新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月23日 その3 改めて韓国問題を考える

2019-11-23 15:28:39 | コラム
GSOMIA執行停止の中止では何も現実的には変わっていないのではないか:

悲観論者の私は康京和外務部長官の発言を見て「矢張り韓国は何も譲っていないし、何も変えていないのでは」と本気で危惧するに至った。それは、彼女は「我々はGSOMIAを何時でも破棄する権利を留保している」とも述べたし、「時間の余裕を稼いだ」とも別途発言したと知ったからだ。これらの意見の表明が彼女の独断の見解に止まっていれば未だ少しは安心だが、文大統領の指揮下にある外務部長官が恣意的に物を言うとは考えにくく、大統領の本心を代弁したと解釈できるのではないか。

前外務副大臣・佐藤正久氏は「GSOMIAには(康長官の発言のような)恣意的な破棄を認める条文はない」と指摘しておられた。私は今日までの韓国の国際法無視の数々の行動を見れば、今回の執行停止の中止の裏にはこのような無法な考えがあり、単に時間稼ぎを狙っただけの事だったと考えねばならないのかと、不安に思わざるを得なかった。即ち、時間を稼いでいる間に我が国と「貿易管理手続きの変更問題について協議し合って、GSOMIAの延期と交換条件(トランプ大統領の言葉を借りれば“quid pro quo”だ)に持ち込もうとの魂胆だろうと読みたくなる。

即ち、そもそもこの管理手続きの変更を発表した後で「協議」が出来ると思い込んで来日した韓国の担当部署の2名が、全く事の次第を知らずに来た時点の状況から韓国側は全く変わっていないと言うか、「貿易管理手続きの変更は、当事国の一方がその一存で決定する事であって、相手国との協議の対象ではない」という事が未だに理解できていないとしか思えないのである。でなければ、解っては来たが知らん振りをしているのかも知れない。しかも、我が国が「安全保障に疑念がある」と表現した事をも曲解しているのだ。

我が国は韓国を安全保障上信頼できないと言っているのではなく、韓国の3品目の輸入品の管理が杜撰で世界の安全保障上に悪影響を及ぼす危険性がある点について懸念を表明したのを認識できていないようなのだ。そこの解釈を誤って、我が国が韓国不信任論を唱えたと思い込んでいるのだし、半島からの労働者に関する大法院の判決に対知る報復手段であると、ここでも曲解したのだとしか考えられない。この度の韓国側の延期発表で、言うなればここまでの2件の事案では対話による解決の道はあるかも知れない。とは言え、韓国は3年間も我が国の呼びかけに応じなかった事は結局頬被りである。

だが、大法院の国際法を無視した判決問題の処理は残っている。それは被告とさせられた会社の資産を差し押さえ換金するという時期は迫っているという事だ。この件については、そもそも韓国が国内問題として処理するべきことである。韓国は文議長を始めとして我が国が受け入れる事などあり得ない解決案を並べて、受けない我が国が間違っているといったようなアリバイ工作までしている。だが、私は「ボールは韓国のコートにある」という我が国の主張は正しいとは思う。しかし、これまでに正しい主張が通った事がない相手だけに先行きは不安だらけだ。

文在寅大統領政権はアメリカにあれほど圧された事もあってGSOMIAの執行停止の中止にまでは踏み切ったが、未だ未だ解決すべき案件は厳然として残っている。私は文在寅大統領が本心から日米韓の連携を尊重する事に完全に踏み切ったとは見ていない。即ち、彼の本心は南北統一による高麗連邦の創設と中国とロシアの仲間入りすることにあると見ているという事だ。今回の時間稼ぎと康長官が言う決断が、4月の選挙に如何なる影響をもたらすかだ。それまでに文大統領以下の進歩派が如何にしてレームダック化を回避できるかが鍵ではないか。


11月23日 その2 昨22日には「仮定の話」としたが

2019-11-23 09:00:43 | コラム
各位

昨22日には「仮定の話だが」としましたが、私が「仮定」とした内容とは異なった決定を韓国側が下しましたので、本23日には内容を改めてGSOMIAと貿易管理を考えて見ました。この二つの案件には未だに韓国側に誤認識があるように思える点が多々ありますし、我が国の報道機関の理解度にも難点があると見ております。だが、私の仮定が覆ったのは確かでした。これらの韓国の変更の結果がどのようなって行くかは、未だ未だ見守っていく必要はあるでしょう。


真一文字拝

報道機関に見える難しさ

2019-11-23 08:41:10 | コラム
They are not making the things happening.:

昨22日夜のPrime Newsで韓国のGSOMIAを条件をつけて失効させず、我が国の貿易管理手続きの変更に関するWTOへの提訴を中止するとの発表を検討した討論の中で、実務を担当されてきた前外務副大臣・佐藤正久氏と通産省の元貿易管理部長だった中部大学教授・細川昌彦氏に、恵泉女学園大学の李泳采教授とともに反対側に着席していた共同通信出身の平井久志氏が、再三その発言の内容に見せた認識と言葉の誤りを指摘された。私はこの専門家であるべきはずの平井氏がその理解度と言葉の誤用を正された点に、大いなる関心を持った次第。

掲題の英文はもしも和訳すれば「彼らは現実に何か事を起こしているのではない」という意味になるが、これは屡々アメリカのビジネスパーソンたちが「現実の世界で何かを起こしているのは我々の方である」と言う時に使う表現であり、「マスコミというのか報道機関が何らかの事を起こしているのではなく、我々が起こした行動を伝える役目を担っているのだ」という指摘をしているのだ。もう少し具体的に言えば「彼らに恣意的な解釈を盛り込先ずに、我々の真意を正しく理解して報道をしてくれる」との意志の表現でもある。掲題の裏返しの表現は“We are making the things happening.”なのだ。

ここから先に進む前に私の経歴の一部を振り返っておくと、1990年4月の在職中から紙パルプ産業界の専門出版社の月2回発行の業界の専門誌に連載を開始して2000年まで続け、94年のW社リタイア後には95年からは季刊誌の英字誌も担当していた。同社へに寄稿は2013年に2度目の心筋梗塞発症まで続けされて貰った。更に縁あって静岡放送では1996年から2008年までラジオコメンテーターという役割を担当させて貰っていた。私はこの辺りを称して「ジャーナリズムのほんの片隅に片足を入れていた程度」というマスコミ人の真似事をしていたと言ってきた。

私は更に言っておきたい事は永年「真実は一つ」というマスコミのみならず、多くの方が好んで用いられるこの表現は適切ではないと思っている。私は「出来事が一つであり、その見方と評価は見る者の立ち位置と立場と角度、思想信条、経歴・職歴によって全く変わってくるのであり、特に朝日新聞の例が示すように報道機関次第ではたった一つの出来事が、朝日否定派とは全く異なる事案のようになってしまう例が慰安婦問題のような結果を生じるのだと考えている。繰り返して言うが「同じ出来事でも一寸角度を変えて見れば、別の事件だったようになってしまう」という事。

その私がマスコミの批判をするのは適切ではないかも知れないという留保条件をつけて、ここでは敢えて言わせて貰いたいのである。

昨22日に平井氏が何気なく言ったのではと、ある程度好意的に見ても良いような事があった。それは経産省が貿易管理手続きについて「韓国と対話を再開云々」と記者会見で述べておられた点について、平井氏は「協議を再開」と言ったのだった。そこで佐藤氏と細川氏に一斉に反論されて「協議ではない。対話だ。この二つは全く異なる性質だ。我が国に協議をする意図はない。貿易管理手続きの変更は我が国が決定する事であり、相手側と協議をする性質ではない」と厳しく指摘されたのだった。「協議」といった平井氏が知らなかったか迂闊だったかは解らないが。

私には平井氏が誤解していたのか、気安く「協議」を用いたのか知らぬが、彼が韓国がWTOへの提訴の手続きを中断と発表し、経産省が局長級までに対話を行うと述べたのを「協議に応じる」と彼の立場から考えて(もしかして深い慮りなく)解釈してしまったのかと思って聞いていた。この言葉の問題の他にも、平井氏は何度か実務経験者である専門家に解釈の誤りを指摘されていたが、私には「一つの出来事」でしかなかったこの貿易手続きの変更が、共同通信の元幹部ですら別物に見えていたかのかと、報道機関の解釈と報道の仕方の難しさを見た気にさせられた。

この度の韓国のGSOMIA失効停止を回避した件でも、韓国側の発表には「ここでは失効させないが、何時でも失効させられるようになっている」と保留条件をつけてあった。だが、佐藤正久氏は「(有効)期間中に破棄できるという条文はない。1年の期間が終了する前の3ヶ月に通告する事でしか出来ない」と指摘された。私にはこの協定文にこの規定があるかは解るはずがないが、これでは韓国がつけたつもりの留保条件は誤認識である。今朝の時点ではこの件について確固たる指摘をした報道はなかったと思う。

また、韓国の康京和外務部長官の空港での談話では「これで貿易手続きの変更の足がかりが出来た」という意味の言っていたように聞こえた。即ち、外務部では「協議再開」と解釈していたようなのだ。すると、問題にすべきは韓国側の発表が「協議」となっていたのを、外務省が「対話再開」と和訳したが、経産省は飽くまでも細川氏の指摘のように「対話」と発表したにか、この辺りは糾明して欲しい。即ち、韓国側はGSOMIAで譲歩したのである以上「対話再開」程度で留め置かせないと思っているかも知れないのだから。