【掲載日:平成25年1月11日】
妹が髪 上げ竹葉野の 放ち駒 荒びにけらし 逢はなく思へば
逢えん男は 色々思う
絶えず常時 逢えんかあの児
手立て切っ掛け 探ってみるが
段取り悪て 怒らす始末
行きて見て 来れば恋ほしき 朝香潟 山越しに置きて 寝ねかてぬかも
《逢い行って 帰ったらまた 恋し児を 山向こ置いて 寝付きも出来ん》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六九八)
我妹子に 逢はず久しも うまし物 阿倍橘の 苔生すまでに
《美味いユズ 苔生えるほど 長いこと あの児逢えんで 過ごして仕舞たで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七五〇)
山高み 谷辺に延へる 玉葛 絶ゆる時なく 見むよしもがも
《谷向こて 延びる葛は 蔓絶えん 絶えず欲しいで 逢う切っ掛けが》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七七五)
住吉の 岸の浦廻に しく波の しばしば妹を 見むよしもがも
《住吉に 始終寄る波 常時に あの児に逢える 伝手ないやろか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七三五)
(しく波=重なり来る波)
明日香川 行く瀬を早み 早けむと 待つらむ妹を この日暮らしつ
《早いこと 逢いに来てやと 待つあの児 段取り悪て 日ィ暮れて仕舞た》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七一三)
妹が髪 上げ竹葉野の 放ち駒 荒びにけらし 逢はなく思へば
《野に放つ 馬荒れるけど あの児気ィ 荒れて怒るか 逢おとせんがな》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六五二)
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