ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

古事記ものがたり・中つ巻(14)白鳥飛ぶよ 大和向け

2013年03月18日 | 古事記ものがたり
■白鳥飛ぶよ 大和向け

訃報しらせ受けたる きさき御子みこ
能煩野のぼの来たりて 御陵はか造り
嘆きいずり 泣き歌う

御陵はかそば田圃たんぼ 稲茎いねくき
からまれる 山芋いもつる
いずり嘆く のこれる我ら

  水漬なづきの田の 稲茎いながら
  稲茎いながらに もとほろう
  ところずら
                ―古事記歌謡(三十五)―











抜け出る御霊みたま 御陵はかの上 
白鳥しらとりなりて 天翔あまがける 

きさき御子みこ等の 追い行くに
篠竹たけの切株 足を
海水みずからめて 足を取る

なおも 泣き追い 謡う歌

ひく小竹原しのはらに 腰難渋なず
空飛びはかなわず 足とぼとぼと

  あさ小竹じのはら 腰なずむ
  虚空そらは行かず 足よ行く
          (足にて行くよ 情けなや)
                ―古事記歌謡(三十六)―











かり海路うなじは 腰難渋なず
川浮く草の ただように
似て浮遊いさようて 海路うなじ行く

  海処うみが行けば 腰なずむ
  大河原おおかわらの 植草くさうえ
  海処うみがは 浮遊いさよ
                ―古事記歌謡(三十七)―

かける白鳥 磯へ飛ぶ
せめて 浜居れ 謡う歌

浜飛び行けば  追い行くを
ああ 白鳥が 磯を行く

  浜つ白鳥ちどり 浜よは行かず
   磯伝う
                ―古事記歌謡(三十八)―

天翔あまがけ白鳥とりは 河内国かわちくに
志紀しきに至るに 造る御陵はか
今云う白鳥しらとり 御陵みはかなり

したがまた白鳥とり 飛び行きて
天空あまぞら高く 雲彼方かなた