【掲載日:平成25年1月22日】
白真砂 御津の埴生の 色に出でて 言はなくのみぞ 我が恋ふらくは
女心は 揺れ浮き舟か
籠る家の内 鬱々晴れん
本気この恋 揺らぎはせんが
もひとつ燃えん 心根よぎる
大夫は 友の騒きに 慰もる 心もあらむ 我れぞ苦しき
《男はん 仲間興じて 憂さ晴らす うちら女は 苦してならん》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五七一)
敷栲の 枕響みて 寝ねらえず 物思ふ今夜 早も明けぬかも
《この枕 ごそごそ動き 寝られへん 思い沈む夜 早よ明けんかな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五九三)
(枕響む=頭転々 枕が軋む)
ひさかたの 天飛ぶ雲に ありてしか 君を相見む おつる日なしに
《空を飛ぶ 雲成れたらな うち飛んで 逢いに行けるで 抜ける日なしに》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六七六)
白真砂 御津の埴生の 色に出でて 言はなくのみぞ 我が恋ふらくは
《御津埴生 良え色出すが 口出して 言わんだけやで うちの思いは》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七二五)
住吉の 浜に寄るといふ うつせ貝 実なき言もち 我れ恋ひめやも
《住吉の 空貝違うで うちの恋 実ぃある気ぃで 慕とんやから》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九七)
朝柏 潤八川辺の 小竹の芽の 偲ひて寝れば 夢に見えけり
《あのお人 偲んで寝たら 夢に出た 潤八川辺の 小竹かて芽出た》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七五四)
(小竹→偲ひて)
玉藻刈る 井堤のしがらみ 薄みかも 恋の淀める 我が心かも
《うちの恋 なんや燃えんが 何でやろ 邪魔がないんか 気ィ無いからか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七二一)
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