「ビジネスマンの服装学」から言わせて貰うと:
矢張り、もう一言も二言も言いたくなってくる。
それは「ネクタイとは服装をキチンとしようと意識する人たちは、好い加減な選択はしないし、等閑に出来ないもの」であるのだ。その意味は「高価な物」や「一流と認められているブランド品」をしていれば良いという事ではなく、その場の服装に適した調和が取れているか否かが問題なのだ。解りやすいと思う例を挙げれば「3万円のスーツに、非常に高価なジョルジュアルマーニやブルガリのネクタイではチグハグだ」という事。
即ち、先日取り上げた「ビジネスマンのあるべき服装」では色彩を同系色は1色と看做して、上から下の靴までを3色以内に纏めるのが好ましいのだから、ネクタイの色にも十分に配慮せよとなるのだ。
それに加えるに「着こなし」という要素も入ってくる。どういう事かと言えば、下記に麻生太郎氏を例に挙げるが、高価な生地を一流のテイラーが仕立てた服を着こなせる為には、それなりの知識も必要だし、高価な服をそれに相応しく着こなせるような経験をしていなければならないのである。22~23歳程度の若者は麻生さんが着ておられるような誂えのスーツを、いきなり着こなせるようにはならないということだ。
昭和26年に百貨店のアルバイトで教えられた「お客様の品定めの方法」で最も重要な部位はベルトで、これに何処まで金が掛かっているか、全体の服装と調和が取れているかで判断出来る」からも言えることで、全体との調和が取れていることも重要なのだ。私は今日までに、そこまで気を配った調和が取れた服装をしている国会議員など見たことがない。故安倍晋三元総理や麻生太郎副総裁は例外的だと言える。
もっとハッキリ言えば、閣僚にアルマーニのネクタイを締めこなせるだけの人がいるかということ。そもそも、洋服は日本国古来の文化ではないのだから、それが誰にでも十分な知識と経験に基づいて身につけられていないのは当然なのである。換言すればヨーロッパの高級なブランド品ならば何でも良いという事ではないのだ。エルメスばかりに憧れるなとも言える。
視点を変えよう。私は「コスパ」の点からは、岸田翔太郎氏は何もロンドン市内のハロッズでなくても、何処か市中にもあったはずの免税店か、空港の中の免税店を利用されれば良かったのではないかと思うのだ。ここだったならば公用車も要らないし、誰の目も届かないのだ。また、LDH空港の免税店の品揃えは良かったかと思うが。
なお、余談の部類になるかと思うが、世界で免税店の数が最も多く、品揃えも良いと定評があるのがアムステルダムのスキポール空港。ここには一度だけ立ち寄れたが素晴らしいと思った。
また、恥を申し上げれば、昨日は「アルマーニ」のスペリングを間違えていたのだった。正しくはGiorgio Armani。私はこのブランドのネクタイを買ったことがなかったし、我が国の閣僚でアルマーニのネクタイが合うような垢抜けたスーツの着こなしている人がいるとは思えないのだが。
安倍晋三元総理はかなりの頻度で、アメリカ縞のネクタイをしておられたと見ていた。現場で見た訳ではないが、テレビの画面からは一度倒産したBrooks Brothersのネクタイが多かったが、もしかするとPolo Ralph Laurenかも知れない。麻生太郎氏は誂えで物凄く仕立てが良く、高級な生地だと思うスーツを着ておられる。一国の総理大臣であれば、これくらいに服装に気を配るべきだと断言出来る。