ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

憶良編(14)貧者お互い寒さは辛い

2010年07月05日 | 憶良編
■平成22年7月5日■
万葉集に詠われた歌を 作者別に採り上げ 人となりを「大阪弁」で訳します
いわく 「大阪弁万葉集」
―――――――――――――――――――――――――――――――――

★世の中の 貧しき者の 代わりなり 憶良一言 申し上げます

風雑まじり 雨降るの 雨まじり 雪降るは すべもなく 寒くしあれば 
《雨風吹いて 雪までじり 我慢もできん 寒さの夜は》
堅塩かたしほを りつづしろひ 糟湯酒かすゆざけ うちすすろひて しはぶかひ 鼻びしびしに 
しかとあらぬ ひげかき撫でて
 
《塩をつまんで うす酒すすり せきして鼻たれ 無いひげでて》
あれきて 人は在らじと ほころへど 
《ワシは偉いと  言うてはみても》
寒くしあれば 麻衾あさぶすま 引きかがふり ぬのかたぎぬ 有りのことごと 服襲きそへども 寒き夜すらを
《寒いよってに 安布団ふとんかぶり 有るもん全部 重ねて着ても それでもさむて たまらん晩を》
われよりも 貧しき人の 父母は さむからむ 妻子めこどもは ふ泣くらむ 
この時は 如何いかにしつつか が世は渡る

《もっと貧乏びんぼな お前の家は 父母おやは飢えてて 妻や子泣いて 毎日どないに 過ごしてるんや》 
天地あめつちは 広しといへど ためは くやなりぬる 日月ひつきは あかしといへど ためは 照りや給はぬ 
世間せけんひろても わしには狭い 明るい日や月 わしには照らん》  
人皆か のみや然る わくらばに 人とはあるを 人並ひとなみに あれれるを 
みんなそやろか ワシだけやろか ワシも人間ひとやで 人並みやのに》
綿も無き 布肩衣ぬのかたぎぬの 海松みるごと わわけさがれる 襤褸かかふのみ 肩にうち懸け 
《綿なし服は 海藻かいそうみたい 肩に掛けたら びらびら垂れる》
伏廬ふせいほの 曲廬まげいほの内に 直土ひたつちに わら解き敷きて 父母は まくらかたに 
妻子めこどもは あとかたに かくて うれさまよ
 
《傾く家の 土間どまわら敷いて 父母おやは枕に 妻子つまこは足に 固まりうて うれいて嘆く》
かまどには 火気ほけふき立てず こしきには 蜘蛛くもの巣きて いひかしく 事も忘れて 
ぬえどりの 呻吟のどよるに
 
《釜に蜘蛛くも 火のないかまど めしき忘れて うめいてばかり》
いとのきて 短き物を はしると へるが如く しもと取る 里長さとをさが声は 
寝屋戸ねやどまで 立ちばひぬ かくばかり すべ無きものか 世間よのなかの道

むち持つ役人 手加減なしに 寝てるとこ来て がなって叫ぶ 世の中これで えんか ほんま》
―山上憶良―〔巻五・八九二〕 





【鼻びしびしに】へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿