■美夜受比売が待つに 月が立つ
更に奥へと 進まれて
蝦夷手懐て 荒神を
撃ち平らげて 帰路辿る
新治筑波 後にして
足柄山越して 甲斐国へ
酒折宮で 謡う歌
新治筑波 通り来て
幾夜幾晩 過ごしたことか
新治 筑波を過ぎて
幾夜か寝つる
―古事記歌謡(二十六)―
火焚き爺が 応えて謡う
重ねた夜は 九つで
日では十日に 御座します
日々並べて 夜には九夜
日には十日を
―古事記歌謡(二十七)―
殊勝な奴と 倭建命
東国国造 賜いて与う
甲斐から信濃 神坂峠越え
尾張熱田に 待つ美夜受比売
馳走酒杯 注ぐ裾
月の障りの 滲み血跡
見たる倭建命の 謡う歌
香久山渡る 白鳥の
輝き伸びる 細首の様な
か細腕の 撓やかを
抱き枕と 為べしとぞ
いざ共寝をと 思たれど
着たる羽織の 裾の端
月障が覗いて 居るぞいな
久方の 天の香具山
利鎌に さ渡る鵠
弱細 撓や腕を
枕かんとは 我はすれど
さ寝んとは 我は思えど
汝が着せる 襲衣の裾に
月立ちにけり
―古事記歌謡(二十八)―
光る日の神 そのお子の
この国統べる 大君よ
年が廻りて 過ぎ行けば
月も変わりて 過ぎて行く
ほんに 真実に 無理からぬ
長の月日を 待ちかねて
私羽織の 裾にさえ
月出でくるも 無理からぬ
高光る 日の御子
やすみしし 我が大君
あらたまの 年が来経れば
あらたまの 月は来経往く
諾な 諾な 諾な 君待ち難に
我が着せる 襲衣の裾に
月立たなんよ
―古事記歌謡(二十九)―
更に奥へと 進まれて
蝦夷手懐て 荒神を
撃ち平らげて 帰路辿る
新治筑波 後にして
足柄山越して 甲斐国へ
酒折宮で 謡う歌
新治筑波 通り来て
幾夜幾晩 過ごしたことか
新治 筑波を過ぎて
幾夜か寝つる
―古事記歌謡(二十六)―
火焚き爺が 応えて謡う
重ねた夜は 九つで
日では十日に 御座します
日々並べて 夜には九夜
日には十日を
―古事記歌謡(二十七)―
殊勝な奴と 倭建命
東国国造 賜いて与う
甲斐から信濃 神坂峠越え
尾張熱田に 待つ美夜受比売
馳走酒杯 注ぐ裾
月の障りの 滲み血跡
見たる倭建命の 謡う歌
香久山渡る 白鳥の
輝き伸びる 細首の様な
か細腕の 撓やかを
抱き枕と 為べしとぞ
いざ共寝をと 思たれど
着たる羽織の 裾の端
月障が覗いて 居るぞいな
久方の 天の香具山
利鎌に さ渡る鵠
弱細 撓や腕を
枕かんとは 我はすれど
さ寝んとは 我は思えど
汝が着せる 襲衣の裾に
月立ちにけり
―古事記歌謡(二十八)―
光る日の神 そのお子の
この国統べる 大君よ
年が廻りて 過ぎ行けば
月も変わりて 過ぎて行く
ほんに 真実に 無理からぬ
長の月日を 待ちかねて
私羽織の 裾にさえ
月出でくるも 無理からぬ
高光る 日の御子
やすみしし 我が大君
あらたまの 年が来経れば
あらたまの 月は来経往く
諾な 諾な 諾な 君待ち難に
我が着せる 襲衣の裾に
月立たなんよ
―古事記歌謡(二十九)―
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