【掲載日:平成24年1月24日】
百積の 船隠り入る 八占さし
母は問ふとも その名は告らじ
結ばれ恋は 有頂天
二人の他は 見えやせん
実った恋は 離してなるか
逢うたが最後 死ぬまで一緒
この世は全て 二人のためよ
怖いものとて 何にもないぞ
百積の 船隠り入る 八占さし 母は問ふとも その名は告らじ
《八方で 占いしたり 詰問いたかて お母に名前 うち言わへんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二四〇七)
(百積の船隠り入る=百石積みの船が入る浦→占)
思ひ寄り 見ては寄りにし ものにあれば 一日の間も 忘れて思へや
《見て惚れて 逢うてまた惚れ したお前 一日たりと 忘れてへんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二四〇四)
玉かぎる 昨日の夕 見しものを 今日の朝に 恋ふべきものか
《昨日晩 逢うたとこやに 朝来たら なんでなんやろ またまた恋し》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三九一)
なかなかに 見ずあらましを 相見てゆ 恋しき心 まして思ほゆ
《逢われんで 恋し思てた 時よりも 逢うたその後 余計恋しがな》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三九二)
日並べば 人知りぬべし 今日の日は 千年のごとも ありこせぬかも
《毎日は 皆に知れるで 今日の日が 千年分も 続かんやろか》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三八七)
故もなく 我が下紐を 解けしめて 人にな知らせ 直に逢ふまでに
《うちの下紐 解かすなんて 悪い人 内緒為ときや 逢えん様なるで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二四一三)
(相手が思ってくれてる→下紐が解ける)
ぬばたまの この夜な明けそ 赤らひく 朝行く君を 待たば苦しも
《この夜は 明けて欲しない 明日朝 帰して仕舞たら 待つん辛いが》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三八九)
我が背子が 朝明の姿 よく見ずて 今日の間を 恋ひ暮らすかも
《朝帰る あんたの姿 良う見んと 一日焦がれ 暮らすんやろか》
―柿本人麻呂歌集―(巻十二・二八四一)
あらたまの 年は果つれど 敷栲の 袖交へし子を 忘れて思へや
《年暮れる けど忘れんで この年を 初めて共寝たん 今年やさかい》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二四一〇)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
