【掲載日:平成24年1月3日】
愛しきよし 今日の主人は
磯松の 常にいまさね 今も見るごと
中臣清麻呂邸
庭に池 水廻る岸辺に松
梅花ほころび 水面揺らすは鴛鴦か
皇親派 集う宴 さすがに 気の張りは無い
恨めしく 君はもあるか やどの梅の 散り過ぐるまで 見しめずありける
《恨めしな 清麻呂ずるいで ここの梅 散って仕舞うまで 見させんといて》
―大原今城―(巻二十・四四九六)
見むと言はば 否と言はめや 梅の花 散り過ぐるまで 君が来まさぬ
《見たいなと 言うたら見せた 梅の花 散って仕舞うまで 来んといてから》
―中臣清麻呂―(巻二十・四四九七)
梅の花 香をかぐはしみ 遠けども 心もしのに 君をしぞ思ふ
《梅の香の 清麻呂香し 遠いけど 心一途に 慕うています》
―市原王―(巻二十・四五〇〇)
梅の花 咲き散る春の 長き日を 見れども飽かぬ 磯にもあるかも
《梅花が 咲き散る春の 日暮れまで 見飽きん景色 この池磯辺》
―甘南備伊香―(巻二十・四五〇二)
君が家の 池の白波 磯に寄せ しばしば見とも 飽かむ君かも
《池の磯 寄せる白波 しばしばや しばしば見ても 清麻呂素晴らし》
―大伴家持―(巻二十・四五〇三)
うるはしと あが思ふ君は いや日異に 来ませ我が背子 絶ゆる日なしに
《素晴らしと 思う家持よ 毎日も 通ておいでや 日ぃ絶やさんと》
―中臣清麻呂―(巻二十・四五〇四)
磯の浦に 常呼び来棲む 鴛鴦の 惜しきあが身は 君がまにまに
《池岸に 棲む鴛鴦の 惜し思う 私の命 お心次第》
―大原今城―(巻二十・四五〇五)
八千種の 花は移ろふ 常盤なる 松のさ枝を 我れは結ばな
《色々な 花は萎れる 常緑の 松枝結び 弥栄祈ろ》
―大伴家持―(巻二十・四五〇一)
愛しきよし 今日の主人は 磯松の 常にいまさね 今も見るごと
《慕わしい 主人の清麻呂 今のまま 達者で居って 松の葉みたい》
―大伴家持―(巻二十・四四九八)
我が背子し かくし聞さば 天地の 神を乞ひ祈る 長くとぞ思ふ
《そんな風に 言うてくれるか 神さんに お願い頼み 長生き仕様か》
―中臣清麻呂―(巻二十・四四九九)
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