新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

私は心配している

2015-09-23 15:59:28 | コラム
ラグビーが再びマスコミにチヤホヤされ始めた:

私は偏見と言われようとも僻みと非難されようとも、マスメディア特にテレビが嘗てラグビーを持て囃すのは気に入らない。特にNHK等は大学対抗戦グループの早明戦などは総力で中継するのを苦々しい思いで見ていた。それがW杯で「出ると負け」になり、かの有名となった145対17の敗戦等があって、1993年に開始されたサッカーのJリーグが俄然人気となり、彼らのラグビー扱いも変わっていったのだった。

私はサッカー経験者としてその人気が高まって、あの「サポーター」と言われる大群衆が一試合中立ちっぱなしで応援し続ける有様をテレビ観戦して、当に隔世の感があると思っていた。しかし、良いことは長続きしないもので、サッカーも昨今はW杯で予選グループ敗退が続き、私はその行く先に暗雲が垂れ込めはしないかと懸念していた。どうやらその懸念の実態はこの度の「ラグビー」南アに勝ったことではないかと思うに至った。

それは我が国の10人の外国人を含む代表ティームが、イングランドで開催されているW杯で優勝候補の一角を占める南アフリカをあの80分を過ぎてから南アゴール前に迫って何度もペナルティーキックのチャンスを得ながら3点を取って引き分けに持ち込まずに、私には意外だったスクラムを選択して攻めきって逆転するという立派な勝ち方をマスコミが過剰に賞賛する姿勢が気懸かりになってきたので言うのだ。

TBS等はひるおびの恵なる軽佻浮薄な司会者が「これで三日連続」と認めたほどラグビーの特集を続け、我が代表が今夜対戦するスコットランドも一蹴して準々決勝に出ていくと言わんばかりの持ち上げ方だ。希望的観測を言うのは勝手だが、あれでは既に指摘したように増加しただろうラグビーの俄ファンを惑わすことになりはしないかとすら感じている。未だ大敵を相手に一度勝っただけではないか。驕る余裕などない時点である。

更に、新監督を頂いても一向に期待というか希望通りの成績を挙げてくれないサッカーは、相対的に見放されはしないかと本気で心配している。それだけではない、低次元の優勝争いが続いているセントラルリーグなどは、今夜も阪神対巨人戦も含めてそれなりか乃至はそれ以上に人気が高まりつつあるよだ。これでは、負け続けた男女のヴァレーボールとともにサッカーも忘却の彼方になりはしないかと少しく思っている。

TBSではラグビーの基本的なルールの解説などをやっていた。それなそれなりに結構だが、あの競技はスクラムのように大人数が密集したプレーになると、何が反則で何がそうではないかは余程ラグビーに精通したものでは無い限り「えっ、何で」となってしまう。更に、サッカーと同様にあれほどスピードが上がってきたにも拘わらず審判の人数を増やす改革を怠ったたので、反則や乱暴なプレー等を部外者が見極めるのは不可能に近いという問題もある。

念のために申し上げておくと、フットボールには「アンスポーツマンライク・コンダクト」(=unsportmanlike conduct)という「非スポーツマン的な乱暴なプレー」が反則となる。ラグビーにも勿論それはあるが、スクラムやラック等の密集の中では、テレビ中継などでは誰が何時乱暴したかは解る訳がない。それにUK系の競技では審判の主観が大きく反則の判定を左右するのは仕方がないと思っている。

私が個人的にマスコミのタグビーの扱い方他を嫌う最大の理由は、やれ「男のスポーツである」とか「UKにその根源がある紳士のスポーツで、試合が終われば“ノー・サイド”となって敵味方の別なく健闘を讃え合う美しさ」などと言うことだ。これではサッカーも野球も「男がやっていない」ことになるし「紳士がやっていない」と言うの同然だと怒っている。しかも、彼らは南アに勝つとは予想してくれなかったが、勝てばあのお祭り騒ぎだ。節操がない。

恨み節というか繰り言はこれくらいにしよう。私は冷静に言って南アには圧勝した訳ではなく、彼らが不用意な反則をして五郎丸君という稀代のキッカーの好餌となったことが主たる勝因とみている。力勝負で勝った訳ではないし、今夜のスコットランドも体力と体格に優る欧米人のティームである。お祭り騒ぎで応援して勝てるとは限らない。体格の不利を激しい練習で補って南アに勝ったと言うが、激しい練習をしたのは別に褒め称えることではない。

私は上記の個人的な憂いを抱えてはいるが、我が代表がこれから先もアウエイであることを始めとする全ての不利な条件を克服して、予選リーグを突破するよう、遙か東京の地から応援するつもりだ。だが、UKとの時差で22時過ぎから始まるのは病み上がりには辛いという泣き言で締めよう。