■倭建命に下る 過酷の使命
凱旋倭建命 待つ命は
東赴き 背きなす
十二の国を 征服て取れ
如何なる仰せ 腑に落ちぬ
伊勢大御神 宮訪ね
「我れを死ねよと 仰せしや
西撃ち未だ 脱がぬ沓
兵士も与れずに 東とは」
愚痴す倭建命に 叔母倭比売命
これ持て与う 草薙の
剣と共の 一袋
出発至る 尾張国
国造娘 美夜受比売
見初めたりしが 帰路にてと
東進みて 悪神を
言葉手懐け また東
来たる相模の 国造が
倭建命に 告げ言うは
「野の沼棲まう 荒し神」
退治頼むと 嗾ける
懲らしめ為すと 倭建命
敵にあらずと 出で向くに
入る野原に 火が襲う
最早これまで サラバとて
旅に連れ来し お妃の
弟橘 比売命
名を呼ぶ刹那 ふと気付く
叔母倭比売命に貰いし 袋中
火打石にひらめき 草薙剣執りて
草薙ぎ刈りて 迎えの火
無事に戻りて 国造を
切り捨て殺し 火を放ち
謀り為したる 賊屠る
進み浦賀水道を 渡りしに
海神波を 荒れさせて
舳先廻りて 船行かず
「渡りならずば 受けし任務
果たさで何の 面目ぞ
妃私が 犠牲となる」
弟橘 比売命
言いて波上 菅畳
皮の畳に 絹畳
敷かせ海へと お降りなる
波静まりて 船行くに
弟橘 比売命
波間隠れに 謡う歌
相模野燃えて 迫る火の
窮地最中で 私の名
呼びし我が君 慕わし君よ
さ嶺嶮し 相模の小野に
燃ゆる火の 火中に立ちて
問いし君はも
―古事記歌謡(二十五)―
渡り終え着く 上総浜
留まり七日 経る浜に
流れ寄る櫛 形見櫛
追うて来しかと 御陵造る
凱旋倭建命 待つ命は
東赴き 背きなす
十二の国を 征服て取れ
如何なる仰せ 腑に落ちぬ
伊勢大御神 宮訪ね
「我れを死ねよと 仰せしや
西撃ち未だ 脱がぬ沓
兵士も与れずに 東とは」
愚痴す倭建命に 叔母倭比売命
これ持て与う 草薙の
剣と共の 一袋
出発至る 尾張国
国造娘 美夜受比売
見初めたりしが 帰路にてと
東進みて 悪神を
言葉手懐け また東
来たる相模の 国造が
倭建命に 告げ言うは
「野の沼棲まう 荒し神」
退治頼むと 嗾ける
懲らしめ為すと 倭建命
敵にあらずと 出で向くに
入る野原に 火が襲う
最早これまで サラバとて
旅に連れ来し お妃の
弟橘 比売命
名を呼ぶ刹那 ふと気付く
叔母倭比売命に貰いし 袋中
火打石にひらめき 草薙剣執りて
草薙ぎ刈りて 迎えの火
無事に戻りて 国造を
切り捨て殺し 火を放ち
謀り為したる 賊屠る
進み浦賀水道を 渡りしに
海神波を 荒れさせて
舳先廻りて 船行かず
「渡りならずば 受けし任務
果たさで何の 面目ぞ
妃私が 犠牲となる」
弟橘 比売命
言いて波上 菅畳
皮の畳に 絹畳
敷かせ海へと お降りなる
波静まりて 船行くに
弟橘 比売命
波間隠れに 謡う歌
相模野燃えて 迫る火の
窮地最中で 私の名
呼びし我が君 慕わし君よ
さ嶺嶮し 相模の小野に
燃ゆる火の 火中に立ちて
問いし君はも
―古事記歌謡(二十五)―
渡り終え着く 上総浜
留まり七日 経る浜に
流れ寄る櫛 形見櫛
追うて来しかと 御陵造る
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