【掲載日:平成25年1月8日】
かくしてや なほや守らむ 大荒木の 浮田の社の 標にあらなくに
焦がれ逢えんの 心底辛い
嘆いてみても 逢えんは同じ
燻る思い 胸抱き続け
このまま正気 保たれ出来ん
百代しも 千代しも生きて あらめやも 我が思ふ妹を 置きて嘆かむ
《百年も 千年もわし 生けへんに あの児逢わんと 嘆いてるやて》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇〇)
みさご居る 州に居る舟の 夕潮を 待つらむよりは 我れこそまされ
《干潟洲に 残された舟 夕潮待つが 待ち遠し思い わしのが上や》【比喩】
―作者未詳―(巻十一・二八三一)
二上に 隠らふ月の 惜しけども 妹が手本を 離るるこのころ
《月二上に 隠れん悔し ここんとこ お前逢えんも 悔しいこっちゃ》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六六八)
かくしてや なほや守らむ 大荒木の 浮田の社の 標にあらなくに
《逢えんまま 見守るだけか このわしは 浮田神社の 標縄違うに》【比喩】
―作者未詳―(巻十一・二八三九)
真澄鏡 直にし妹を 相見ずは 我が恋止まじ 年は経ぬとも
《顔合わし 直にあの児に 逢わへんと 焦がれ止まらん 時期待ったかて》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六三二)
相見ては 恋慰むと 人は言へど 見て後にぞも 恋まさりける
《直逢うと 焦がれ直ると 皆言うが 逢うたら焦がれ 酷なったがな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五六七)
我妹子に 逢ふ縁を無み 駿河なる 富士の高嶺の 燃えつつかあらむ
《あぁあの児 逢える手立てが 何も無うて 燻る思い 富士の火やがな》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六九五)
玉の緒の 現し心や 年月の 行きかはるまで 妹に逢はずあらむ
《正気まま お前逢わんと この年が 変わるの待つん わし出来るかな》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九二)
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