【掲載日:平成25年1月15日】
この山の 嶺に近しと 我が見つる 月の空なる 恋もするかも
逢えん女は いじらし限り
待つに逢えんし 邪魔され逢えん
袖切り刻み 占いしても
逢えん続くが 諦めせんで
時守の 打ち鳴す鼓 数みみれば 時にはなりぬ 逢はなくもあやし
《怪っ訝しな 聞こえる鼓 数えたら もう時間やに あんた来んがな》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六四一)
港入りの 葦別け小舟 障り多み 我が思ふ君に 逢はぬころかも
《邪魔な葦 別け行く舟や 近頃は うちも邪魔多て あんたに逢えん》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七四五)
玉桙の 道行き疲れ 稲蓆 しきても君を 見むよしもがも
《疲れたで 休みにするわ 稲筵敷き 頻り何度も あんた逢いたい》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六四三)
(敷きて→しきても=頻りに)
逢はなくに 夕占を問ふと 幣に置くに 我が衣手は またぞ継ぐべき
《逢われんに 袖切り幣で 占うが 良え卦出やんで 袖継がならん》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六二五)
この山の 嶺に近しと 我が見つる 月の空なる 恋もするかも
《山の端 あったあの月 いま上空や うちの恋かて 宙ぶらりんや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六七二)
我がやどの 穂蓼古幹 摘み生し 実になるまでに 君をし待たむ
《蓼の茎 摘んで育てて 実なるまで うちは気長ごに あんたを待つわ》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七五九)
恋死なむ 後は何せむ 我が命 生ける日にこそ 見まく欲りすれ
《この命 死んで仕舞たら おしまいや 生きて逢わんと 意味あらへんわ》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五九二)
紀伊の国の 飽等の浜の 忘れ貝 我れは忘れじ 年は経ぬとも
《飽等浜 忘れ貝ある そやけども うち忘れへん 年経ったかて》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九五)
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