ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・中つ巻(22)眉目好き比売を 我が妻に

2013年04月15日 | 古事記ものがたり
眉目みめ比売ひめを 我が妻に

長兄あに大山おおやまの もりみこと
次兄つぎ大雀命おおさざき みこと呼び 応神おうじん天皇おおきみ お問いなる

年上としうえ子供 年下としした
 いずれ子供が いとしやな」

長兄あに大山守命おおやま 答えるに
「我れ年上が いとしや」と

次兄つぎ大雀命おおさざき 意を察し
「上成人おとな故 下いとし」

応神おうじん天皇おおきみ うなづきて
さざき申すが 当得たり」










 やがてにくだる みことの
長兄あに部民べのたみ 取り仕切れ
 次兄つぎは天下の 政務まつり
 皇位こうい継ぐのは 和紀郎子いらつこぞ」













    ――――――――――
日向国ひゅうが豪族 娘なる
髪長比売かみながひめの 眉目みめきを
望み応神天皇おおきみ 難波なにわ

ふと目に止めた 大雀命おおさざき
天皇きみに願いて 我が妻に」
建内宿祢たけうちすくね 受給たまわりて
応神天皇すめらみこへと 告げ置きし

新嘗祭にいなめ後の 豊明とよあかり
うたげの席で 応神天皇すめらみこ
柏葉かしわに盛った 御酒おみき
髪長比売ながひめ持たせ 大雀命さざきへと

時に応神天皇おおきみ 謡う歌










野蒜のびる摘みにと 御子みこ連れて
摘み行く途中すがら 道ほと
ただよう香り 花橘たちばな
上枝うわえだ鳥が り枯らし
下枝人 が 取り枯らし
残る中枝 付くつぼみ
あから蕾の 乙女児おとめご
欲しと言うなら しとしょう

  いざ子ども 野蒜のびる摘みに
  ひる摘みに 我が行く道の
   香ぐわし 花橘は
  上枝ほつえは 鳥居枯いがらし
  下枝しづえは 人取り枯らし
  三つ栗の 中つ
  ほつぼみ 赤ら娘子おとめ
  いざさば らしな
                ―古事記歌謡(四十四)―

われが好みの 依網池よさみいけ
堰杭せきくい打つを 気付かずに 
蓴菜じゅんさい採るも 気付かずて 
何とこのわれ 間抜けよな
ええい悔しや われ間抜けよな

  水たまる 依網よさみの池の
  くい打ちが しける知らに
  ぬなわり えけく知らに
  我が心しぞ いや愚鈍おこにして
   今ぞ悔しき
                ―古事記歌謡(四十五)―

髪長比売ながひめ得たる 大雀命おおさざき
 しや嬉し 謡う歌

果ての地古波陀こはだ 住む乙女
遥か眉目噂うわさの 聞きしかど
共寝ともねしたぞよ 古波陀こはだの乙女

  道のしり 古波陀こはだ娘子おとめ
  かみごと 聞こえしかども
  あいまくら
                ―古事記歌謡(四十六)―
果ての地古波陀こはだ 住む乙女
拒みも無しに 共寝ともねした
何といとしや 古波陀こはだの乙女

  道のしり 古波陀こはだ娘子おとめ
  あらそわず 寝しくをぞも
  うるわしみ思う
                ―古事記歌謡(四十七)―