■眉目好き比売を 我が妻に
長兄大山 守命
次兄大雀命 命呼び 応神天皇 お問いなる
「年上子供 年下子
何れ子供が 愛しやな」
長兄の大山守命 答えるに
「我れ年上が 愛しや」と
次兄大雀命 意を察し
「上成人故 下愛し」
応神天皇 頷きて
「雀申すが 当得たり」
やがてに下る 詔り
「長兄は部民 取り仕切れ
次兄は天下の 政務執れ
皇位継ぐのは 和紀郎子ぞ」
――――――――――
日向国豪族 娘なる
髪長比売の 眉目好きを
望み応神天皇 難波召す
ふと目に止めた 大雀命
「天皇に願いて 我が妻に」
建内宿祢 受給わりて
応神天皇へと 告げ置きし
新嘗祭後の 豊明
宴の席で 応神天皇
柏葉に盛った 御酒酒
髪長比売持たせ 大雀命へと
時に応神天皇 謡う歌
野蒜摘みにと 御子連れて
摘み行く途中 道辺り
漂う香り 花橘の
上枝鳥が 居り枯らし
下枝人が 取り枯らし
残る中枝 付く蕾
紅ら蕾の 乙女児を
欲しと言うなら 良しとしょう
いざ子ども 野蒜摘みに
蒜摘みに 我が行く道の
香ぐわし 花橘は
上枝は 鳥居枯らし
下枝は 人取り枯らし
三つ栗の 中つ枝の
ほ蕾 赤ら娘子を
誘招さば 宜らしな
―古事記歌謡(四十四)―
朕が好みの 依網池
堰杭打つを 気付かずに
蓴菜採るも 気付かずて
何とこの朕 間抜けよな
ええい悔しや 朕間抜けよな
水溜る 依網の池の
堰杭打ちが 指しける知らに
蓴繰り 延えけく知らに
我が心しぞ いや愚鈍にして
今ぞ悔しき
―古事記歌謡(四十五)―
髪長比売得たる 大雀命
嬉しや嬉し 謡う歌
果ての地古波陀 住む乙女
遥か眉目噂の 聞きしかど
共寝したぞよ 古波陀の乙女
道の後 古波陀娘子を
雷の如 聞こえしかども
相枕枕く
―古事記歌謡(四十六)―
果ての地古波陀 住む乙女
拒みも無しに 共寝した
何と愛しや 古波陀の乙女
道の後 古波陀娘子は
争わず 寝しくを為ぞも
愛しみ思う
―古事記歌謡(四十七)―
長兄大山 守命
次兄大雀命 命呼び 応神天皇 お問いなる
「年上子供 年下子
何れ子供が 愛しやな」
長兄の大山守命 答えるに
「我れ年上が 愛しや」と
次兄大雀命 意を察し
「上成人故 下愛し」
応神天皇 頷きて
「雀申すが 当得たり」
やがてに下る 詔り
「長兄は部民 取り仕切れ
次兄は天下の 政務執れ
皇位継ぐのは 和紀郎子ぞ」
――――――――――
日向国豪族 娘なる
髪長比売の 眉目好きを
望み応神天皇 難波召す
ふと目に止めた 大雀命
「天皇に願いて 我が妻に」
建内宿祢 受給わりて
応神天皇へと 告げ置きし
新嘗祭後の 豊明
宴の席で 応神天皇
柏葉に盛った 御酒酒
髪長比売持たせ 大雀命へと
時に応神天皇 謡う歌
野蒜摘みにと 御子連れて
摘み行く途中 道辺り
漂う香り 花橘の
上枝鳥が 居り枯らし
下枝人が 取り枯らし
残る中枝 付く蕾
紅ら蕾の 乙女児を
欲しと言うなら 良しとしょう
いざ子ども 野蒜摘みに
蒜摘みに 我が行く道の
香ぐわし 花橘は
上枝は 鳥居枯らし
下枝は 人取り枯らし
三つ栗の 中つ枝の
ほ蕾 赤ら娘子を
誘招さば 宜らしな
―古事記歌謡(四十四)―
朕が好みの 依網池
堰杭打つを 気付かずに
蓴菜採るも 気付かずて
何とこの朕 間抜けよな
ええい悔しや 朕間抜けよな
水溜る 依網の池の
堰杭打ちが 指しける知らに
蓴繰り 延えけく知らに
我が心しぞ いや愚鈍にして
今ぞ悔しき
―古事記歌謡(四十五)―
髪長比売得たる 大雀命
嬉しや嬉し 謡う歌
果ての地古波陀 住む乙女
遥か眉目噂の 聞きしかど
共寝したぞよ 古波陀の乙女
道の後 古波陀娘子を
雷の如 聞こえしかども
相枕枕く
―古事記歌謡(四十六)―
果ての地古波陀 住む乙女
拒みも無しに 共寝した
何と愛しや 古波陀の乙女
道の後 古波陀娘子は
争わず 寝しくを為ぞも
愛しみ思う
―古事記歌謡(四十七)―