■何故に置き来し 草薙剣
草薙剣を前に 倭建命
危難逃れは 叔母倭比売命
授け草薙剣や 袋・衣装
これぞ伊勢神宮 お祀りの
祖先天照大御神 ご加護故
我が腕如何に 試しにと
草薙剣 残し置き
熱田を後に 伊吹山
「山居る神を 素手以ちて」
懲らし為さんと 腕擦り
登りかかるに 白い猪
「神使いなんぞに 用はない
退治為すのは 戻りにと」
広言するも 白猪ぞ神
怒る白猪神 喰らえとて
突如の大粒雹が 倭建命打つ
散々仕儀に 正気失せ
山下りても 身も立たず
暫し休みて 戻る鋭気の
疲れ身体に 鞭打ちて
這う這う体で 着く当芸野
「我れが心は 空翔り
鳥の如くに 飛べりしが
今は足萎え 蹌踉めきて
浮腫み歩みも まま成らず」
杖突き膝行り 伊勢の尾津崎
往路忘れし 大刀そこの
一本松の 根方発見て
守りしかやと 謡う歌
尾張国の 真向かいの
尾津の崎立つ 一つ松
おまえ人なら 一つ松
大刀佩かそやな 衣着さそ
ああ一つ松 おまえにと
尾張に 直に向かえる
尾津の崎なる 一つ松 吾兄を
一つ松 人にありせば
大刀佩けましを 衣着せましを
一つ松 吾兄を
―古事記歌謡(三十)―
精魂尽きて 三重能煩野
短か生命を 悟りてか
故郷を思うて 謡う歌
国随一の 大和国
重なる山の 青垣が
囲む大和は 雲はるか
愛しの大和 愛しや大和
倭は 国のまほろば
畳づく 青垣
山隠れる 倭し愛し
―古事記歌謡(三十一)―
命恙無 帰ったら
平群の山に 繁り立つ
霊宿りたる 樫の葉を
髪插し生きよ 我が部下よ
命の 全けん人は
畳薦 平群の山の
熊白樫が葉を
髪華に挿せ その子
―古事記歌謡(三十二)―
おお懐かしや 我家のある
大和の方から 雲流れ来る
愛しけやし 我家の方よ
雲居起ち来も
―古事記歌謡(三十三)―
病篤さの 極まりて
お謡いなさる 最期歌
乙女美夜受比売の 床傍に
残し置き来た 大刀草薙剣
祖先御霊の あの大刀草薙剣
娘子の 床の辺に
我が置きし 剣の大刀
その大刀はや
―古事記歌謡(三十四)―
謡い終わるや 倭建命
息引き取りて 崩る
急ぎの早馬は 都へと
草薙剣を前に 倭建命
危難逃れは 叔母倭比売命
授け草薙剣や 袋・衣装
これぞ伊勢神宮 お祀りの
祖先天照大御神 ご加護故
我が腕如何に 試しにと
草薙剣 残し置き
熱田を後に 伊吹山
「山居る神を 素手以ちて」
懲らし為さんと 腕擦り
登りかかるに 白い猪
「神使いなんぞに 用はない
退治為すのは 戻りにと」
広言するも 白猪ぞ神
怒る白猪神 喰らえとて
突如の大粒雹が 倭建命打つ
散々仕儀に 正気失せ
山下りても 身も立たず
暫し休みて 戻る鋭気の
疲れ身体に 鞭打ちて
這う這う体で 着く当芸野
「我れが心は 空翔り
鳥の如くに 飛べりしが
今は足萎え 蹌踉めきて
浮腫み歩みも まま成らず」
杖突き膝行り 伊勢の尾津崎
往路忘れし 大刀そこの
一本松の 根方発見て
守りしかやと 謡う歌
尾張国の 真向かいの
尾津の崎立つ 一つ松
おまえ人なら 一つ松
大刀佩かそやな 衣着さそ
ああ一つ松 おまえにと
尾張に 直に向かえる
尾津の崎なる 一つ松 吾兄を
一つ松 人にありせば
大刀佩けましを 衣着せましを
一つ松 吾兄を
―古事記歌謡(三十)―
精魂尽きて 三重能煩野
短か生命を 悟りてか
故郷を思うて 謡う歌
国随一の 大和国
重なる山の 青垣が
囲む大和は 雲はるか
愛しの大和 愛しや大和
倭は 国のまほろば
畳づく 青垣
山隠れる 倭し愛し
―古事記歌謡(三十一)―
命恙無 帰ったら
平群の山に 繁り立つ
霊宿りたる 樫の葉を
髪插し生きよ 我が部下よ
命の 全けん人は
畳薦 平群の山の
熊白樫が葉を
髪華に挿せ その子
―古事記歌謡(三十二)―
おお懐かしや 我家のある
大和の方から 雲流れ来る
愛しけやし 我家の方よ
雲居起ち来も
―古事記歌謡(三十三)―
病篤さの 極まりて
お謡いなさる 最期歌
乙女美夜受比売の 床傍に
残し置き来た 大刀草薙剣
祖先御霊の あの大刀草薙剣
娘子の 床の辺に
我が置きし 剣の大刀
その大刀はや
―古事記歌謡(三十四)―
謡い終わるや 倭建命
息引き取りて 崩る
急ぎの早馬は 都へと
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