ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・中つ巻(13)何故に置き来し 草薙剣

2013年03月14日 | 古事記ものがたり
■何故に置きし 草薙剣くさなぎつるぎ

草薙剣つるぎを前に 倭建命たけるみこ
危難きなんのがれは 叔母倭比売命やまとひめ
さず草薙剣つるぎや ふくろ衣装ふく

これぞ伊勢神宮いせみや おまつりの
祖先天照大御神あまてる ご加護かご

我が腕如何いかに 試しにと
草薙剣くさなぎつるぎ 残し置き
熱田あつたを後に 伊吹山いぶきやま

「山る神を 素手ちて」
らしさんと うでさす
登りかかるに 白いしし










神使つかいなんぞに 用はない
 退治すのは 戻りにと」
広言こうげんするも 白猪ししぞ神

いか白猪しし神 らえとて
突如にわか大粒雹ひょうが 倭建命たける打つ
散々仕儀しぎに 正気
くだりても 身も立たず

しばし休みて 戻る鋭気
疲れ身体に むち打ちて
ていで 着く当芸野たぎの

「我れが心は 空かけ
  鳥の如くに 飛べりしが
 今は足え 蹌踉よろめきて

 浮腫むくみ歩みも まま成らず」

杖突き膝行いざり 伊勢の尾津崎おつ

往路おうろ忘れし 大刀たちそこの
一本ひともと松の 根方ねかた発見
守り しかやと 謡う歌











尾張国おわりのくにの 真向かいの
尾津おつさき立つ 一つ松
おまえ 人なら 一つ松
大刀たちかそやな ふく着さそ
ああ 一つ松 おまえにと

  尾張に ただかえる
  尾津の崎なる 一つ松 吾兄あせ
   一つ松 人にありせば
  大刀たちけましを きぬ着せましを
  一つ松 吾兄あせ
                ―古事記歌謡(三十)―

精魂せいこん尽きて 三重能煩野のぼの

短か生命いのちを 悟りてか
故郷くにを思うて 謡う歌

随一ずいいちの 大和国やまとくに
重なる 山の 青垣が
囲む 大和は 雲はるか
いとしの大和 いとしや大和

  やまとは 国のまほろば
  たたなづく 青垣
  山ごもれる やまとうるわ
                ―古事記歌謡(三十一)―

つつが 帰ったら
平群へぐりの山に 繁り立つ
れい宿りたる かしの葉を
かみし生きよ 我が部下こら

  命の またけん人は
  畳薦たたみこも 平群へぐりの山の
  熊白樫くまかしが葉を
  髪華うずせ その子
                ―古事記歌謡(三十二)―











おおなつかしや 我家いえのある
大和のから 雲流れ来る

  しけやし 我家わぎえかた
  雲居くもい
                ―古事記歌謡(三十三)―

やまいあつさの 極まりて 
お謡いなさる 最期おわり

乙女おとめ美夜受比売みやびの 床傍とこそば
残し置き来た 大刀たち草薙剣つるぎ
祖先御霊みたまの あの大刀たち草薙剣つるぎ

  娘子おとめの 床の
  我が置きし つるぎ大刀たち
  その大刀たちはや
                ―古事記歌謡(三十四)―








謡い終わるや 倭建命たけるみこ
息引き取りて かんあが

急ぎの早馬うまは みやこへと




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