新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ホルムズ海峡とアメリカとイランの問題

2019-06-15 11:19:52 | コラム
何処の誰が襲撃を企てたか:

昨14日の夜はテレビ局の心配なことがカナブンだかコガネムシではなくホルムズ海峡問題と決まったらしく、19:30からはTBSのBSで、20:00からはフジのPrime Newsで「専門家」をゲストに詳細に論じられた。結論を先に言ってしまえば「誰も何処の誰が襲撃させたか知らないが、アメリカのポンペオ長官が決めつけたようなイランの仕業とは考えにくい」と「この先にトランプ大統領とホメイニ師との会談はあり得ないが、ロウハニ大統領とならあり得るだろう」とでもなるのだろうか。

ホメイニ師は安倍総理に向かって「トランプ大統領の如き信用ならない者に会うか」と厳しく否定されたそうだが、Prime Newsのゲストスピーカーは「トランプ大統領がホメイニ師は現在の最高指導者になってからは国外には出ないし、実務の折衝はロウハニ大統領一任である事をご存じないのではないか。このような件は側近が知らせるべきだった」と指摘していたが、誰がホメイニ師に直接会えとの作戦を提議したのかと訝っていた。

TBSには主たるゲストとして岡本行夫が出ていた。私は彼は同じ外務省出身でもキャノン研究所に在籍している宮家邦彦の方がコメンテーターというか解説者としては一つ上だと思っているので、Prime Newsの時刻になってからは見ないことにした。ここから先は余談だが、岡本行夫は私の高校の20年ほど後の出身で、しかもサッカー部のOBだそうだから本来は支持すべきかと思うが、私の評価では同じ神奈川県の栄光学園出身の宮家邦彦の方を採ってしまっている。岡本君、御免ね。

さて、「何処の誰が襲撃させたか」であるが、私はPrime Newsでは「ポンペオ長官が述べていた、イランの警備隊(ホメイニ師の指揮下にあるそうだ)が自ら仕掛けたリムペット機雷を自ら回収にくるかは疑問だ。そんな行動をすれば、自分たちがやったと認めたと同じではないか。イランがこの時期にかかる行動をして何か得るものがあるのか。(そんなことは考えにくい)」と指摘していたのは説得力あり」と思って聞いた。しかし、アメリカはイランの警備隊が所有する船の形状を把握しているので、あの引き剥がしている様子の動画からは警備隊の船に酷似していると言っている由だ。

Prime Newsの専門家の見立ては「あの襲撃をして得をするは何処の国か」に集約されたと思う。それはホルムズ海峡を通らずに石油を出せる国であり、イランはあの襲撃では得をしないのだから除外出来そうだが、それを以て結論には出来なかったようだ。しかも、あの襲撃された位置はオマーンであり、イランからは離れすぎている。リムペット機雷は遠隔操作か時限装置で爆発させるので、イランが遠隔操作するのには遠いという見解も示された。

私は在職中に海外での営業を順当に進める為にはどれほど広い人脈と情報網、それも伝聞ではなく(first-handという意味で)second-handであっては望ましくないという情報収集活動を非常に重視し、それには敢えて多くの時間を割いていたものだった。昨夜のような微妙であり難しい案件を討論する場合には、伝聞やマスコミ報道や統計を頼りにしている方の言うことでは手放しで信用ならないと思っている。自分で動いて、人脈を活かして集めた情報に知識を加えて纏めらられた見解は聞いていて迫力が違うので解る。昨夜は問題の余りの複雑に絡み合った難しさと複雑さでは、佐藤外務副大臣は断言を立場上から避けてばかりいたが、あれならば出てこない方が良いと思わせられてしまう。

海外では安倍総理のイラン訪問を「トランプ大統領の郵便屋」というような見方をしていた国があった。それは違うと思う。今や世界であのトランプ大統領の説得役まで出来て、その意を帯してイランまで出向いてホメイニ師と語り合える首脳が欧州にいるか、いないではないかという問題が。私は嘗て我が国対アメリカの間柄は永年のアメリカの会社暮らしから親会社対子会社の関係に近いと言ってきた。そういう緊密な関係があるから、安倍総理はトランプ大統領には当面は出来ないことをやってこられた力量こそを評価すべきだ。

今回のホメイニ師との会談で説得しきれなかったなどという見方もあるが、あそこまでこじれているアメリカ対イランの関係を安倍総理が一度訪問したら快刀乱麻を断つが如くに解決出来ると思っていた方がおかしいのではないのか。木村太郎はトランプ大統領が会うべき相手はロウハニ大統領であると指摘していた。現在のこの国際情勢下で、安倍総理を色々と揚げ足を取って引きずり下ろす企みをしている野党は、一体何処に目をつけて世界を見ているのだろうか。始末に困る連中は国内にも巣食っているのだ。