【掲載日:平成24年1月10日】
秋風の 末吹き靡く 萩の花
ともに插頭さず 相か別れむ
梅の花に代え 馬酔木が 庭を彩っていた
同じく 中臣清麻呂が屋敷
今日も 皇親派の集い宴が 持たれていた
風物を楽しみ 景を詠み 花を詠む
風雅に遊び 歌に結ぶ
これ
政界の傍流に追いやられ
主流派の目を 窺いながらの宮仕え
不安からの 逃避已む無き業か
鴛鴦の住む 君がこの山斎 今日見れば 馬酔木の花も 咲きにけるかも
《鴛鴦が 棲んでる庭を 今日見たら 馬酔木の花も 咲いとおるがな》
―三形王―(巻二十・四五一一)
池水に 影さへ見えて 咲きにほふ 馬酔木の花を 袖に扱入れな
《池水に 影を映して 咲き誇る 馬酔木の花を 袖扱き入れ様》
―大伴家持―(巻二十・四五一二)
磯影の 見ゆる池水 照るまでに 咲ける馬酔木の 散らまく惜しも
《磯景色 映す池水 輝かせ 咲いてる馬酔木 散らすん惜しな》
―甘南備伊香―(巻二十・四五一三)
馬酔木咲く庭
何時しか 春の朧は 更けていく
天平宝字二年(758)六月十六日
家持に 突如の任
因幡国守
上国ではあるが 右中弁としては 左遷
奈良麻呂の変 家持に及びしか
七月五日 大原今城宅
家持 送別酒宴
集いし旧知 飲み 詠い 交歓尽くすも
別れの酒は 苦い
秋風の 末吹き靡く 萩の花 ともに插頭さず 相か別れむ
《秋風が 吹き靡かせる 萩の花 髪插頭さんで 別れんやろか》
―大伴家持―(巻二十・四五一五)
秋風吹く 都門潜り
山陰任地に向かう 家持
同じく 天離かる鄙とはいえ
越中へ向かいし気負いに比べ
今辿る 道の気重さ
一概 年齢の所為ばかりでない
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