ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・下つ巻(17)一言主の お出ましなるぞ

2013年07月18日 | 古事記ものがたり
一言主ひとことぬしの おましなるぞ

雄略天皇すめらみことが 葛城山かつらぎ
行幸みゆき登りの 折りも折り

現れたる 大猪おおしし
雄略天皇きみ鏑矢かぶらや 射たるやに
射られ大猪おおしし こたえずて
うなきばき 迫り来る





雄略天皇きみは恐れて はんの木に
登り木 の上 謡う歌

われで来て 狩りするに
射たるししが 手負いまま
追い来る様子さまを 恐れ
逃げて 登りし この丘の
はんの木の枝 われ救いたり

   やすみしし 我が大君の
  遊ばしし しし
  ししの 咆吼うたきかしこ
  我が逃げ登りし あり
  はりの木の枝
                ―古事記歌謡(九十八)―











またのある時 雄略天皇すめらみこ
葛城山かつらぎやまを 登り

大勢連れた とも皆に
青染め衣服ふくに あかひも
着させ列し 登りしに

行く先尾根を 目指めざすにと
同じく登る 隊列れつ見える

あろう事かや 装束しょうぞく
並ぶ人数ひとかず 皆同じ











不審雄略天皇おおきみ 問いただ
「ここ大和国やまとくに われきて
 おうたるものの 存在あれぞかし
  そは何者の 行くなるぞ」

責めといに 来る答え
同じとい 返り来る

何ぞといかり 雄略天皇すめらみこ
弓に矢つがえ とも皆に
つがえさせて 射んと

同じかまえの 尾根向こう
こちら を射んと 弓を引く

あやしと雄略天皇きみは 問い掛ける
「名れや御名みなを 射の前に」

さきに問われし 我れなれば
 ずの名りは 我さん
 悪事まがごと善事よごと 何事も
 我が託宣たくせんの 一言ひとこと
 決す神ぞよ 葛城かずらき
 一言主ひとことぬしの 大神おおかみぞ」

聞いた雄略天皇おおきみ 驚きて
「神なりしやに 人姿ひとすがた
  誤り見てり 気付かずて」

弓矢はずして とも着たる
衣服ふくことごとく ぎ取らせ
一言主ひとことぬしのに 献上ささげな

雄略天皇きみが帰るに 一言主大神ぬしのかみ
山の端まで 行列れつ組みて
長谷口はせぐち迄も 送られし

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