新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月17日 その2 ボウルゲーム観戦記

2019-12-17 15:27:51 | コラム
2日連続でフットボールを観戦:

甲子園ボウル:

今年も関西学院大学ファイターズ対早稲田大学ビッグベアーズとなって、去る15日にテレビ中継された。関学は関西のリーグ戦では優勝できていなかったと承知していたが、あの伝統的なしぶとさと附属の高校出身者が多い纏まりの良さで、同じく附属の高等学院他の出身者が多い早稲田に負けることはないだろうと、ごく当たり前のように予測していた。因みに、関西の優勝校は立命館大学パンサーズだったのだ。関東では日本大学フェニックスはあの昨年の揉め事で今年はその昔の2部にいたので、早稲田の優勝を遮る者が不在だろうと見ていた。

試合の展開は「勝って当たり前」乃至は「勝って甲子園ボウル30勝」を目指している関学と、何回挑戦しても僅かの得点差で負けていた早稲田が「何とかして勝ちたい」という懸命さというか直向きさで向かって行ったぶつかり合いに興味があった。昨年は「日大が出ていないリーグ戦なんて」という次第で観戦しなかったし、今年は何とか体調を整えて日大対東海大の試合を見ただけなので、早稲田が今年も左利きのQBを使っていたことすら知らなかった。

何れが勝つのかという手に汗握るかも知れないような試合の展開は面白かったし、私のような「西高東低」という先入観無しに見ておられた方には、良い試合だっただろうと思う。解説者が元立命館大学の監督だった関学を知り抜いた方だったので、早稲田がリードしても「関学は落ち着いているし、焦りはない」と言っているのも「その通りだろうな」と素直に受け止めて聞いていたし、その通りに関学が勝ってしまった。

ご記憶の方もおられただろうが、関学が8点を追っている時には「ここでタッチダウンをとって、2ポイントコンバージョンの挙に出て同点に持ち込むだろう」と予測してその通りに鮮やかに決めた辺りで「矢張り関東の大学では無理だった」と勝負の見通しがついたのだった。早稲田にはハワイ出身の物凄い髪型をしたレシーバーが健闘して75ヤードのランプレーも決めたし、所謂「コッフィンコーナー」への難しいパスを見事に捕ってタッチダウンをして見せてくれたが、悪い言い方では「そこまで楽しませてくれて有り難う」という残念な負け方に終わった。

関学にはそういう目覚ましい活躍をするスター選手はいないが、全員が鍛え抜かれていて大学の水準を抜いている者ばかりなので「ここぞ」という機会に失敗がなく、粗っぽいというか緻密さを欠いた関東の大学を退けて出てきただけの早稲田には荷が重かったということであり、フットボールの質の違いが「いざ」という時に出てきてしまったので負けたと思っている。とは言うものの、関学をあそこまで追い込んだ早稲田の真摯敢闘振りを褒めておくべきだろうと思う。早稲田は良くやった。良い試合だった。

関学は28年率いてこられた鳥内監督が今季で引退されるそうで残念だが、来年の1月3日のライスボウルでは昨日パナソニック・インパルスを破った富士通とまた対戦されるので、何処までXリーグの勝者に対抗(乃至は対応)できるのかが一種の楽しみである。これは「関学は勝てない」という意味だが。

ジャパンXボウル:
前日の甲子園ボウルの残像が幾らか残っていたので、昨夜の試合はまるで違う世界のフットボールを見ているような気がした。良い言い方をすれば「アメリカのカレッジの試合を見ているかのような躍動感とスピードがあるフットボールを富士通とパナソニックが展開していたのだった。実は正直に言えば、今年は1月からの病気続きに悩まされて、Xリーグの心配までをする余裕も時間もなく、新聞のテレビ欄で初めて両者の対戦と知ったほど遠ざかっていた。

これも非常に良い試合だった。だが、パナソニックが如何に全力を振り絞って真摯敢闘しても、新規に加入したというアフリカ系アメリカ人・グラント君の身体能力にしてやられてしまった。しかも、運は強い方の味方をするものでグラント君がその身体能力を活かして相手のでフィフェンスの上を飛び越えてエンドゾーンに着陸してタッチダウンかと見えたプレーだったものがボールを落としてしまったのだった。それで終わりかと思えば、そのボールが転がった先に味方が飛び込んで来ていたので、リカバーしてタッチダウンが成立してしまったのだった。グラント君はボール保持の仕方が悪く2度もファンブルしたのだが、MVPに選ばれてしまった。

パナソニックも善戦健闘して「あわや、パナソニックの勝利か」と思わせてくれた局面があったが、何連覇だかをしている富士通の実力と豊富な人材と運を自分の物にした強さには抗しがたく、所謂惜敗に終わった。だが、パナソニックの奮闘振りは賞賛に値するだろうと思うほど、試合の展開は面白く十分に楽しませて貰った。言うなれば「報道1930」とPRIME NEWSを放棄しただけの価値はあったということ。

ところで、フットボール界の「西高東低」現象であるが、両者ともにこれは良いなと思わせてくる選手たちは概ね立命館大学か関西学院大学の出身者なのだった。富士通ではQBに高木という慶応大学の出身者が出ていたが、これとてもアメリカ人の正QBが負傷欠場中だったからの起用らしかった。エースレシーバーの中村は日大出身だったが、姓名から見ると日系人かと思わせられた。要するに日大等の関東の大学出身はは少ないという何となく悲しいような両テイームの布陣なのだ。

富士通は昨年もQBとエースRBがアメリカ人だったし、パナソニックのQBもアメリカ人だった。それだから強いのだと言いたいのではなく、本場の選手の連れてくればアメリカの技術も指導法も作戦も学べるし、大いに斯道奨励にもなると思っている。現に立命館大学はアメリカの強豪大学・オクラホマステート大学の理論を導入していたし、現在の日大フェニックスの監督の橋詰氏はオクラホマにコーチ学習得に派遣されていた経験がある。NPBだって外国人選手が増えているし、バスケットボールのBリーグには帰化までしたアメリカ人のMBA経験者がいる。

外国人の待遇や扱い方は容易ではないと思わせる点が多々あるが、観戦する方にとっては試合が面白くなって昨夜のように興奮させてくれるにのは大変結構なことだと思う。ラグビーの如くに代表テイームの半数を外国人が占めていても、あれほど多くの国民を感動と興奮に巻き込んだ手柄は大きいと言えるだろう。私はこれから先は「外国人選手を斯道奨励の為に導入するのか、興行としての価値を高める為かの分かれ道に差し掛かるのではないか」と見ている。でも、昨夜の試合はアメリカ人選手の活躍で疑いもなく面白かった。



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