカタカナ語にされていたのだった。

また屁理屈かと言われそうだが、言いたい事は「カタカナ語には元の原語の意味とは異なった形で使われている例が多いのである」という事で、「グルメ」などはその典型的な例と言えると思う。何故、そうなっていたか、または恣意的に異なる使い方にしたのか、不思議な現象だと思う。

プライベート:
似たような例を挙げていこう。「プライベート」などはprivateという英語の単語にはない意味の「私生活」を意味するカタカナ語になって広く通用している。特に芸人様たち御用達で、屡々プロダクション側が「プライベートは当人に任せてあるので」などと言う言い逃れの常套句になってしまっている。

“private”は形容詞では「私用、個人に属する、私有の、自家用の、秘密の」という意味があり、OEDには「必ず名刺の前に置くこと」と指定されている。だから、privateの後にlifeが来る「私生活」の頭だけを取って「プライベート」となるカタカナ語を作り上げたのだろう。カタカナ語として使う事は妨げないが、英語として英会話などで使うのは避ける方が良いと思う。因みに、名詞ならば軍隊の「兵卒」のことになってしまう。

ハンド:
サッカーに「ハンド」と言われている反則がある。言うまでもないが「手」という意味である。「手の反則」とはおかしいと思うのが当然だと思う。それもそのはずで本来は“handling”だったのだから。ゴールキーパー以外は手でボールを扱ってはならないサッカーで「手で扱った」即ちhandleしたのだから反則なので、本来は「ハンドリング」だったのだが、ここでも頭だけを取って「ハンド」となって通用している。

野球用語の「ファウル」も同様に頭の部分だけを取った用語の例だろうと思う。即ち“foul”だけだと「不潔、汚い、不正な、悪い、邪悪な」の意味しかないのだから。そこで“foul ball”として初めて意味を為すのだが、そこは得意技「頭の部分だけを取る」形で「ファウル」としてしまったようである。因みに、バッターボックスから外に踏み出して打った「不正打球」は一寸難しくて“illegally batted ball”と言っている。

コンセント:
電気器具の「コンセント」も不可思議な誤用/転用だろう。「コンセント」即ちconsentには「同意、承諾、意見の一致」の意味はあっても、カタカナ語のような意味はない。これに相当するアメリカでの用語は“outlet”または“electrical outlet”だと思う。もしかして「コンセントに差し込むことに同意したのか」なんて。なお、UKの用語は“socket”であるようだ。


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