新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

勝ち方を知っている監督と忘れた監督

2023-09-03 07:59:20 | コラム
9月2日のスポーツから:

今朝も他のことを取り上げようと考えていたが、昨2夜の我がバスケットボール代表が苦しみ抜いた末に「オリンピック出場権」を獲得したことが素晴らしかった(「最高」などとは言わない)のに感動し、またジャイアンツの負け方に一貫した戦術も戦略も見えなかったので、これらの点を振り返ってみることに変更した。

オリンピック出場権を確保した監督:
先ずバスケットボールだが、それこそ全員が打って一丸となって出場権監督に至ったことを賞賛すると同時に、トム・ホーバス監督(もしかして「ヘッドコーチ」となっているかも)の勝ち方を心得ておられる指導力にも敬意を表さねばなるまいと思う。

フィンランドとベネズエラに続けて逆転で勝ち抜いて来たので、出場権が掛かった昨夜のカーボベルデとの試合は、先方は何も失う物がないので(と理解していたが)気楽に挑んでくるだろう事が心配だった。私は結果を予想することもなく「何とか勝ってくれ」いや「これまでの努力が報われるように勝たせて欲しい」とだけ思って見ていた。そこには女子の監督として手腕を発揮したホーバス氏が「勝ち方を知る指導者だろう」と期待していた。

試合の流れは前半に富永啓生の3ポイントシュートが100%決まるなど優勢に進んだ。だが、カーボベルデは身長も高く運動能力に優れたアフリカ系の選手のみであり、中には2.2mという途方もなく高いNBAの経験もあるタバレスがいるのも不気味だった。彼らのプレーは身長の高さを活かすべくゴール下を固めて高い位置からのシュートで我が代表選手たちを圧倒しようとしているかに見えた。

対する我が方は外側からの3ポイントシュートに加えて、河村のスピードと渡邊雄太とホーキンソンの40分間休まなかった大活躍で対抗していたと見た。この戦法で前半は13点のリードで終わったが、リーバウンドが取れていなかったことと「前半をリードして終わった経験がなかったので、どのようにして『勝ち』に持っていくか」が、ハッキリ言えば懸念材料だった。それは「48年も出場権が取れていないことが“trauma”になっていなければ良いが」なのだった。

果たせるかな、4Qは7分間だったか1点も取れずに追い上げられ、残り1分12秒では3点差にまで追い詰められた。「負ける」という予感は来なかったが、勝ち抜いた経験がない選手たちがどうやって切り抜けるのかは、非常に心配になっていた。テレビ観戦では音声は入らなかったが、ホーバス監督は“静かな声で「自信持って打って!」「自信持ってトライ!」と諭した。”と報じられていた。この激励が選手たちを落ち着かせたのだそうだ。

実は、見ていた私などは「この危機は切り抜けられると期待するが、彼らが何とかする方法を心得ているのだろうか」と案じていた。タイムアウトの間に監督が落ち着かせたとまでは知り得なかった。私はあの最後の最後にリードを守り切った立ち直り振りを見て「トム・ホーバス監督はどのようにすれば勝てるか」を心得ておられるのだと確信した。

私は彼ら代表選手たちがここまでの成果で安心することはないだろうと期待している。それは、昨夜までは念願のオリンピックに出場できるまでの段階のこと。次なる目標をオリンピックでグループリーグの勝ち上がりか、またはそれ以上に定めて、そこに向かってのこれまで通りの猛練習(と報じられていた)と身長差を補う3ポイントシュートの精度を高めることと、今から身長は伸びないのだから一層の技術の向上を目指すことだと思っている。

ジャイアンツの負け方に思う:
バスケットボールの中継よりも前に始まった対ベイスターズ戦も観ていた。あの惨敗を見ていて疑問に思ったことは「原監督の戦術というか指導理念がチグハグであったこと」だ。彼が「CS出場を賭けて当たりを取り戻してきたベイスターズに挑んでいる」のか、あるいは「今シーズンはもう諦めて、新人や若手を多用して来年に備えているのか」が明確ではない点である。原監督はもしかして「勝ち方を忘れた」のではないのか。

報道によれば、今シーズン採用した新人全員を、ドラフト1位の浅野を始めとして、一軍の試合に使ったのは史上初めてだった由だ。昨夜も私には敗色濃厚に見えた途端に田中千と菊池を使ったかと思えば、ベイスターズがお払い箱にした三上を使って大量失点である。監督の信任厚き高梨を負け試合に使ってホームランを打たれたなどは、最早支離滅裂に近い。甥っ子の菅野も「嘗ては良い投手だった」に過ぎない。もしかすると、あの投手起用は阿波野コーチの進言かと疑っている。

投げる方もおかしいが、打つ方も一貫した方針が見えない。古手の経験に期待して丸、梶谷、長野、中田(登録抹消)、松田などを使うのかと思えば、浅野をトップバッターに起用するし、門脇などは最早レギュラーポジションを与えてしまったかのように見える。こういう作戦でCS出場を賭けたベイスターズ戦でのあの敗戦では、原監督の鼎の軽重を問う時期などは過ぎてしまい、過去の名監督だったと言わざるを得ない。

ジャイアンツ嫌いとしても、これ以上の批判は避けるが、原監督のあの指揮の乱れ方を、テレビでも新聞でも一向に取り上げないのは、寧ろ不思議でも何でもない読売に対する時代錯誤の気兼ねだと思ってみている。あの体たらくでは最早ジャイアンツは「野球界の盟主」という敬称には値しないと思うよ。