オリンピックの柔道にはチャレンジ制度がないのか:
NPBの野球中継を見ておられる方は先刻ご承知だろうが、今や審判の判定に対する異議申し立て(チャレンジ=challenge)が頻繁に行われる時代になった。アナウンサーたちは「リクエスト」と称しているが、それは「ビデオ判定の要求」と言って欲しいのである。私は正しくは「判定に対する異議申し立てがありました」であるべきだと思っている。
そこで、この英語では“challenge”を意味する「異議申し立て」について考えてみよう。どうやら、オリンピックの柔道では永山竜樹の例を見ても「ビデオ判定」または「意義申して」の制度は採用されていなかったとしか思えないのだ。国内では既にCARE(=computer aided replay)が採用されているかのようだが。
オリンピックの柔道では、あのシドニーオリンピックでの100kg級の篠原信一に対する誤審があってから、我が国では採用されたと聞くが、国際柔道連盟(IJF)は未だ採用していないらしい。だが、(アメリカン)フットボールでは監督が3回までのチャレンジが認められているし、ヴァリーボールでもバスケットボールでもテニス等々以外でも、異議申し立てをしてビデオ判定が要求できるようになっている。
私は「IJFは我が国が柔道の国際化を願ったのを良いことにして、我が国が発祥の地である柔道をスポーツの如くに恣意的に変えて、諸々の国際的なルールを創造して恰もボクシングのようにジャブで牽制し合う事を許し、制限時間などを設けてしまった。だが、不思議なことに欧米が発祥の地だと思っていたビデオ判定の導入は消極的である」のが残念である。
既に「過度にビデオ判定に依存する試合態度には疑問の声が上がっている」が、あのWBCの野球においてのアメリカの審判の誤審後の酷すぎる態度などもあったことだし、異議申し立て制度は正当な権利であると認められている。私は「試合の進行を阻害せず、観客の興味を削がない程度には行使して良いだろう」と考えている。
「チャレンジ制度」から議論が逸れてしまうが、柔道の伝説的王者・山下泰裕氏はJOC会長でIOCの委員なのだから、我が国全体の為もさる事ながら、柔道のルールや試合の運び方等について、IJF会長マリウス・ビゼール氏(オーストリア人)に正当に言うべき事を言って行かれても良いのではないのかと考えるのは誤りか。